解説 |
旧大里村の移民調査資料。 1999(平成11)年3月1日から3月27日の間、ペルー、ブラジル、アルゼンチンの3か国で現地聞き取り調査を行った。一世、二世の方々が主な調査対象であった。沖縄戦前の移民は、1899(明治32)年に當山久三の斡旋によりハワイへ出発したのが始まりとされている。貧困問題、徴兵忌避などの当時の沖縄の環境が移民を後押しするきっかけになった。戦後は先に移住していた家族からの呼び寄せや琉球政府の移住政策により、再び移民が行われた。
日本からブラジルへの最初の移民は1908(明治41)年で、このうち県出身者は324人で全体の42%を占めた。しかしその後、不作により賃金の支払いが不透明となり、契約期間を満了せずに逃亡者が出る耕地もあったため、初回移民から3年間、沖縄県出身者の移民採用を中断した。
写真の知念盛達氏は、旧大里村の大城(真境名)出身。沖縄産業開発青年隊での6ヶ月間の訓練を経て、1957(昭和32)年に移民。おじの店の手伝いや外交員、運送業者として働いた後に1973(昭和48)年に帰国した。
写真の又吉良明氏は、旧大里村の大里(平良)出身。1958(昭和33)年に移民。沖縄の景気を探るため海洋博覧会の年(1975年)に一時帰国したのち、1977年にブラジルを引き揚げた。 |