なんじょうデジタルアーカイブ Nanjo Digital Archives

南部地区婦人の主張大会で最優秀賞

桜梅桃季 大里村婦人会比嘉絹代(島袋)
みなさんは、部屋の片づけはお好きですか、私は、コツコツやるのがとても苦手です。やる時は家具を移動させ、とことんやります。つい先日も、本格的な夏に向け、少しでも涼しい風が通るようにと我が家の模様替えをしました。片づけを黙々とやってる最中に、一枚の新聞記事の切り抜きが目に止まりました。赤ペンで傍線まで引かれています。おそらく主人が切り抜いた物だろうと思いつつも、掃除の手をちょっと休め読んでみるとその内容に興味を引かれました。それを少し紹介したいと思います。数年前、ドイツで、ある「展覧会」が評判を呼び、ヨーロッパ各地で大好評になりました。そして、大西洋を渡り、カナダ等でも公開されました。そのタイトルが「ダーク」。日本語で「暗闇」の意味です。参加者は、真っ暗な会場の中を悲鳴をあげながら手さぐりで進んでいく、すると、水の音が聞こえ、草の香りがする。最初の展示物は、庭園である。次々と進んでいく中で、うろうろ、おろおろしていると、はっとスタッフが助けに来てくれる。やっと場外に出ると、誰もが「はっ」と驚かされているのです。てきぱきと案内してくれたあの時のスタッフは、全員が目の不自由な方々であったからです。この「展覧会」の企画の意図は、さまざまあったと思います。その一つは、社会で「優劣」をつけて通用している様々な差別も実は単に比べているにすぎない。条件が変われば、立場は逆転するといつ事を教えています。そして、文の最後はこう結ばれていました。「『桜梅桃季』。『桜梅桃季』とは、すべての『違い』を『尊い個性』と認め合う。ここに人と人とを結ぶ軸がある。桜は桜らしく。梅には梅の良さがあるように、別のものになる必要もない。最高に自分らしく個性の花を咲かせていくことである」と。私は読み終えたあと、疲れていたにもかかわらず、すがすがしい気分になりました。なんてすばらしい言葉でしょうか。「桜梅桃季」。私はそっとつぶやきました。まるで人生哲学を悟ったような、そんな気持ちに包まれました。そして、うきうきしながら再び掃除に取りかかりました。自分の回りの人々の事が新鮮に映ってきました。みんな、みんな掛けがえのない大事な一人一人なんだ。と我が家には、四人の子供達がいます。同じ環境で、同じ愛情を賭けて育ててきましたが、それぞれ性格も違い、それぞれの長所や短所も異なります。今までその違いを「お兄ちゃんはね」とか、「お姉ちゃんはね」と、兄弟を比べ子供を叱る材料に使った事もありました。今思うと、自分で気づかないうちに、人と人を比べ「優劣」をつける事を、子供達に教えてしまっていたのだと反省しました。発想の転換によって、それぞれの「違い」を「尊い個性」と取ることによって、その子の持つ良さを、もっともっと伸ばしていける母親になっていけるのではないだろうか。小さな発見は、私の中で日ごとにふくらんでいきました。そして、それはあるイベントを通して、更なる展盟に至りました。去る六月、「慰霊の日」の関連行事の一環として、沖縄国際平和会館にて、「現代世界の人権展」という展示会がありました。人間が人間を殺しそれを名誉とした残虐な戦争の写真を初め、人種差別や、階級制度、そして飢餓に苦しむ子供達等、人権侵害の極みを見せつけられる展示でありました。この展示会に参観された、ある識者の方が次のような感想を寄せてありました。「人間同志が、互いの違いを認め合い、尊重し合い、共存していける世界をつくることが、現代の我々に課せられた責任と街命であることを強く感じました」と。その時、私は「すべての違いを尊い個性と認め合う、ここに人と人を結ぶ軸がある」との「桜梅桃季」の原理と、識者の感想が、二重写しとなって頭をよぎりました。一人一人を思いやる心は、ひいては国と国との相互理解へ、そして戦争のない平和な世界の建設へと発展していくのです。この人間社会を、根底から正しく変えていける原理が、「桜梅桃季」の生き方にある事を、私は声を大にして叫びたい衝動にかられました。今、社会に目を向けてみますと、環境汚染、経済不況、リストラ、薬物による殺人、不登校やいじめなど、様々な問題をかかえています。なかでも一日も早く対処すべき事は、子供のいじめによる自殺です。誰にも言えず、耐えに耐え、あげくの果ては、自分で自分を死へとおいつめてしまう。そんな事件を聞くたびに胸の締めつけられる思いがします。何故、このような社会になってしまったのでしょうか、実に深刻です日本人はとかく、島国根性が強く、「いいものはいい」とはっきり認める事のできない民族と言われています。人の目を通して物を見、少ーでも自分より勝るものなら陰口を言い嫉妬する。やがて世界から相手にされなくなるだろうと、心ある識者は嘆いています。私も一人の日本人として、打ち消したくもなりますが、子供達の住みにくい社会をつく一たのは、否定できない事実です。今、私達大人の生き方を、もう一度るつめ直す時ではないでしょうか。めまぐるしく変化する社会で夢中に生きているうちに、一番大事な事を忘れてしまっていたのでしょう。今フそ、それを我が手に取り戻さなければなりません。それこそ、一枚の新聞の切り抜きが私に教えてくれた、「桜梅桃季」の生き方です。

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大分類 テキスト
資料コード 008462
内容コード G000001066-0009
資料群 旧大里村広報
資料グループ 広報おおざと 第234号
ページ 6-7
年代区分 1990年代
キーワード 役所・役場行政広報
場所 大里
発行年月日 1999/11/01
公開日