この資料は、去った八月十七日、二三日にラジオ、テレビの「政府の窓」で放送のため、地方課で作成されたものである。
市町村合併について本土では、明治二二年頃から行なわれ、戦後において昭和二十八年から合併促進法の制定により急速に進んだ。
ところが、沖縄においては一九五六年に促進法が制定されて以来合併が実現した市町村はニカ所だけである。特に復帰を目前に控えて、当然のこと、本土並み或いはこれ以上の水準に引き上げるべく努力せねばならない。
そこで市町村の規模が検討され、市町村を経営主体として適正な規模に改めることは緊急の課題であろう。
質問
一、市町村合併は何故必要ですか。
答 現在、我々が住んでいる市町村の区域は殆んど七〇~八〇年前の間切時代の区域と同じものです。
当時は道路も悪くバスは勿論、自転車さえなかった灯油やハダシの時代ですから何処へゆくにも歩くか、馬を利用するほかなかったはずです。まして電話やラジオ、テレビがあったわけではなく新聞もいきわたらず郵便でも今日とは全く違って不便でしたので昔の役場の仕事をするにはほどよい大きさだったわけです。
所が、今日では道路通信綱は縦横にはりめぐらされ、自家用車、バス、船、飛行機電信電話等、交通通信手段の普及が著しくそれに伴って日常生活は便利になり、当然のことながら行動半径は当時でも想像もつかない程拡大しているわけです。このように生活空間は著しく短縮され、私共の経済社会生活は日々進歩し変わってきております。
一方、戦前は何事によらず、政府や県庁の指図ひとつによって動いてきた市町村の制度も、今日では市町村自治をたてまえとするように大巾に改められています。いいかえれば自分たちの村のことは自分たち村民でやってゆくという民主々義の制度が確立されたわけであります。
すなわち、市町村長や市町村議員は住民が直接選挙できめ、財政運営も市町村独自でなされるようになっております。これまでは、時代の進展に遅れながらも昔ながらの小さい市町村でどうにか、こうにかやってきたのですが、今では市町村でやらなければならない仕事が非常に多くなり、責任も重く、そのため役所職員がふえて人件費がかさみ、又議員の仕事もふえて経費がかかるなど、町村財政は苦しい状態におかれております。
そして小さい町村は町村という名前だけで町村らしい仕事、つまり、住民の幸せになるような仕事が十分にできない苦しい財政状態にあるわけです。これに反し、那覇市のように大きな市では都市を実施したり塵芥、し尿処理をしたり、。住宅に困っている人のため市営住宅を建てたり、上下水道を施設したり、埋立築港等による経済開発を図るなど住民の幸せになる仕事をしてどんどん発展しています。
このように規模の大きいところと小さいところでは、住民のためになる施設事業、サービス等の各面で格差があり、それは益々増大する傾向にあります。これらの問題の根本的解決を図るには市町村が合併し、自ら経営の合理化をすすめる必要があるわけです。
御承知のように日本本土では昭和二十八年から全面的に市町村合併が行なわれ。当時、約九、六〇〇もあった町村が現在では約二、七〇〇に激減しております。沖縄には現在五十九の市町村がありますので、これを二十六市町村まで減らすよう計画し、促進しているわけです。
質問
二、市町村合併に伴う利害得失というものはどうでしょうか。
まず利点として
答 (1)市町村経営の合理化が図れることです。例えば、合併によって市町村長、議員、助役、収入役、その他委員等の数が減るわけだがそれに伴う給与、旅費、交際費等の人件費が節約されます。それだけでも莫大な金がういてきます。 (2)次に財政規模の・拡大と効率的運用ができることです。例えば都計、埋立築港、ゴミ処理等の大型事業の実施が出来る。起債がしやすい。学校の適正な統廃合によって教育施設の充実が図れるなど……又、市町村の減少によって市町村と政府間の事務が合理化される。それに対し、不利な点は、役所が遠くなることと区域の拡大により民心の融和統一がうすれること位です。しかし、これらは支所の設置や、住民と指導者の努力で解決出来る問題で大したことはありません。
質問
三、市町村合併の現況はどうですか
答 一九五六年に市町村合併促進法が制定されて以来、あしかけ十三ヵ年間市町村合併を促進してきたが御存じの通り、これまでに那覇市、糸満町、石垣市が合併しただけで、期間をかけている割に成果はあがっておりません。しかし、最近では合併ムードが急速に高まっております。名護ブロックと宜野湾ブロックは合併促進協議会をとおして来年七月一日を目途として治発に合併準備を進めております。その他にもコザブロツク、本部ブロック、嘉手納、東風平、豊見城など活発な動きをみせております。
質問
四、市町村合併は政府が促進している割には進んでいないようですが、合併を防げている理由は
答(1)一番大きな原因は政府が貧乏なために合併した市町村に充分な手当をすることができず、市町村の政府に対する不信用ということでしょう。
(2) 住民が市町村自治について十分なる認識といいますか、地方自治は地域住民の行政要求を充分に満足させるように堆めなければならないのと、自治の自主独立性が充分でない。
(3) 合併ブロックの町村に大小があると、小さい町村は大きい町村に合併後圧迫ふれる恐れがあるので反対するとか、合併すると税負担が高くなるとの考えから反対する者もいます。
(4) 合併すれば村長や町長、あるいは議員にもなれないといった理由から合併に反対する人もおります。
(5) 農村の人は町(まち)と合併すると町(まち)の人に勢力を占められて損をすると思い、町(まち)の人は農村をかかえて財政上負担になると考えるなど、お互いに根拠のない被害妄想におち入って反対する場合もあります。
(6) 最も困るのは時期尚早論であります。この時期尚早という言葉はその裏に不純な理由が色々かくされていまして、正直にそうした理由が発表されていない場合はこの言葉を使って反対を表すことが一般に智恵者のやり方だと思います。次期村長をもくろんでいた人が合併されると村長になれないと思っていながら正直にこの事を反対理由として発表できる人はないといってさしっかえないでしょう。そこで、時期尚早という言葉で反対しても恥かしくない理由として人々が受けることを知ってこの言葉を持ち出して反対したいという事になります。
また、助役になりたい、収入役になりたい、議員になりたいためにも、この言葉が利用され、まことに便利な言葉となっています。
(7) 地理的に不便だとか、経済的交流がないなどの理由による反対
(8) 市町村交付税が、小さい市町村ほど多くいくので合併しない方が得だとする考え方など、いろいろな思惑がからんで合併を防げているといえます。しかし、これらの人部分は正当な根拠がありません。要は住民一人一人が如何に合併が重要であるかということを強く認識することだと思います。
質問
五、市町村合併では政府のどんな協力援助がありますか。
答 (1)市町村合併は、自分の住む町や村を豊かにする問題であり、住民自身が積極的にやるべきことなのですが、政府では「市町村合併促進法」をつくり、合併が円滑に進められるように色々の特別排置を講じ合併した市町村に補助金を出したり、道路の建設、河川の改修、港湾、漁港の改築、その他の土木事業のように政府の行なう事業についても合併した市町村を優先して行なうなどの措置をとることになっています。
(2) 市町村交付税で特別の合併補正を行なっております。すなわち、合併後五年間は人口一人につき、年一ドル三セントの割で交付税が増額加算されます。
(3) 合併促進を図るため、合併に関する調査計画の作成、市町村合併促進協議会の運営等の事務費として合併促進補助があります。
(4) 総務局地方課に振興係を置きまして、合併について色々と指導助言を与えられるよう協力体制を整えております。
質問
六、政府の今後の市町村合併に対する施策を述べて下さい。
答 市町村合併促進法の時限も一九七〇年十一月まで、あますところ十五ヵ月しかありません。合併促進法が出来だのが一九五六年十一月ですからもう十二年九ヵ月を経過したわけです。その間、政府は継続的に合併促進を図ってきたが、御承知のとおり、あまり成果はあがっておりません。またその取り組み方もマンネリ化した感があります。そこで、、市町村合併は社会経済の発展に即応せしめ、社会復帰体制を整えるうえから、是非とも解決しなければならない課題であり、市町村合併をなさずして市町村行財政の抜本的拡充強化策はありえないとの認識に立ち、自信をもって強化に合併を促進していくもりであります。
その方法として、
自主合併を原則とするがそれでうまくいかない場合は、
(1)合併関係市町村にし、所定の手続きを経て合併勧告をなし、それによってもなお成果が得られない場合は、政府補助金の中止等を含むあらゆる積極的対策を考える。
(2)合併の障害になっているのが市町村の政府への不信用ということもありますので、合併後の新市建設計画を確実に責任をもって遂行すること。そのために合併市町村が策定する新市町村建設計画の実施計画については、予算編成前に局長会議に付議し、局長会議の決定事項とする
(3)新市町村建設計画にもとづく事業に要する費用の国庫支出を本土政府に要請する。
| ダウンロード | https://drive.google.com/file/d/1pnRkl_dL1lp77frE350Cfs_ZgbrWOpVA/view?usp=drive_link |
|---|---|
| 大分類 | テキスト |
| 資料コード | 008459 |
| 内容コード | G000000850-0008 |
| 資料群 | 旧大里村広報 |
| 資料グループ | 役所便り大里村 第12号 |
| ページ | 2 |
| 年代区分 | 1970年代 |
| キーワード | 役所・役場行政広報 |
| 場所 | 大里 |
| 発行年月日 | 1970/01/15 |
| 公開日 | ー |