なんじょうデジタルアーカイブ Nanjo Digital Archives

将来の展望は村民参加で早期実現に

野里 農業の観点から農協サイドとしてはレクゾーン構想をどうみていますか。

仲里良一・大里村農業協同合長 大里村は県都・那覇市のベッドタウンに隣接し都市近郊農業として繁栄できる位置と条件を備えています。立派な農地を有し、現在、国の農業政策は大里が行っているような農業の在り方では経営ができない状況にきています。ウルグアイラウンドによる開発途上国との農業生産物と競争していかなければならない運命にあります。レクリエーションゾーンを通して、大里の農業の発展、村の活性化を考えていくべきであります。沖縄の経済状況は農業よりも観光産業を優先する立場に変わってきています。農業生産額は約一千五百億円。これに対して観光産業は四、五千億ともいわれています。現在は観光を無視した農業は在り得ません。農協としてもその情勢を的確に判断してあらゆる事業を改革していかなければなりません。この起伏に富んだ地形を生かし平地の耕地は国の政策に準じる。傾斜地は果樹、観用植物野菜など園芸施設をつくって奨励していく。また、景観を利用した観光農園などもできるのではないか。日本全国の旅行者が長期に滞在できる施設も必要では。そうでないと大里村はただ見るだけの素通り観光地になりかねません。村を活性化するためには何らかの収益を上げなければなりません。このレクリエーションゾーンは収益性のものではないといいますが、収益を度外視しての活性化は在り得ません。県の指導を受けて、十分な計画が必要ではないでしょうか。海のない村は村民の知恵と工夫で活性化は可能だと思います。関東で内陸に面している群馬県の知事にお会いして尋ねたことかあります、「海の無い県は山を活用する。海の無いところほど妙味ある」と述べていました。村民の知恵を絞ることが活性化につながる。大里は歴史上、文化村として条件を備え、史跡巡りなども有効な観光資源の活用になります。レクリエーションゾーン構想の成功は村民一人ひとりの力の結集が大前提です。私は農協長として村の農業を通してレクゾーン構想の発展そして村の活性化に、力を入れていきたい、と考えます。

野里 収益を度外視して活性化は在り得ないということですが、県内外にアピールしていくためには収益性は大事。そこで商工会もレクゾーン構想に大いにかかわってきますが、どのような考えを持っていますか。

島袋哲也・大里村商工会長 本村は大部分が農業振興地域のため、土地利用の規制が厳しく店舗が思うように建築できず、商工業を志す若者が村外に流出しています。近年は急速な都市化の現象の波と道路網の整備に伴い、ベッド々ウンとして人口が増加。今後は村とタイアップし、中心市街地ゾーンを設定、商店街の基盤整備を早急に進めていくことにより、商工業の発展が望めるものと考えます。そのような状況下、村の東部丘陵地に地域の特性を生かしたレクリエーションゾーン構想の計画が策定されたことは非常に喜ばしく、今後商丁会および村発展に大きく期待が持てます。本村は四町二村と接し、県囚では珍しい内陸型で、これといった観光名所はないですが、西原区のミーグスク展望台から望む景観は慶良間諸島中城湾が一望できます。このように由緒ある歴史と立地条件、自然環境に恵まれた大里村に、多目的グラウンド、子ども広場、展望台、天文台、キャンプ場、工芸村など十一地区に分けた夢のあるプランに商工会としても全面的に協力し、早期実現に向けて共に頑張っていきたいと思います。商工会ではシンポジウムの継続的開催を働きかけるとともに、各種イベントを毎年計画していきたい一例えば、南部地区やぎ汁ヿンテスト。各市町村を代表する料理の達人を一堂に集め、自慢の腕を競い、全村民でやぎ汁パーティーを行う。またパラグライダーの県大会、三世代による手づくりのたこ揚げ大会など。全村民の意識高揚を図って村の活性化の起爆剤とし、早期実現に向けてアクションを起こしていきたい。

野里 レクゾーンを南部の拠点にしようということですが、大里村民をはじめ多くの人がどのように利用するか、できるかが問題。利用する側の立場から玉城さんの考えを

玉城吉江・前大里村婦人会長 恵まれた自然環境のなか心地よい汗をかいた後はゆっくりくつろぎ、読書もしたいこのすばらしい公園で親子で気軽に親しめる図書館、手づくり売店などもほしい。この構想の中で、市民農園が計画されています。土地の有効利用の面からも自分の健康は自ら管理する。手づくり健康生活に向けてふれあい市民農園は大いに期待されます南風原集落より内原公園の道沿いに流れる饒波川は大雨のたびに土手が崩れるところでありました。しかし、水が豊富で時期の野菜づくりが楽しみのひとつ。近年、川が改修され、土手の崩れる危険はなくなりましたが、夏場の野菜がつくれなくなりました。水の流れるせせらぎの音は聞こえますが、川の底までアスファルト張りで水をくむことができなくなりました。いろいろな事業を推進されるのは素晴らしいことと思いますか行政は説明会を何回開催したかではなく、地域住民が納得のいく説明をぜひ行ってほしいと思います。最後に今回のレクリエーションゾーン構想の中で、各地区、地域に見合った計画がなされています。自分の地域に愛着を持ってもらうためにも青年、子どもたちに多くの夢を語ってもらいたい。そして環境を保存し、大里を夢いっぱいにし、訪れる方々に心身ともに潤いと安らぎの感じられる村を全村民の力で作り上げていきたい。

野里 パネリストの最後に、これまで出された意見を踏まえて県の観光文化行政の立場から大里村出身でもある瑞慶覧局長に話をうかがいます。

瑞慶覧長弘・県観光文化局長 行政の役割は時代の先取りで二十、三十年先を見て、政策誘導することだと思います。今こそ、二十一世紀に向けて「夢のある住みよい南部の地域づくり」に、官民一体となっていくべき時でしょう。九四年版の総理府発行の観光実績をみると、九三年の国内観光は延べ人数約二億四百万人。国民一人あたり平均一・六三回で前年比で約三・八%増と推計されています。これまでの推移から今後も増えることが考えられます。また昨年沖縄へ入域した観光客は三百十八万人で前年比一・%となっています。県においては観光リゾートの振興を第二次沖縄振興開発計画の重要な核と位置付け、三次振計の目標年次である二千一年には五百万人を目標にしています観光振興を図る場合、一般的に四つの基本施策が重要。まず第一は魅力ある観光地づくり。市場差別地による競争力確保のための多様で魅力的な観光地。二点目は受け入れ。ソフト、ハード両面にわたるサービスの提供。三点目は誘客宣伝。四点目は関連事業との連携強化が挙げられます。大里村は沖縄本島南部のほぼ中央に位置し、人口約一万一千人の農村地域。また、歴史の由緒をいまに伝える古い村でもあり、名所旧跡の多い所。村の東部は標高百四十メートルの丘陵地帯からなり、豊かな自然と大里城跡など史跡や文化地域も多く、観光地として広く県民に利用されています。村では一九〇ヘクタールのこの丘陵地に地域の特性を考慮して「スポーツ地区」「森林公園地区」、「歴史工芸村地区」など十二地区からなるレクリエーションゾーン構想を策定、村の活性化を図る計画。そこでまちづくりで大事なことはその地域に軸となりうる要素があるかどうか。つまり大里村の自然、歴史、文化、産業について考えてみると、自然=東部の丘陵地帯に立派な森林地帯が広がっています。大里城跡のミーグスクの素晴らしい眺望を生かす歴史=尚巴志時代前期に二つの地域を有し、内陸型にもかかわらず中国と貿易を行って栄えた地であります。文化=組踊、獅子舞、綱引き、民族芸能、棒術など南部地域における文化の宝庫。産業=尚巴志時代はいまの与那原を中心に大和船や唐船が出入りして経済の中心地でありました。また、まちづくりには交通ネットワークの整備も欠かサません。以上のことからレクゾーン構想を考えた場合、ヘルシーリゾート基本計画とも相乗効果が期待できます。地域活性化には「リゾート沖縄酒田村大学」のような県外地域との交流の場の形成。移民村としての特色を生かして「リトル南米」をつくって南米との交流を促進するとともに、そこに足を運べば南米の果樹、花木が見れる場所をつくる。純農村の特色を生かした「牧場とのふれあい」などの事例が挙げられます。

シンポジウム 会場参加者からの意見
【一】村内に若者が就職できる場を創出し、就業後、短時間で行けるような施設を造ってほしい。そうすれば雇用も安定して、レクリエーション施設の利用も増えるのではないでしょうか。
【二】お年寄りが利用できるような施設を数多く造ってほしい。レクリエーションゾーン施設の中で、全国からお年寄りが利用できる全天候型のゲートボール場を造ってほし
【三】施設が計画されている西原区からですが、集落からの人口流出が悩み。レクリエーションゾーン構想に伴い集落を活性化させたい。そうすると利用者が増え、私たちの区にも若者が定着するでしよう。
【四】野菜、果樹などの朝市をぜひ計画してほしい。
【五】地元の人に配慮した施設を造ってほしい。沖縄の持っている良さを県民、住民、行政がもっと認識してその長所を売り込んでいき、また、どれくらいの期間で収益を見込んでいるのか。など予定時間をかなりオーバーして意見がだされ、村民の関心がうかがわれました。

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大分類 テキスト
資料コード 008462
内容コード G000001012-0004
資料群 旧大里村広報
資料グループ 広報おおざと第180号(1994年12月)
ページ 4-6
年代区分 1990年代
キーワード 役所・役場行政広報
場所 大里
発行年月日 1994/12/07
公開日 2026/03/27