家庭裁判所で取り扱う少年事件には、窃盗や恐かつ、傷害などの一般保護事件のほか、速度違反ら無免許運転などの道路交通事件がありますが、一般保護事件の中で最も数が多く、少年の代表的非行とも言えるのが窃盗です。
昭和五十一午度に全国の家庭裁判所に送られてきた一般保護事件は約一〇万四〇〇〇件ですが、そのうち窃盗事件は、約九万三〇〇〇件(約四五六ハーセント)に上ります。目動車の運転による人身事故で占めっれる業務上過失致死傷を除いてみますと、実に少年非行の六〇パートを窃盗が占めていることになります。しかも、少年の業務上過失致死傷や傷害の非行が、ここ四・五年漸滅の傾向にあるのに比べ、窃盗は逆に増加の傾向にあり、楽観を許さない状況です。
ところで、一口に窃盗といってもその内容や程度、方法は実にさまざまですが、少年による盗みの中で最も数が多く特徴的なのが、買物客を装って店舗の品物を窃み出すいわゆる万引きです警察の統計によりますと、昭和五十一年度に窃盗で補導された少年の三八・五パーセントが万引きで、自転車盗の一四・〇パーセント、オートバイ盗の一三・一一パーセントに比べて、その割合かはるかに高いことが分りますし、東京家庭裁判所における同年度の少年事件についての調査でも、少年の窃盗の四三パーセント近くは万引きて占められています。
少年非行における万引きは、中学生など比較的低年令層の学校生徒に多、少年の年令が高くなるほど数が滅る傾向にありますか、学校生徒の中でも、男子は中学生、女子は高校生に多く見られまのが特徴ですよく非行の低年令化ということが言われますが、その中心は万引きであると言ってよいでしょう。
また、少年の万引きは、いわゆる「遊び型非行」の典型でもあります。学校からの帰り道、友達の一人が万引きの話をしたことかきっかけとなって、スーパーマーケットなどで衣類やプラモデル、化粧品などを集団万引きした生徒グループのケースはどの地域でも見られる非行の形態です。彼や彼女たちには、盗みをしなければならない必然的な動機はありません。むしろ、好奇心やスリルを求めての、単純な、遊び的要素の強い非行なのです。それだけに、その非行の内容、程度も概して軽く、適切な手当を加えさえすれば一回限りで立ち直る少年が多いのですしかし、その反面、万引きをした少年は、自分だけでなく友達もやっているとか、大したことではないといり安易な気持ちを持ちやすく、その場合、初めての万引きの成功体験から次々に非行がエスカレートする危険性もはらんでいます。非行の早期発見と初期の適切な手当という少年非行対策の大原則は、特に遊び型の力引き非行に当てはまることです。
家庭裁判所では、このようなケースが送られてきますと、少年本人はもちろんのこと、家庭や交友関係など、少年をとり巻く環境と非行との関係を調査して非行の実態を明らかにします。特に、非行が集団で行われた場合は、そのグループそのものの実態を十分は握する必要があります。その上で、その少年の処遇を決めるわけですが、例年、窃盗の少年について少年院送致や保護観察などの保護処分にしたり、あるいは成人並みの刑事処分に回すのは、全体の一〇パーセント程度に過ぎません。このことは、万引きを中心とする少年の窃盗の大分部が一過性の非行であることを示しているとも言えます
もっとも、一過性の非行と言ってそのまま放置しておいてよいわけではありません。家庭裁判所では、特に処分をしないケースについても、ク年や保護者に指導、助言などの保誤的措置を講じていますが、このよ"なケースで最も大切なことは、非行をきっかけにて、家庭、学校、地域社会が少年の心情を十分理解した上で、温かい関心と指導性を強めることでしよう。万引きなど遊び型非行の少年に必要なことは、人生に対する生きがいを見付け、悪いことに付和雷同しない心の強さを身につけることです。このことは、家庭の努力はもちろんですが、学校や地域社会の協力なしにできることではありません。
非行には、必ずその前触れの症状があると言われます。学校ぎらいや怠学や、服装の乱れ、小遺いの浪費盛り場へ出入りなどの徴候が現れたときは、各家庭で速やかに何らかの手を打つ必要かありましよう
同時に、非行に陥る少年が中学生高校生に多いことを考えますと生徒の日常示す関心や興味に対応しクラブ活動の啓発など学校での有効な生徒指導対策が期待されままた、少年の持つ問題の程度によては、警察や児童相談所などの関係機関を積極的に活用することも必要でしよう。家庭裁判所もこれら関係機関と連携を深めて、少年の非行対策に最大の努力を払っています
| ダウンロード | https://drive.google.com/file/d/1YXRumeIc9FXnHRC3wwXGIXRFIzTcHvk5/view?usp=drive_link |
|---|---|
| 大分類 | テキスト |
| 資料コード | 008459 |
| 内容コード | G000000863-0012 |
| 資料群 | 旧大里村広報 |
| 資料グループ | 広報おおざと 第31号 |
| ページ | 6 |
| 年代区分 | 1970年代 |
| キーワード | 役所・役場行政広報 |
| 場所 | 大里 |
| 発行年月日 | 1977/11/15 |
| 公開日 | ー |