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●証言を読んでみて、ボリュームがあるわりに感情描写が少なかった。淡々と事実を並べていることが多く、どこを取り上げるか悩んだ。●その中で、避難中にどの方向に行くかで與那嶺さんが父親と親戚と口論になる。口論の末、行く方向が決まるが、そこでひとりぼっちの3歳くらいの女の子を見かける。その場面を発問として選んだ。
●この場面に来るまでに、與那嶺さんは様々な体験をしている。一中生でエリートなので「国のために死ぬのは当たり前、当然」という考えを持っている。それで鉄血勤皇隊に入隊するけども、発熱して帰宅する。体調が回復したら戻ってくるように言われていたので学校に戻ろうとするが父親に止められて一緒に避難する。そのような中で、設問にある場面にくる。●結果から言うと、與那嶺さん達はこの女の子に「何もしない」。この「何もしなかった」ことについて、今でもずっと後悔していると数少ない心の描写が書かれている。そこがよく言われる「人が人じゃなくなる」というものではないかと考えた。自分のことで精一杯で思いやりがなくなるといったところを、子ども達に話し合ってもらいたい。
【山内氏】●発表にもあったように、あまり感情や気持ちが書かれていない。しかし、この女の子については「戦後もずっと心に残っていて悔やまれる」とお話されていて、非常に印象に残っている。●沖縄戦体験者に聞き取りをしたり、証言を読んでいると、「戦場で子どもを助けられなかったことが心に残っている」という話は多い。もし加えるとしたら「與那嶺さんだけでなく、こういう体験をした人で今もずっと悔やんでいる人が多い」ということを補足して伝えてもいいのではないかと思う。
【山口氏】●非常に共通性のある問い。この問いを正面にすえたワークシートや授業はなかなかないと思うので、ぜひ子ども達に問いたい。●戦争体験をした沖縄の人々の多くが、誰かを見捨てて生き残った贖罪感のようなものを持って生き延びている。●追いつめられたときの人の残酷さ、無感情さ。その部分をこのワークシートのように上手く見せることができたらいいと思う。
ワークシート[PDF]/[Word]※制作されたワークシートを基に事務局がデータ化
用いた証言與那嶺盛昭さん(大里・古堅)
書籍:『南城市の沖縄戦 証言編-大里-』302頁~314頁 掲載
テキスト:與那嶺盛昭(昭和3年生まれ 大里・古堅)【キーワード】陣地構築/勤労奉仕/鉄血勤皇隊/南部避難/収容所