この度大城農研クラブ員と共に十八日間にわたる本土視察研修を終えて来ましたので紙上をもって日程に順じながら研修報告を致します。
私達一行六名は五月十六日正午那覇港より鹿児島県向け「おとひめ丸」で出発し、翌日十七日午前十一時に鹿児島港に到着しました。その日は日曜日でしたので、午後から桜島観光を致しました。
十八日午前九時に鹿児島県庁農政部技術普及課長を訪問し、十時頃までは同県内での研修日程を打ち合わせしました。
その後十二時までは農業試験場を視察しました。同試験場では特に蔬菜栽培における作物の連作障害の防止と経営の合理化を図る為にキュウリ、ピーマン、メロンなどの永耕栽培を研究し農家への普及段階に達している事であります。
午後より鹿児島市内の蔬菜、イチゴ栽培状況を視察研修しました。
特にイチゴにおいては米作に変る新作物として農協を中心にしてその成果をあげつつありましだ。
十九日には九州の最南端枕崎市でキュウリのハウスによる団地栽培を視察しました。
農協、市役所が中心となって市場調査、作付計画をなし栽培技術の指導、販売は農協が受け持ち農家は生産だけに集中している状況は私達沖縄の農家の現状からしてうらやましいかぎりであります。
農業経営も立地条件に合せた多角経営農家が多くみられました。また、台風が多いため台風に強いさとうきびの普及にも力を入れていました。
ブリックスは沖縄と大差はなく平均十八度程度であり単当収量は六トン前後となっています。しかし農家は単当収量が低いため農協、市役所が普及する割には栽培しないのが実情のようです。
私達は鹿児腸県での二日間の研修日程を終えて十九日夕方には宮崎県入りしました。二〇日には宮崎県庁経済部、営農指導課長を訪問し午前中は県内の畜産、蔬菜の現況と将来の計画について説明をうけました。
特に同県では私達一行を大歓迎し、研修後は二日間もマイクロバスを廻して下さいました。
二十一日には宮崎市内の和牛、肥育牛、農業構造改善事業の一環として設備した施設園芸等を視察研修し、翌二十二日には牛のセリ市場養豚農家等を視察研修しました。宮崎県を視察して畜産関係で感じたことは牛の肥育牛であります。飼料は濃厚飼料を中心に与え、間食としてワラをカッターで切り与えていることであります。
青草は肉質の面から絶対禁物とのことで私達の飼育方法とはだいぶ違っていました。それと共に徹底した牛の登録制度がありますのでそれだけ肉質もすぐれております。販売面はセリ制度ですので不合理な売買はなく農家は安心して飼育に励んでおりました。養豚の場合はむしろ沖縄が優れているように思いました。
特は母豚飼育者は仔豚を四十㎏まで飼育してからセリに出すので沖縄に比べ仔豚の飼育する負担が多くその割には価格も安いのが現状でした。
蔬菜面は県でも力を入れ東京、大阪などの大消費都市を中心として九州をはじめ北海道まで輸出していました。
その主要作物はカボチャ、キュウリ等であります。しかし野菜の場合はより早く新鮮に出荷することが第一であります。
同県の場合もそれに頭をかかえておりましたが、その具体策として現在、冷凍船を造船中とのことであり来年からは実現するようです。二十三日には福岡県庁農政部農業改良課長を訪問し、その後花世市場、農業試験場蔬菜、花世専門部分場と花世栽培農家を視察しました。
二十五日には兵庫県庁農政部経営課長を訪問し、市内の施設園芸農家を視察しました。特に同県に注目すべきことは沖縄で栽培しているパインを農家の方が青果用として栽培していることであります。
普及員の戸田さんは今後の農業は「適地適作」、ではなく「適人適作」だと話しておりました。私達はまだまだ農業に対する取組が甘く、遅いことを痛感いたしました。
二十六日には静岡県浜松市にある農業改良普及所を訪問し、その後メロンの協業栽培をしている中津川さんの農業経営を視察研修しました。
一人一人の農業は小規模で非常に弱いがこれが集れば強くなって高度な経済成長のなかでも充分企業としてなりたって行くことを終局の目的として十二名の農家が全面協業でメロン栽培を試み、資金は農業構造改善事業のわら資を借り受けてスタートしましたが四年後の現在はすべて順調に成長し去年は全国一の優秀農家に選ばれております。
経営の特長は現金収入が早いうえに市場下の嗜好率も高く、さらに単当収量の高いメロン一つにしぼっていることであります。
また、病害虫は徹底的に予防していました。もちろんハウスの作り方も独特に創意工夫をなし仕事もすべて合理的になされていました。生産コストもかなり低て今後の農業経営を示すものであります。
以上の本土研修を通じて一私が感じだ点は沖縄の農業は基盤整備はもちろん流通機構、わら資制度面が本土に比べかなりのひづみをもっていることであります。本土では本人がやる気さえあればいくらでも政府が融資をなすことは将来の農業を担う若者には大きな夢であります。
それと共に各県が与えら。れた立地条件を充分に活用して、さらに創意工夫をなし、それぞれ大消費都市進出を目指して県ぐるみで実施しているのに比べ私達沖縄は七二年返還が決った現在、県民一体となって沖縄独特の生産地形成をなすとともに本土への輸出対策を立て実施すべきであることを痛感いたしました。短い研修期間ではありましたがこの体験を生かして今後なお一層頑張りたいと思います。
| ダウンロード | https://drive.google.com/file/d/1_O_2z8Twq-k87Q46AaE5RXfOKAjLRdUx/view?usp=drive_link |
|---|---|
| 大分類 | テキスト |
| 資料コード | 008459 |
| 内容コード | G000000851-0006 |
| 資料群 | 旧大里村広報 |
| 資料グループ | 役所便り大里村 第13号 |
| ページ | 2 |
| 年代区分 | 1970年代 |
| キーワード | 役所・役場行政広報 |
| 場所 | 大里 |
| 発行年月日 | 1970/07/20 |
| 公開日 | ー |