ブラジル生まれの満州鉄道体験者
新垣秀吉(屋号・島袋)
戦後移民帰国者
私は、ブラジル国・マットグロッソ洲カンポグランデ生まれです。父・稲長、母・カマは、一九一二年(明治四十五)に家族移民としてブラジルへ渡りました。父二十七歳、母二十歳の若さでした。フラジルで十二年暮しましたが、アルゼンチン国に母の弟・亀が住んでおり、ブラジルより生活がよいとのことで、家族六人で渡りました。アルゼンチンで二年暮らし、又と兄を残して、母と姉、私、妹の四人は、ブエノス港から大阪商戦マニラ丸で、大西洋まわりでアフリカ、ケープタウン、ダーバン、インド、シンガポールを経て鹿児島港に着き、昭和十年十二月那覇港に上陸しました。戦前移民の帰国者です。私が沖縄に来た当初は、日本語と沖縄方言が話せませんでした。そういう訳で、学校には行けませんでした。三カ月ほど過ごした後、日本語が少しずつ話せるようになったので、一年後の昭和十一年四月から第二大里尋常高等小学校へ入学することが出来ました。昭和十六年十二月、第二次世界大戦が始まり、戦争の影響を受けることになりました。少年の頃から通信学校を希望していましたが、試験でも学科はパスーますが体格検査で不合格になりました。飛行整備兵を希望しても、体格検査で不合格でした。十七歳の成長期でもあり、考えを改めて旧満州鉄道会社に志願し、採用されました。昭和十九年六月、鹿児島に向け那覇港から出港し、護衛艦五から六隻をたずさえて奄美大島の古仁屋港で一泊。米軍の潜水艦の魚雷を避けながら、鹿児島に着きました。船団の中には、何隻か撃沈された船もありました。幸運にも私たちを乗せた船は、目的地鹿児島まで一週間かけて着きました。
満州での業務
鹿児島に着きしばらくすると、満鉄の職員が連れに来て、鹿児島から汽車で福岡の門司港へ行き、そこから八時間かけて釜山港に上陸。その足で満州(中国東北)行きの京釜山線の汽車で大田(テジョン)、満州の国境線板門店、開城、平壌(ピョンアン)を通り、北朝鮮との国境新義州を渡り、満州に入りました。そこから安東線を北上し、藩陽市(旧奉天市)に着き、早速各職場に配置されました。私と知念盛道(字仲程)他二人は、遼寧省(旧奉天省)鞍山市霊山区の機関区運転課に配属されました。宿舎は黎明隊舎で、レンガ造りの三階建てでした。私と知念は、一回の二八号室に落ち着くことになりまし隊員は七〇〇人から八〇〇人で、職場は一kmはなれた場所にあり、出勤するときは全員隊列を組んで行きました。勤務先での仕事は電話番と雑役で、々方であろうと夜中であろうと、機関区内で誰かが出勤していないから起こしてこいと言われ、寒いとき(零下三〇度)に起こしに行くのは大変つらかった。私たちは、戦争にあまり影響はありま村んでした。終戦後は仕事が縮小され幹部級だけ残され、私たちは蘇家屯に設備修繕手として配置されました。しかししばらくして解雇されたため、中国人の農家の大農場で野菜作りをして働いていました。あるとき主人が、あなたは日本のどこから来たのか、とたずねられ「沖縄」と答えると分からないねと言われ、もしかしたらと思い「琉球」というとすくに分かってくれました。琉球は大昔中国と貿易を、行った国だと言われ、その後は私には特に親切にしてくれました。短い期間でしたが、あの時に親切にされたことが忘れられません。いよいよ日本への引揚げが始まり、私も第三次引揚げに決まりました。引揚げに当たっては五〇から六〇人単位でしたが、私を含め一〇人の指揮官に組まれ、苦労しました。引揚げは蘇家屯からで、屋根のない貨物列車に積み込まれ、錦州から港のあるコロー島に着きました。そこから舞鶴行きと博多行きとに分かれました。九州方面は興安丸で、博多に帰港した旧満州で二年過ごしたことになります。郷里沖縄を出てから三年ぶりに帰郷しました。昭和二十六年、新垣ハル子と結婚。四人(男二、女二)の子供に恵まれ、孫九人と繁昌し幸せに過ごしています。現在は一〇〇〇坪の農地に極楽鳥を栽培。昔の苦労を忘れ、老人クラブ活動を通し、楽しく人生を送っています。父はアルゼンチンに渡って以来一度も帰郷せず死去。兄・秀善(ホセ)は、再度沖縄訪問をしてくれました。
移民史編集事務局
我部政照
| ダウンロード | https://drive.google.com/file/d/1qMW5h4ZUiuJUtOq1g3SS2SUvv1-5vfCI/view?usp=drive_link |
|---|---|
| 大分類 | テキスト |
| 資料コード | 008463 |
| 内容コード | G000001079-0008 |
| 資料群 | 旧大里村広報 |
| 資料グループ | 広報おおざと 第247号 |
| ページ | 5 |
| 年代区分 | 2000年代 |
| キーワード | 役所・役場行政広報 |
| 場所 | 大里 |
| 発行年月日 | 2001/02/01 |
| 公開日 | ー |