大城村長
第三三回大里村議会を招集致しまして、諸種の議案を提出し、御審議をいただく前に七二年度の施政方針を述べまして村民各位の御理解と御協力をお願いしたいと思います。
村長就任以来十ヶ月目でございます。過去の行政施行に当っては、議会はもとより村民各位の深いご理解と絶大なる御協力の御陰で円滑なる行政運営が進められたことに対し敬意を表すると共に心から感謝申し上げます。
七二年度の予算編成は村長就任第一回目でもあり、米軍軍事優先民族統治下の最後であり、又新しく日本国平和憲法下の自治体として、新生沖縄県として出発する始めの年でもあり誠に意議深い新年度でございます。
村民の味曽有の戦争苦の体験をふまえ、村民のあらゆる権利を破壊する日米共同声明路線に基づく戦争政策に反対し、特に基地撤去自衛隊の配備反対、基地公害のない反戦平和で豊かな明るい村づくりをする為には、私達沖縄県民はもちろん、村民の最も重大な関心事である返還協定についての日米交渉であります。復帰してよかったと、子々孫々まで喜ばれる返還でなければなりません。その点今までに報じられた協定の内容には私達県民の要求には程遠いものであり、大きな不満を表明せざるを得ません。
即ち核抜きの明示、VO私の撤去、請求権、軍用地の復元補償等数え上げれぱきりがありません。そのような県民無視の返還協定には反対の意志を表明し、あくまでA達新生沖縄の将来に悔いのない完全復帰を要求してまい進する事を基本姿勢とし、完全本土復帰、主幹道路である政府道の早期完全舗装、町村合併等を重点施策として、民主的な地方自治の確立により村民福祉を向上させ以て村民の要求に応えるべく諸施策を充実させていきたいと思います。
尚復帰対策は、政治の中央集権化が進むきびしい状況にあるか、復帰に伴い、本土法の移行に当っては、教育委員の公選制度、公務員労働者の権利等今までの運動の中で勝ち取ってきた既得権はこれまで許認事項として保護されている住民の利益も合わせて擁護していきたいと思います。
軍事優先の米国施政権下におかれた為、本来なら国家の負担で行なわれるべき事業等が村民に肩代りされてきた為村民福祉面で大きく立ちおくれている。今後は国の責任において村民の生活権利を守る諸事業を優先して行政に反映させたい
一九七一年度当初予算は三六万六千三三ドルで一九七二年度は三八万三千五三ドルで、五・ニパーセントの延びで依存財源八九・四三パーセント、自主財源十・五七ハーセントであります。交付税の延び率は復帰に伴い、本土の予算の会計年度が四月一日より三月三一日までとなっているのに対し、現在の沖縄では米国の会計年度と同じ七月一日より六月三十日までという三ヶ月のズレがあり、現在進められている返還協定はその時期がまだはっきりせず、本土政府は四月一日の目途で準備しているようでございます。
しかし、これが明示されてないこの時期に予算を作成しなければならない為に琉球政府といたしましても第二次内示は二六・五パーセントでございますが、自治法の第百八十条の二と第百八十一条により助言がございまして、予算計上額は十六・六%の延び率でございます。このような時期に収支のびバランスを確保し、予算の効率性を考え、最大の効果を上げ、村民の期待に添うべく労を致した次第でございます。特に七十二年度は先程申し上げた町村合併の年でもございます。今までの小さい村が広い区域に拡大されようとしています。行政も又合理的な行政に転化せざるをえない事と思います。又本土復帰も目前に迫り一大転換期を向えております。このような重大期を向えての行政の設計書たる予算編成にあたっては慎重を期したのでございます。産業政策と致しましては主要幹線道路の9期舗装促進と共に村道、農道排水工事並びにかんがい施設等の開設整備は政府の事業としてなされるべきであり、この整備により産業面のみならず地域住民の安全や健康にも非常に大きな影響を与えるものであり、早急に解決できますよう最大の努力を払います。
特に本村は純然たる農村でありますので、大いに増産を計らなければなりません、きび古株更新、病虫害対策、蔬菜栽培の奨励、畜産業の発足等、生産意欲を向上してもらう為補助策を考慮しております。特に畜産は我村においては農業施策の基盤で増産等、叉経済発展の為重要な特産品でございます。以上のよ5な見地から大いに実績を上げて戴く為、畜牛、養豚両組合への補助並びに仔牛生産奨励、繁殖素牛購入、優良母豚購入、原野草地造成等に新規事菜として補助政策を考慮致した次第でございます。以上のように増産を計ると共に農畜産物の価格安定も又重要でございます。
流通機構の整備にも一段と努力を致す所存でございます。我か村としましても、議会の皆様方を始め畜牛、養豚両組合を中心に飼育者の皆さんからも家畜セリ市場の強い村誘致のご要望もございますし、村長もぜひ誘致して畜産振興を図りたく目下努力中でございます。
大里公園を中心とした観光事業の計画的推進又農業と調和した公害のない企業誘致等も色々の面から目下検討中で最大の努力を致す所存でございます。
教育の振興は最も重要でございます。本村将来の基礎作りとも申しましょう。立派な人格完成を目標に自的精神にみちた心身共に健康で明るい日本国民いな世界の皆さんと肩を並べて行けるような人作りの育成を期さなければならないと考えます。以上のような見地から基準外教育費を注ぎ、教育環境の整備充実に協力し教育の進展を計る所存であります。
青少年の健全育成、学校の施設設備の充実、育英事業の拡充強化等、尚青年会婦人会等の民主団体を発展させる為の協力態勢等村教育委員会との協力のもとに教育の振興に努めたいと思います。
社会福祉については、母子家庭の福祉向上、保育所の設置、老人福祉の向上等尚一層の拍車をかけ努力致す所存でございます。
尚環境衛生については、今度より新規事業としてゴミ処理を計画いたしました社会生活において一番大切なことは私から申し上げるまでもなく健康だと思います。合併後はコンポストエ場ができると思いますが、それまでの措置として、各部落へ月二回位づつでもまわってゴミを処理して、健康で明るい村作りのため計画致した次第であります。
給与決定の原則によりまして、職員の給与は生計曹民間事業徒事者の給与、その他の事情を考慮して定めなければならないという原則のもとに各市町村、政府民間事業所等の給与、物価及び生計費の上昇いわゆる物価指数、消費指数、交付税算定給与並びに町村合併等あらゆる分野より慎重検討致しました。このような財政の中とはいえ給与を改善する事によって生活維持の保障はもちろんでありますが、有能なる職員を確保して行政事務を遂行する為にも又職員が安心して職務に専念せしむる事もあるいは他団体との均衡保持の点からしても極めて重要な意義を持つものでございます改正する事は使用者として配慮すべき事であり、又近代人事見政の要因であります。以上のような見地から改正したいと考える次第でございます。
先程も申し上げたように予算の効率性を考え、最大の効果を上げるため、消費的経費の削減を致しました尚提案致しました条例の制定、一部改正等につきましては、復帰に伴い地方自治法の大幅改正がなされ、それに準じての末端自治体の条例改正でございます。
新たな政治情勢と歴史的な一大転換期を迎える七十二年でごばいます。このような大事業を前にして責任の重大さを考え身の引き締る思いで一杯でございます復帰までの準備その後の新生沖縄県作りを目標に相協力してまい進したいと思います。今後の諸問題に議会執行機関、村民の皆様共に手を取り力を合せて下さいますよう心から御願を申し上げ、本予算審議に当って議会の御協力を御願いし、合せて各位の御努力に対し心から感謝を申し上げ施政方針を終ります。
| ダウンロード | https://drive.google.com/file/d/1PPncEdw9Q3xb-bMgfM5NLitJrwpffZBU/view?usp=drive_link |
|---|---|
| 大分類 | テキスト |
| 資料コード | 008459 |
| 内容コード | G000000841-0001 |
| 資料群 | 旧大里村広報 |
| 資料グループ | 役所便り大里村 第4号 |
| ページ | 1 |
| 年代区分 | 1970年代 |
| キーワード | 役所・役場行政広報 |
| 場所 | 大里 |
| 発行年月日 | 1971/07/20 |
| 公開日 | ー |