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九州青年の船 研修に 参加して 町田宗孝(二十二歳)

タイムトラベルしたような…いっぱい友だちも…
昭和五十九年八月三十一日、ドラの音とともに「新さくら丸」は岸壁を離れた。
「情熱発見、青春の航海」への旅立ちである。「外から自分を見つめ、見直す機会にしたい」、「グローバルな視野を培う」、「多くの友を得たい」など、私の大きな期待と熱気をはらんで一万六千余トンの巨体は中国へと向った。
日中友好九州青年の船は、九州全県が「九州は一つ」を合い言葉に、地理的にも歴史的にも最も深く結ばれている中国と、次代を担う青年を通じて日中両国の友好と親善を深め合おうと毎年一回行なわれている研修である。
七月二日、まる二日かかって上海(シャンハイ)に船が接岸。右足で中国の大地を踏みしめようか左足で降り立とうか迷っているうちに、上海の人々の心暖まる歎迎を受け、すっかり上ってしまい、どの足で降りたかわからない。
人と自転車で、むせ返るような熱気にあふれた上海、人口千百八十六万人、中国最大の工業都市どこを見ても人、人、人の洪水。さすが十億の民の国、これほどの人間がどこから出てくるのか、思わずうなってしまった。
北京に来ると、町の雰囲気が上海・無錫(ムチャク)とはガラリと違い、新しい文化と古い文化が融和し、なんとなく落ちついて首都の威厳が漂う。
一度に五十万人が収容できるという天安門広場、そこから新生中国が誕生し、世界を揺り動かす偉大な指導者が生まれたのかと思うと胸が熱くなる。そしてそれらにつながる故宮を訪れると、さすがに歴史の国中国、日本に多大な影響を与えた底力がうかがえる。かつて絶大な権力を誇ったであろう城の主たちの遠い過去が蘇ってくるようだ。
そして絶大な権力を滅亡させた人民の団結力に頭の下がる思いがした。
「大きな川が満ちれば、小さな川も満ちてくるし国家が繁栄すれば、個々も豊かになるという信念のもとに、国家建設を国民一人ひとりが誇りとし。近代化実現のため努力する。自己の夢を実現できずとも、次の世代に託し自分のすべてを打ち込むその懸命に生きる姿には感心させられた。
同じ東洋の国、同じ漢字文化の国、なぜか異国に来ている感じがしない。二十年位前の日本へタイムトラベルしたような気分であった。
中国の人たちとの交歓また航海中の「九船まつり」など、私の一生の思い出になるものである。
日本の外に出たことによって、自分のこれまでの視野の狭さを痛感、また中国の人々の質素な暮しを見て、自分たち日本人は、あまりにもせい沢をしているということを反省した。

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大分類 テキスト
資料コード 008460
内容コード G000000911-0010
資料群 旧大里村広報
資料グループ 広報おおざと 第79号
ページ 8-9
年代区分 1980年代
キーワード 役所・役場行政広報
場所 大里
発行年月日 1984/09/30
公開日