なんじょうデジタルアーカイブ Nanjo Digital Archives

魅力ある豊かな村づくり 昭和63年度施政方針

[写真]
第三回知念村議会定例会が三月十一日から二十四日までの日程で開かれ、開会初日の本会議で仲里村長は向こう一年間の施政方針を明らかにしました。
はじめに
昭和六十三年度の知念村の村政運営の根幹となる昭和六十三年度知念村一般会計歳入・歳出予算を始め、知念村国民健康保険事業特別会計歳入・歳出予算知念村老人保健事業特別会計歳入・歳出予算及び知念村簡易水道事業特別会計歳入・歳出予算並びに関係条例等の二十五議案を審議いたすべく三月通常定例議会が本日開催されるにあたり、昭和六十三年度のわが村の村政運営方針の一端を申し上げ、村民の一人一人のご協力と議員各位のご理解、ご協力を賜りたくお願い申し上げます。
昨年は、わが県における今世紀最後の全国一巡の第四十二回国民体育大会「海邦国体」及び第二十三回身体障害者体育大会「かりゆし大会」もウマンチュが主役をあいことばに一人一役で村民や県民がその役割を充分果し、海邦国体及びかりゆし大会が大成功を期し、全国民や選手の方々から高く評価されましたことは御案内の通りであります。
特にわが村で行なわれた銃剣道の少年の部の選手は全員わが村出身で優勝の栄冠をかち取り、少年の部、成年の部と優勝し、わが沖縄県の総合優勝の原動力となったのであります。
これもひとえに村民一人一人の共通理解によるご協力の賜のであります。
本席をかりて改めて村民の皆様や役員、関係者の方々へ心から感謝とお礼を申し上げます。
ほんとうにありがとうございました。村民の皆様がこの国体に寄せられたお気持で、何事も一致協力なさればわが村のような小さな村でもやればできることが立証されたのであります。
どうか、この尊い体験を村政発展のためにご協力されますことをお願い申し上げます。

第一基本方針
昭和六十三年度は、村民のより豊かで幸せな生活を目ざし、村民が健康のもとで生活の安定、福祉の増進、産業の振興による所得の向上、教育、文化の向上を基本方針として、わが村のキャッチフレーズの「岩清水に潤うニライカナイの里」知念村にふさわしい村政運営の施策を樹立したいと存じます。
ところが昭和六十三年度の国の行財政運営は、売上税の廃案により依然として収支不均衡の財政運営が予想されるなか、円高、ドル安、更にはガット協定による自由貿易による国際貿易摩擦により、国の財政も厳しくなることは明白であるが、景気浮揚対策として昭和六十三年度の国の内需拡大による投資的経費の積極的財政運用によって、国内経済の活性化を図ることになっているが、この積極財政の効率的運営のためには売上税にかわる大型間接税の導入等による財源確保が必至である中・大型間接税の導入にも種々の問題があり、国や地方公共団体における財政運営は引続き厳しいものと予測されます。
ところが国の昭和六十三年度予算編成方針は過去五年間のマイナスシーリング予算編成から脱脚し、国内経済の活性化を図り、内需拡大による景気浮揚を図ることになっております。
また、昭和六十三年度の国の地方財政計画も国民健康保険事業の見直しによる地方公共団体への負担義務づけ及び投資的経費の拡大によって、国の政策とともに景気の拡大を図るべくため、地方交付税が約六%程度の伸びになる予想であります。
しかし、国民健康保険事業者の地方自治体への負担による地方交付税の加算は、実費負担額もまかなえない状況であります。
その反面、児童保護措置費(保育所運営費)及び失対事業費負担率が従来の冬から↓へと大幅に補助率が落ち込み、自主財源の乏しいわが村の財政を大きく逼迫させている中、村民要求である土地改良事業、生活環境の整備、農村総合モデル事業、中城湾港南部開発事業の推進及び漁港の整備等の新規事業並びに大型事業の対応費、また老人医療費の高騰、村社会福祉協議会の福祉センター建設費の債務負担行為の負担金、し尿処理費負担金等の義務的経費が年々増嵩し、わが村の昭和六十三年度財政運営も非常に厳しい状態であります。
このような状況の中において村民所得の向上快適な村民生活の向上をめざし、次の重点施策の基に昭和六十三年度の予算を編成いたしました。
一、村民所得向上のための生産基盤の施設整備
(1)農業基盤の施設整備
ア、土地改良事業の実施
イ、農地保全事業の実施
ウ、農業構造改善事業の実施
エ、農村総合モデル事業の推進
(2)水産業の施設整備及び推興
ア、志喜屋漁港の整備
イ、漁業振興のための補助育成
ウ、中城湾沿岸水産業振興基金の創設
二、村民生活環境の整備と保全
ア、村道(三号線)の改良整備
イ、集落排水等の生活環境の整備と保全
ウ、久手型地区簡易水道施設の改良新設
三、村民福祉の向上及び保健衛生の増進
(1)村民福祉の向上対策
ア、児童福祉、老人福祉、母子福祉身心障害者福祉の充実強化
イ、村社会福祉協議会の円滑な活動と育成
(2)村民の健康増進及び環境衛生の保持
ア、し尿処理施設の円滑な運営対策
イ、ごみ処理業務の円滑と環境保全
ウ、保健事業の強化充実による村民の健康増進
四、教育・文化・スポーツの振興と青少年の健全育成
ア、義務教育の充実と学力向上
イ、就学前教育の充実
ウ、社会教育の拡充
エ、青少年の健全育成
五、久高島の振興対策
六、村の活性化対策
ア、中城湾港南部開発構想(MTP)の策定
イ、知念村基本構想及び整備計画の策定
イ、知念村基本構想
ウ、民間活力による活性化対策
以上の六大事業を積極的に推進し、知念村が二十一世紀にむけた中長期的な「潤のある豊かな知念村づくり」に全身努力いたしたく、次のとおり昭和六十三年度の四会計予算を編成いたしました。
一、知念村一般会計予算
一、八五三、三九〇千円
二、知念村国民健康保険事業特別会計予算
三二二、三九〇千円
三、知念村老人保健事業特別会計予算
三八三、七六二千円
四、知念村簡易水道事業特別会計予算
二〇四、七六〇千円
四会計予算総額
二、七六四、三〇二千円
前年度二、三五〇、八六五千円に対し一八・八八パーセントの伸びとなっています。

第二、村民所得の向上と生産基盤の施設整備について
(1)農業基業基盤の施設整備
農家所得の向上と生産コストの低減を図るため、志喜屋、山里台上地区の土地改良事業及び本年度から採択予定の吉富、久手堅地区の土地改良事業の実施、久原、海野地区の農地保全事業、知念地区構造改善事業、農村総合モデル事業が昨年認可され、これらの農業基盤整備事業を実施し、農家所得の向上と農業経営の合理化を図る。
(2)水産業基盤整備と振興について
志喜屋漁港の整備については今日まで局部改良事業によって整備してきましたが、局部改良事業では、あと十年以上もかかることであり、早期完成を図るには、同漁港の格上しかなく、国の第八次漁港整備計画にむけて強く要請してまいりましたところ、今年度から改修事業への格上が認められ、本年度から施設整備し、同漁港の完成を国の第八次漁港整備計画最終年度の昭和六十七年度を目どに完成させるべく最大の努力をいたします。
また、漁業振興のための補助育成については、漁民の安全操業のための漁船用無線通信施設設置の補助及び漁船建造資金の利子補給についても従来通り行って漁業の振興を図ります。
更に中城湾沿岸水産業振興基金の創設により水産業従事者の保護育成を図る。

[写真]整備がまたれる志喜屋漁港

第三、村民生活環境の整備と保全について
村民の日常生活が快適に営まれるよう、村道山里地内十五号線、知念地内三十二号線の改良整備、新しく知念地内村道二十九号線を臨時地方道路整備交付金で改良整備し、村民の交通安全並びに車両交通の円滑化を図ります。
また、地方生活環境整備事業によって、集落内の道路及び排水施設を行い、快適な日常生活環境の整備をいたします。
次に久手堅、吉富地区の簡易水道施設の老朽化が激しく、同地区の給水管敷設及び東部地区の長期的計画給水を円滑に行うため、配水池の新設を行い、村民の水事情の緩和を図って、村の給水事業を効率的に運営する。

第四、村民福祉の向上及び保健衛生の増進について
(1)村民福祉の向上対策について
児童福祉、老人福祉、母子福祉、心身障害者福祉等の各種制度を有効的に活用し、村民が福祉制度の恩恵から遺漏のない旨を村民に周知せしめ、老後や母子世帯等の生活安定を図ります。
また、保育所及び社会福祉協議会の円滑な運営を図ると共に心身障害者、母子世帯の自立更生を助長するために村社会福祉協議会等の団体と連携を行い、村民の各種福祉施策の充実強化を図ります。
なお、知念村のユニークな福祉施策の一つである一人暮し老人の生活安全確認のための「一声かけ運動」による一人暮し老人福祉対策を継続的に行い「一人暮し老人の生あいづくり」を充実強化を図ります。
(2)村民の健康増進と環境衛生の拡充について
人間最大の幸は、健康であり村民の健康管理を強化するため、各種検診や健康相談を数多く実施し、村民の疾病を早期発見を行い、村民の健康増進と日常の健康管理のため、積極的に各種予防接種や健康診査、健康管理相談を実施し、村民の健康増進を行います。
また、環境衛生については、ごみ処理、し尿処理の計画的な処理対策を樹立し、島尻消防消掃組合の合理的運営に努める。
粗大ごみの処理については、各自処理でありますが、村内に粗大ごみの放置が見受けられ、自然環境に恵まれたわが村の美観を阻害している。今年度は、財源の可能な限り放置された粗大ごみの処理計画を行い、心豊かな環境づくりと公衆衛生思想の高揚と環境の美化・保全を行います。
[写真]交通安全教室

第五、教育、文化、スポーツ等の振興と青少年の健全育成について
(1)学校教育の充実と学力向上について
教育は、人間特有の無限の資産であり、どの世界においても共通しうる尊い資本であることは周知のとおりであります。
特にわが村のように面積が狭く、就業の場が少ない村では、教育の向上は何よりも重要な施策であり、昭和六十年度より県教育庁の基礎学力向上地域指定を受け、小中学校の基礎学力向上のため、学校現場、家庭、地域社会、知念村青少年健全育成村民会議及び行政が一体となって児童、生徒の基礎学力向上の研究、調査等の実践活動を行い去った二月二十日、三ヶ年間の実践活動と成果の発表会が行われ、県教育長を始め、各界関係者から高く評価を得ております。
今後は三ヶ年間の調査、研究実践をもとにわが村の児童、生徒の基礎学力の向上及び自主創造に富み、心豊かな人間形成を目ざした学校教育の向上と充実、強化を更に続けていきます。
(2)就学前教育の充実について
教育の高度化社会環境の中において、幼児教育は最も重要な役割をなし、就学前教育は家庭の母親や保育所、幼稚園での就学前教育が大切であります。
特に情緒教育については、幼稚園における教育が基礎となるため幼稚園教育の強化、充実を図ります。
(3)社会教育の拡充について
高学歴社会や国際交流及び高度情報化時代の今日の社会環境においては、社会教育の強化を図ることは重要な課題であります。
めまぐるしく変動する社会環境における生涯教育の必要性は高く、社会のニーズに対応すべく社会教育の強化を図るため、本年度は高齢者学級、婦人学級、青年者教室等をはじめ、村民要求の学級を十教室開設し、社会教育の充実強化を行い、村民の知識を高揚を図ります。
(4)青少年の健全育成について
将来の世代を背負う青少年の健全育成は、行政当局や地域社会の重大な責務である。
わが国において、今日ほど青少年の健全育成が叫ばれた時代は過去の歴史にも数少ないことであるといわれてから久しくなります。
わが村では、青少年の健全育成は、村民全体の責務と位置づけし、知念村青少年健全育成村民会議を主体に、学校、家庭、地域社会、行政サイドの連携を密にして、青少年の健全育成に具体的に取り組んでいます。
その成果が現われ、与那原警察署管内において、わが村は非行少年が少ないと与那原署の防犯課長がわざわざこられ、おほめをいただいたのであります。
今後とも青少年に豊かな人間性を身につけさせるために、六、〇〇〇村民が心を一つにして、邁進するよう最善の努力をいたします。
(5)文化財の保護及び村民スポーツの振興について
わが村は、沖縄民族の発祥の地、五穀発祥の地とその名も高く、斉場御嶽、知念城跡の国指定重要文化財をはじめ、御太陽ウッカー、知念大川、志喜屋グスク、知念グスク等の名所旧跡の有形無形の文化遺産が数多く存在しており、これらの文化遺産を後世の人々の学術、研究の場として正しく保護継承すると共に、わが村独自の文化財指定及び今後保護するもの等も多々あると思います。知念村文化財保護審議委員会の調査研究のもと、保護育成を行う必要があるものは積極的に保護育成を図ります。
また、村史二巻の発刊については、計画より一年遅れましたが、昭和六十二年度内に発刊発注が可能であります。引き継ぎ、三巻の編集にむけてその取りくみを行い、編集委員の方々のご尽力をお願いするものであります。
次に村民スポーツの振興については、知念村体育協会、婦人会、青年会、老人クラブ等の各種団体とタイアップし、村民のスポーツの振興とスポーツを通した日常の健康増進を図るため村民体育館及び各学校の運動場の有効的活用を図って村民のスポーツの向上に努めます。

第六、久高島の振興について
久高島は、本島安座真港より約六キロの比較的よい位置にありながら、就労の場がなく、中学校卒業後は島を離れ、若者の安住する者が少なく、過疎化の波は年と共に激しく老人の島と化する現象である。
村としては、このような過疎防止策としていろいろと模索しながら電気、水道、診療所、港等の公共施設を積極的に施設整備してきたところであるが、過疎化の歯止めをすることができない状態であります。
今後の過疎防止策としては、カーフェリーを就航させ、通勤通学を可能ならしめ、同時に観光の誘致を図って、島の活性化と就労の場の確保が必要であります。
ところが、カーフェリーの就航については、字民と海運会社とのコンセンスが必要であり、早急な対応が要求されます。
どうか一日も早くカーフェリーの就航計画ができますよう充分な態勢づくりをなし、カーフェリー就航によって海路交通の緩和ができ、過疎防止の一助としたいと存じます。
また、島の産業振興を図るには、遅れている土地改良事業を早急に採択させ、島の農業振興を図るべく努力します。
なお、現在字民から要望されている離島振興総合センターの建設については、昭和六十四年度に建設すべく要請し、その見通しも非常に明るい。どうか字民の受皿づくりをよろしくお願い申し上げます。
次に、失対事業の施工方法については、従来のコンクリート全面舗装工事を改め、字民の要望どおり施工し、久高島の文化的要素を保全するように失対事業を実施いたします。
[写真]現在の久高公民館

第七、村の活性化対策について
わが村の中長期的振興開発計画による二十一世紀への構想策定として本年度は知念村基本構想策定準備の年度にあり、中城湾港南部開発構想(MTP)の策定を村民ニーズに応えるべく計画を樹立し、あわせて知念村基本構想策定及び開発整備計画は二十一世紀への礎として、真に村民要求と雇用の増進等の拡大を図りながら、民間活力を充分活用したところの知念村特有の整備計画を樹立し、各種産業の振興・文化の高揚、村民生活の豊かな環境づくりを行い「岩清水に潤うニライカナイの里」にふさわしい創造性に富んだ魅力ある豊かな知念づくりをめざし、中長期的な活性化対策を図り、国際社会に追従しうるよう最大の努力を傾注いたします。
また、自主財源の乏しいわが村の財政運営を効率的、かつ有効に運営すべくため、消費的経費を節約し、社会資本の整備に伴う投資的経費の拡大に努め、知念村の健全な財政運営を図ります。

結び
以上、昭和六十三年度の村政運営にあたっての施政方針を申し上げましたが、昭和六十三年度の知念村一般会計予算、知念村国民健康保険特別会計予算、知念村簡易水道事業特別会計予算及び知念村老人保健事業特別会計予算の執行については、資金計画を充分行い、有効的、かつ適正な予算執行を行います。
どうか議会議員をはじめ、村民の一人一人が村政に対するご理解とご協力を賜わりますようお願い申し上げまして、昭和六十三年度の村政運営の指針といたします。

ダウンロード https://docs.google.com/uc?export=download&id=1AMA2ShI382PL4GQ5dEE31bXLJhf-jNRZ
大分類 テキスト
資料コード 008374
内容コード G000000351-0001
資料群 旧知念村広報
資料グループ 広報ちねんNo.49(1988年6月)
ページ 2-5
年代区分 1980年代
キーワード 広報
場所 知念
発行年月日 1988/06/
公開日 2026/09/24