平和でこころ豊かな明るく住みよい知念村づくりをめざして全力傾注!
知念村議会の三月定例議会は三月十二日に招集され、三月二十九日までの十八日間の会期日程で開かれました。
議会初日、志喜屋新孝村長は平成三年度の村政運営についての所信表明と施策の概要を明らかにしました。その中で平和主義、主権在民主義、人間尊重主義を基本姿勢に、最優先施策を「人材育成」として位置ずけ、村民との対話をモットーに村民の声を村政に反映させ、二十一世紀を展望した調和のとれた活力ある知念村の建設に鋭意努力し、「住みよい村づくり」を目指して取り組んでまいりますと決意を表明しました。
以下その前文を掲載します。
はじめに
[写真]施政方針を述べる志喜屋村長
本日ここに平成三年第二回知念村議会定例会の開会に当たり、平成三年度の一般会計予算案及び特別会計予算案をはじめ、諸議案の提案説明に先立ち、村政運営の基本姿勢と施策の概要について、私の所信を申し上げ議員各位並びに村民皆様方の御理解と御協力を賜りたいと思います。
さて、私は去年九月に村長に就任以来早六カ月が経過しようとしています。その間、工事が中断し心配されておりました山里区の村道5号線も地元区民の御協力により、工事が再着工され完成をみる運びとなりました。また職員採用の公募については採用規則を制定し、それに基づく採用試験委員会を設置して、既に公募と試験を実施致しております。さらには、建設工事にあたって優良な中小建設業者の技術力、施工力、経営力の強化育成を図るため、共同企業体(J・V)結成の導入をすすめてまいりました。その他、予定されておりました諸事業も順調に推移しております。
このように今日まで大過なく村政を運営出来ましたのも議員各位並びに村民皆様の御協力の賜であり、深く感謝申し上げます。
今定例議会は、村長就任以来はじめての予算編成であり、その責任の重大さを痛感するとともに、決意を新たに村民の負託に応えるため、平和で心豊かな明るく住みよい知念村づくりに全力を傾注してまいる所在であります。
世の中は国際化の時代を迎え、各国が相互依存によって共存共栄を図っていかなければならない時代に、国際秩序を乱す中東湾岸問題が発生し、ついに最悪の湾岸戦争に突入致しました。その結果が我が国にどのような影響を与え、地方自治体にどういう影響を及ぼすか国際情勢の動向が注目されます。
現下の国の財政事情は、多額の公債残高を抱え今後急速に進展する人口の高齢化や国際社会における我が国の責任の増大等、今後の社会経済情勢の変化に財政が対応していくためには、財政改革を推進して財政の対応力の回復を図ることが緊要な課題となっており、なお厳しい状況が続くものと思慮されます。地方財政においても国と同様行財政改革を積極的に推進し、財政構造の健全化を図ることが緊要な課題となっております。
これまで沖縄は、沖縄振興開発特別措置法に基づく高率補助制度によって、生活環境の整備、生産基盤の整備、学校教育施設の整備等々、社会資本の整備充実が図られてまいりましたが、平成三年度はその特別措置法の有効期限となっており、その行方が注目されるところであります。
特に本村のように自主財源に乏しい自治体においては、その制度の延長問題は最大の関心事であり、県当局と一体となって延長にむけて最大限努力を払わなければならないと考えます。
平成三年度における本村財政は歳入面では、人口の減少によって一般財源の要である地方交付税及び村税等の大幅な増額が期待できない反面、人件費、公債費、負担金等の義務的経費の増大、土地改良事業、農村総合モデル事業、漁港整備事業、道路及び排水施設等の生活環境整備事業等、旺盛な財政需要に対応すること等から厳しい財政環境下にあります。
このような状況をふまえ、歳入については自主財源の確保に努めるとともに、歳入の見直しを図っていくこととし、歳出については村単独の建設関係工事の縮減をはじめ経費の節減に努め、財源の効率的配分を図ることを基本に本年度の予算を編成しました。節度ある財政運営に努めるとともに英知を結集して変動する時代に即応し、二十一世紀を展望した新しい基本構想に基づく調和のとれた活力ある知念村の建設に鋭意努力してまいります。
村政に対する基本姿勢
[写真]職員採用試験を受ける受験者
私の村政に対する基本姿勢は、平和主義・主権在民主義・人間尊重主義を基本とします。
自治体というのは、住民の税金による住民のための仕事を信託された住民の代行機構であります。古くて新しいこの原理、即ち地方自治体の主人公は住民であるとの基本認識にたって村政を運営して参ります。
それは人間尊重を基識とした人間関係を重視する和のある村政であります。そのためには村民との意志疎通を図ることが何よりも大切であり、村民との対話のある村政でなければなりません。村民の声に耳を傾け、村民の声を村政に反映させる公正な村政であり、村民から信頼される村民のための村政であります。
私たちの住む社会における政治、経済、社会文化活動等をはじめあらゆる活動は、すべて人間が行うものであり、その活動の場である組織や地域が発展するか否かは、その構成員によって大きく左右されると考えます。人材育成の重要性が叫ばれるゆえんであります。
本村の将来を担う人材を育成するということが如何に重要であり、その育成を図っていくことは何時の時代でも変わりはなかったと思われるし、今後も変わらないと思います。人材育成を本村百年の大計の基本と位置づけ、あらゆる人材育成に努め、人的資源の豊富な村づくりに努力してまいります。
村政運営の基本指針は、既に第二次知念村総合開発基本構想策定によって示されており、本村の将来像である「水と緑と朝陽の里」の実施計画を早急に策定しこれが実現に努めてまいります。この基本構想は、村民が快適で豊かさを享受し明るく幸せな生活を送れるように生活環境、社会福祉、教育文化、産業の振興等の整備拡充を図っていくというものであります。これらの整備に当たっては、私たちの住む地域は「生活の場」だという視点に立ってハード、ソフト両面から村民の「住みよい村づくり」を目指して取り組んでまいります。
本年度の重点実施項目
一、教育文化の向上について
[写真]各部会代表の発表者
村づくりの基本は、人づくりだと言われております。国際化が一層進展しつつある時代にあって「世界の中の知念村」「二十一世紀の知念村」を考えた場合、最も優先して取り組むべき施策は「人材育成」であると考えます。
教育立村を目指す本村は、次の時代を担う青少年の健全育成、自主、創造性豊かな人間形成、郷土の自然と文化を愛する情操豊かな人材育成は私たちに与えられた大きな使命であると考えます。その為次の施策を実施します。
(1)学校教育について
教育基本法によれば「教育の目的は人格の完成を目指し、平和的民主的な国家及び社会の形成者として真理と正義を愛し、個人の価値を尊び勤労と責任を重んじ自主的精神に充ちた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。」とうたわれています。
教育行政はこの教育基本法の理念に基づき、教育環境の整備、学習指導の充実を図り青少年の健全育成に努めます。
本村の将来を担う児童生徒の基礎学力向上対策として昨年に引き続き学校教育指導主事を招聘し、学力向上の充実強化を図ってまいります。
国際化の時代に対応できる人材育成の観点から外人教師による英語教育の向上につとめてまいります。
義務教育の段階における学習意欲、学習態度等のよい習慣を身につけさせることは非常に大切なことであり、学校、家庭、地域、行政が一体となって強力に取り組む必要があり、その為学力向上対策村民会議の活性化に努めてまいります。
(2)社会教育について
高度化、多様化する現代社会情勢のなかで心豊かな人間形成をめざし、生きがいのある充実した人生を送るには生涯学習は不可欠だと思います。
「子供は大人の後姿を見て育つ」と申します。各種学級等の開設は単に大人の為のみならず、子供達の教育にも大きな影響を与える重要な要素を有するものであり、その充実強化を図り健康で活力ある情操豊かな社会人の形成に努めてまいります。
本村は文化芸能に優れた人材に恵まれており、また各字に多くの伝統芸能があり、これらを発掘しあるいは継承発展させていくことは、現代に生きる私たちの責務であると考えます。その一翼を担う文化協会の設立、育成に努めていきたいと思います。
(3)文化財の保護について
本村は先人の残した文化遺産が豊富にあり、この貴重な遺産を保護し後世に継承させていくことはそれぞれの時代の責務であります。本村には国の重要文化財に指定されている蒸場御嶽と知念城跡があり、その復元補修は重要課題の一つであります。
本年度は特に社会教育課を設置し、これら文化財の復元補修及び周辺整備について、国や県の関係機関に強力に要請しその実現に努めます。
[写真]保存修理中の知念城跡
(4)スポーツの振興について
村民の健康維持増進は最重要課題の一つであり、村民が適度の運動を行い、日常の健康管理に努め各種スポーツ行事に積極的に参加できるよう体育施設を開放しその有効利用を図り、村民の健康増進とスポーツの振興に努めます。
また各種スポーツの振興発展は底辺の拡大が大きなウエートを占めているとの観点から各種スポーツ少年団の育成に努めていきたいと思います。
二、村民福祉と健康づくりについて
[写真]バトミントン教室
[写真]健康相談
村民福祉の向上と健康づくりは、重要事項であります。
一人暮らし老人、寝たきり老人、心身障害者、母子家庭等社会的に弱い立場にある人々の環境は、ますます厳しくなると思われます。このような状況に対応するため、国・県や村そして社会福祉協議会、民生委員、各種団体ボランティアの方々と提携して村民が安心して暮らせる温もりのある母子福祉、児童福祉、老人福祉、障害者福祉等の福祉事業を昨年に引き続き継続実施してまいります。
また村民の健康づくりに対する関心は年々高まってきており、今や保健事業は活力ある社会を実現するための重要な役割を担う事業の一つとなっています。健康相談、健康教育、保健教育、保健審査、日常生活用具等給付事業等を実施し、村民が日常の健康管理、健康の保持増進し、健康で明るい生活が営めるよう保健事業を推進してまいります。
三、生活環境の整備について
本村は自然の景観に恵まれて「生活の場」にふさわしい地域だと考えます。村民が快適な生活を享受できるようこれまで道路、下水排水、農村広場等の整備が進められてきております。本年度も引き続き次の事業を実施してまいります。
1 歩道設置整備事業
2 下水、排水路整備事業
3 道路舗装整備事業
4 村道未買収道路用地処理事業
(2)交通安全対策について
交通安全対策については、警察、行政、各種団体の懸命な努力にもかかわらず交通事故は後を断たず増加の傾向にあり、特に高校生のオートバイ事故の多発は大きな社会問題となっています。
本村では郵便局の移転にともないお年寄りや児童生徒のバス乗車の為の道路横断が多くみられるようになり、特に当該地域は見通しの悪い所から交通事故が心配されます。そこで事故防止のうえから与那原署に信号灯の設置を強く要請し、事故防止に努めてまいります。
交通安全対策について警察ともタイアップし、村民の意識の高揚等に努めてまいります。
[写真]幼稚園児の交通安全指導
四、産業の振興について
(1)農業基盤の整備について
農家の生活の安定と所得の向上を図るためには、農地の集団化、農業機械や施設の導入等を図り、農業経営の合理化を図る必要があります。そのためには土地改良事業による圃場整備や灌漑排水及び農道の整備等の農業基盤整備が実施されなければなりません。そのため本年度も引き続き農村総合モデル事業や農地保全事業、灌漑排水事業等を導入し実施してまいります。
その他の農業振興策として次の施策を実施してまいります。
農業団体の育成を図るため各種農業団体への助成や病害虫防除対策として農薬購入助成及び農薬配布を行い、生産量の増加と農業所得の向上に努めます。
また遊休地等の流動化を推進し、専業農家の耕作面積の拡大を図り専業農家の育成に努めてまいります。
[写真]吉富地区土地改良総合整備事業
(2)水産業の振興について
豊富な漁場に恵まれている本村の漁業は、漁業協同組合や漁民の努力により近年著しい発展を遂げておりますことは喜ばし限りであります。
とる漁業から栽培漁業への転換をはかり、若者達の漁業への定着化と後継者の育成は大きな課題であります。漁民の生活の安定化をはかるため漁業生産基盤を整備し水産業の振興を図っていかなければなりません。今年度も漁港の改修事業、浚渫、船揚場等の整備を実施してまいります。また新しく魚類等の出荷調整を行うため冷凍冷蔵庫の建設を進めてまいります。
近年の遊漁人口の増加にともない近海の漁場は、ビニールや釣糸等が散乱し、珊瑚の被害等が心配されるところからクリーンアップ事業を実施し、漁場の保全を図っていきたいとおもいます。
[写真]マダイの養殖生簀
(3)造林策について
本村の森林地帯は西部側に多く見られるが、森林は集落や鳥用地を抱護し、地下水をかん養、自然界を浄化するうえで重要な機能をはたしています。森林の保全育成は本村土地利用の骨格として位置づけられています。本村では四年前から本格的な造林計画をすすめ、積極的に取り組んでまいりました。緑豊かな自然環境の造成と地滑り防止を図るうえから今年も造林事業を実施してまいります。
五、その他
(1)人口問題について
本村の人口は、平成2年度の国勢調査によれば五、九一九名となっており前回に比して一七○名の減となっています。人口の減少は各方面に大きな影響を及ぼすことから人口減対策は焦眉の急であり、早急な対策が望まれるところであります。その解決策の一つとして県営住宅の建設を県当局に強力に要請してまいります。
(2)職員の育成について
行政運営の円滑化と人材育成の観点から職員の育成策として自治大学校へ1名、県地方課へ1名派遣することとします。解決策の一つとして県営住宅の建設を県当局に強力に要請してまいります。
(3)県道の早期開通について
救急業務や消防防災のうえから早期開通を多くの村民は待ち望んでいることと思います。早期開通にむけて積極的に取り組んでまいります。
おわりに
以上平成三年度の施策の概要と村政運営の基本姿勢について申しあげましたが一般会計予算において二、四二九、一〇九、〇〇〇円と定めて、対前年度比で一四・六パーセントの伸びを示しておりますものの、なお財政事情の厳しい現況に鑑み、財政の効率的運用に一層努力してまいる所存でありますので、議員各位並びに村民皆様の御理解と御協力をお願い申し上げ、私の施政方針といたします。
平成三年三月十二日
知念村長 志喜屋新孝
| ダウンロード | https://docs.google.com/uc?export=download&id=11AFzw5T_7fF3kbY23bVvcTAohIpCz0AJ |
|---|---|
| 大分類 | テキスト |
| 資料コード | 008385 |
| 内容コード | G000000362-0001 |
| 資料群 | 旧知念村広報 |
| 資料グループ | 広報ちねんNo.60(1991年3月) |
| ページ | 2-5 |
| 年代区分 | 1990年代 |
| キーワード | 広報 |
| 場所 | 知念 |
| 発行年月日 | 1991/03/31 |
| 公開日 | 2026/09/24 |