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昭和63年度施政方針 都市近郊農村として「調和ある豊かな村づくり」をめざして!

昭和六十三年第二回大里村議会定例会が、三月十一日から二十九日まで、十九日間の日程で開かれました。議会初日の冒頭で、仲程實信村長は、予算や条例察件等を提案するにあたり、村政運営の基本方針である昭和六十三年度の施政方針を表明しました。同定例会には、昭和六十三年度大里村一般会計予算や大里村国民健康保険特別会計予算、大里村核兵器廃絶平和宣言について等が原案通り可決されました。なお、施政方針(全文)は、次の通りです。

はじめに
本日ここに三月議会定例会を迎え、昭和六十三年度一般会計予算特別会計予算並びに条例案等を提案するに当たり。村政運営の基本方針と施策のあらましについて私の所信を申し上げ、議員各位村民皆様の御理解と御協力をお願いします。私は、村政運営に当たり、本村を都市近郊農村としての、『調和ある豊かな村づくり』を基本方針として村政を進めております。本年度もこれまでの行政効果を踏まえ、引き続き「農業の振興」、「教育の振興」「生活の安定及び文化の向上」の三点を重点柱として推進し、村民の期待に沿うべく、全職員一体となりまして、村民の信頼と付託に応えられるよう努力していく考えでございます。

昭和六十三年度予算編成方針
わが国の経済情勢、並びに財政事情について述べますと、「昭和六十二年十二月二十二日閣議了解」で、次のように発表されております。先づ昭和六十三年度の経済情勢は、内外金融市場において、これまでの円高等の不安定な動きに注視し、石油価格の安定、物価の落ち着き低水準の金利、技術革新の進展等を背景として引き続き緩やかに拡大するものと期待される。このことから昭和六十三年度経済成長率は前年度をわずかに上回り名目で四・八パーセント実質で三・八パーセント程度が見込まれている。ところが、国の財政は巨額の国債累積による大巾の財政赤字をかかえ、不均衡財政が続いており、経常経費の徹底した節減を図ると同時にNTT(日本電信電話株式会社)の株売払収入財源で内需拡大策がとられ、内外経済情勢に適切に対処することとなっている。このことから昭和六十三年度は、内需拡大を図る一方、引き続き事務事業の見直し、行政機構の簡素合理化定員管理の適正化等により、行財政の重点的かつ効率的配分等により、昭和六十三年度の一般会計予算は、前年度当初予算に比べ四・八パーセントの伸びを示し、又一般歳出予算も前年度当初予算に比べ一・二パーセントの伸びとな「ている。一方、地方財政対策については、地方財政の健全化にむけて、国庫補助率引き下げ停止、地方交付税の増額等の財政措置を講じることとなっているが、地方自治体においては、多額の地方債をかかえる等地方財政は依然としてきびしい状況にあります。とりわけ、自主財源に乏しい本村においては近年公債費や人件費等の上昇により、経常収支比率は上昇を続け、財政は一段ときびしく、今後は一層財政のあり方に徹底した是正を行い、財政の健全化を図る必要があります。以上のことから、昭和六十三年度の財政運営に当っては行政需要の高まっている中、補助事業費の伸びに伴う対応費が上昇し、財源面がきびしく、建設事業の村単独事業費の抑制と、需用費、備品費等の経常経費の節減を行い、財源の重点的、効率的配分を行うことに努めました。

昭和六十三年度一般会計予算
その結果、昭和六十三年度一般会計予算は、二十五億六百万円となり、前年度当初予算に比べ十・七パーセントの伸びになっております。このように前年度を上回ったのは、歳入面では主に建設業費の伸びに伴う国庫支出金、県支出金の増をはじめ、地方交付税、村税等が増加しており、歳出面では、主に農林水産業費、土木費及び公債費等が増加したためであります。尚詳細については、お配りした昭和六十三年度一般会計予算書案をご覧になっていただきたいと存じます。次に昭和六十三年度の主な施策について申し上げることにします。

昭和六十三年度の主な施策環境の整備について

道路の整備について
村道の整備は、これまで年次的に進めてまいりましたが、西原~半田線の道路改良工事及び舗装工事が前年度で完了しました。本年度から新たに国庫補助事業として目取真~大城線、屋宜原線の整備を予定しております。又、緊急地方道路整備事業として、稲嶺中央線、古堅、高俣線の舗装工事を予定しております。村単独事業の舗装、補修、側溝整備工事等についても引き続き進めてまいります。

大里内原公園の整備について
内原公園整備事業は、前年度で外観の擁壁工事を終え本年度は主にテニスコート、ゲートボール場、チビッ子広場等の整備を予定しております。

河川整備について
前年度、河川災害復旧事業で饒波川の河川両岸の整備に伴い、本年度はその関連事業として保地橋を災害復旧関連事業で改良整備を予定しております。

環境衛生の充実について
環境衛生の充実は、村民の日常生活を維持していくためにも重要な施策の一つであります。本年度も引き続き生活環境の保全に努めてまいります。まず、日常生活から発生するゴミについては、例年どおり収集し、島尻美化センターで処理し、粗大ゴミについては、前年どおり、収集処理することとします。又、島尻消防清掃組合により、近代的なし尿処理施設(清登園)が昨年末(十一月六日)に完成し、地域の環境衛生上の一転機を迎えました。本年度から同施設の本格操業されますので、地域のし尿処理が円滑に行われるよう努めてまいります。

村民の健康保持と福祉の向上について

健康保持について
健康の保持は、社会生活を営むうえで、最も大切なものであります。本年度も引き続き村民の健康を守り、更に増進させるために、各種健診事業を実施したいと考えております。まず、老人保健法による健康診査、健康相談、訪問診査、健康教育、機能訓練等を予定しております。なお、健康診査では、肺ガン、乳ガン、子宮ガン等の検診を前年度同様に実施し、成人病等の早期発見が出来るよう努めます。つぎに、各種予防接種、乳幼児健診及び健康相談、妊産婦健康相談、妊産婦栄養相談等も例年どおり実施し、乳幼児、児童生徒、母子の健康保持に努めます。又、食生活は健康保持上最も重要だといわれていますので、本年度は、栄養教室を保健所の指導を仰いで開講し、食生活への理解を高めたいと思っております。

村民福祉について
村民が安心して暮せる地域社会の建設を目指し、村社会福祉協議会をはじめ、民生児童委員等の福祉関係各位の御協力で年々住民福祉を充実してまいりましたが、本年度も、引き続き関係諸団体の協力を得て、老人、児童をはじめ、経済的、社会的に不安定な立場にある心身障害者、母子・父子家庭、病人や低所得でなやんでる方々へのうるおいのある福祉活動を進めるとともに新たに母子・寡婦福祉会を結成し、母子寡婦家庭の福祉向上を図りたいと考えております。

児童福祉について
明日を担う、幼児の保育並びに児童の健康増進を図るため、引き続き保育所、児童館の管理運営を強化するとともに、職員研修の強化並びに保護者との連携を深め、児童福祉の向上に努めています。

老人福祉について
長年地域社会の発展に貢献なされた老人が、健康で安心して暮らせるように、引き続き老人福祉事業を強化し、老人クラブ活動の育成に努め、更に一人暮し・ねたきり老人介護に家庭奉仕員の派遣や、ねたきり老人を一時老人ホーんに入所させ、入浴、リハビリ等の介護委託を行う等老人福祉の向上に努めてまいります。

農業の振興について

土地改良事業について
この事業は、農業の基盤となるほ場の区画形質の整備及び、ほ場排水を整備し、労働生産性、土地生産性を高め、農業経営の安定を図るためのものであり、昭和五十一年度から国、県補助事業として、これまで稲嶺地区、嶺井地区平川地区及び当間地区、仲程地区については工事及び本換地を完了しております。大城地区は前年度で工事を完了し、本換地を残すのみとなっております。本年度は、大城地区の本換地と前年度から工事を始めた真境名地区の工事を進める予定であります。更に未採択地区の採択実現にむけて努力したいと考えております。なお、六十二年度までの整備済面積は二百六十haで整備計画面積四百四十四haの五十八パーセントの整備となっております。

農業構造改善事業について
この事業は、国県の補助事業として、昭和四十九年度から第一次構造改善事業として、昭和五十六年度から第二次構造改善事業として導入し、これまで各種施設を整備しております。又昭和六十年度から新農業構造改善事業を稲嶺地区に導入し、前年度までに花キ団地の施設を整備してまいりましたが、本年度は同地区において新たに野菜団地の施設整備を予定しております。

農地保全整備事業について
この事業は、急傾斜地帯の農地保全対策として、農用地の侵食崩壊防止のため、排水施設、農道整備を行い、生産性を高めるものであり、大城地区において平田原は六十一年度から、大石原は六十二年度から工事を国、県の補助事業として開始してまいりましたが、本年度は、前年度に引き続き両地区の工事を進める予定であります。

農村総合整備モデル事業について
この事業は、本村の農村基盤及び農業集落の生活基盤を整備するものである。国、県の補助事業を導入し、昭和五十二年度から工事をはじめ、集落内の道路、排水路、農村公園、農村環境改善センター等を整備してまいりましたが、本年度も引き続き集落内の道路等を整備する予定であります。なお、昭和六十二年度までに、この事業に投下された予算は、凡そ十三億円で着々と整備が進んでおります。

真境名地区基盤整備事業について
この事業は、集落内の道路整備をはじめ、生活雑排水の浄化に係る一連の施設を整備するもので、国、県補助事業として、昭和六十二年度から工事をはじめてまいりました。本年度は引き続き、排水施設の工事と生活雑排水処理施設の工事を予定しております。

農業整備事業について
この事業は、農村基盤整備事業の一環として農道を整備し生産性を促進するものであり、本年度から新たに、国、県の補助事業として稲嶺地区土地改良地内の幹線農道の舗装工事を准める予定であります。

農作目の生産振興について
本村は、さとうきびをはじめ、野菜、花キ、畜産は主産地となっております。近年パインアップル缶詰をはじめ、農産物自由化への外圧を迎え、又、さとうきび価格の引き下げ等農業を取りまく環境は、依然としてきびしい状況にあります。本村農家経営の安定を図るうえから、村農協等と一層連携を深め、その改善策に取り組まなければならない時期となっています。そのため、本年度も引き続き基幹作目のさとうきびをはじめ、野菜、花キ等の栽培技術並びに畜産の経営技術の改善について、研究会、協議会を開催し、農家の生産、経営の安定を高めてまいりたいと考えております。

教育の振興について

学校教育について
学校教育は、人間形成の基礎となる必要な知識、教養を養うと共に豊かな個性や社会性を培うため、真の学力と健やかな体、思いやりのある心を育む場であると同時に、わが国の伝統文化の理解と日本人としての自覚の涵養を育む場であると痛感しております。特に、小学校段階では、「読む」「書く」「算」の基礎の修得を重視し、中学校においては、各科目の修得と個性の伸長、自己抑制力、日常社会の規範を守る心の育成に力を入れ、二十一世紀を担っていく国際社会人としてめまぐるしく変革する社会に適応できる教育活動を行う時期にきていると思われます。このような視点に立ち、なお一層教育内容の充実と教育環境づくりに努力してまいります。なお、学校の校舎施設等については、前年度までには、ほぼ達成されております。本年度は、北小学校の運動場拡張整備の早期実現にむけて、北幼稚園の園舎の移転について、引き続き関係機関に折衡していきたいと考えております。

幼稚園教育について
義務教育就学前の幼児期が人間形成の中で大事な時期といわれています。園児の健やかな発達を促進するために、本村の南幼稚園では、前年度、県の研究幼稚園として、指定をうけ「自主的、自発的に活動できる園児を育てること」をテーマに、職員、父兄が一体となって取り組み、その結果を県及び島尻教育事務所の関係者をはじめ、県内幼稚園教諭多数参加の中で発表会が行われ、多くの成果が認められました。本年度は、その成果や反省点を踏まえ、保育内容の充実と快適な環境づくりに努力してまいります。又、園児の登園、降園時の安全面についても、一段と配慮してまいります。

社会教育について
社会経済の発展とともに、人間生活も多様化しており物質的に豊かになった今日では、より生きがいある生活への指向が高まっており、精神面並びに健康面の充実が強く要求されるようになってまいりました。このように心身ともに健全なる村民づくりにむけて、昭和六十一年度から、県派遣社会教育主事の指導によって、多くの成果を収めつつあります。本年度も、その成果を足がかりに引き続き社会教育活動の体制づくり並びに生涯スポーツ活動を強化し、社会教育の振興に努めてまいります。

文化活動について
祖先の残した文化遺産を大切に保護し、未来に伝えることは、我々の義務であると痛感しております。前年度に文化財の分布調査等を行ってまいりましたが、本年度も、引続き村内各地に残る、有形、無形の文化財の分布調査を行う予定であります。

総合計画の策定について
日本経済は、円高基調に伴い貿易黒字が続き国際経済に大きな影響を与えており、近年対外貿易摩擦を生じ、農作物の自由化が拡大される傾向から、わが国の農業生産の活力を低下さサるのではと、懸念されています。急激な経済動向の変化は、市町村の諸計画の修正にもつながるものと思慮されます。本村においても昭和五十五年に策定しました基本構想は、目標年次(六十四年)に近づき、中期的計画の基本計画が改訂時期にきています。その間社会情勢の変化は著しいものがあり、特に都市近郊農村としての本村は、那覇広域都市計画区域にあって、近年、那覇市を中心とする都市地域からのスプロール様相が強く、都市エネルギーの影響が拡大されつつあります。本村は、農業を主体とする方向性には変わりはありませんが、年々第三次産業への、移行が強く、都市的構造へ変化しつつあり、調和のとれた都市計画で地域の活性化を図る時期にきていると考えられます。かかる情勢から、本年度は既成の市街化区域の計画的開発促進と昭和六十五年の那覇広域都市計画の見直しに合わせて中心市街化区域の設定と総合的、かつ、計画的有機的行政運営の実現をはかるため、基本構想基本計画、都市計画等個別法に基づく各種の個別結果を盛り込んだ統一的基本となる総合計画の策定を予定しております。以上のとおり、昭和六十三年度の施策のあらましを申し上げましたが、財政事情の厳しい現況に鑑み、村政運営にあたっては、行財政の効率的な運用を図り、村民の生活向上に向けて、より一層努力していく所存でございますので、議員各位、村民皆様の御理解と御協力をお願い申し上げ私の所信と致します。
昭和六十三年三月十一日
大里村長仲程實信

ダウンロード https://drive.google.com/file/d/1_e4lp19sUiHpBTJ3kFow3R-JMJzFXS7i/view?usp=drive_link
大分類 テキスト
資料コード 008460
内容コード G000000946-0002
資料群 旧大里村広報
資料グループ 広報おおざと第114号(1988年5月)
ページ 2-6
年代区分 1980年代
キーワード 役所・役場行政広報
場所 大里
発行年月日 1988/05/01
公開日 2026/03/27