はじめに
本日ここに第182回佐敷町議会定例会の開会にあたり、町政運営の基本的な考え方について、私の所信の一端を申し上げ、議員各位並びに町民の皆様のご理解とご協力をお願いする次第であります。
中東の厳しい治安情勢の中でのイラクへの自衛隊派遣、米国における在外米軍の再編問題の検討、東アジアでの北朝鮮問題についての6カ国協議の開催など、日本の安全保障をめぐる国際情勢は確実に変化しております。
最近の我が国経済は、設備投資と輸出に支えられ景気は着実に回復していると見込まれる一方、デフレ傾向が依然として克服されておらず、内需主導の本格的な回復には至っていない状況になっております。一方、本県では、観光が好調に推移し個人消費や投資も堅調に推移するなど、全体として持ち直しの動きが見られますが、デフレの中で雇用情勢は厳しい状況が続いております。
さて、国・地方を通じた厳しい財政環境のもと、昨年、国庫補助負担金の廃止・縮減、それに伴う税源移譲及び地方交付税の見直しをセットで行う三位一体改革への取り組みがスタートしたところでありますが、国庫補助負担金の削減額に比べると地方への移譲額は大幅に下回っており、さらに、地方交付税が大幅に削減されるなど、地方財政を取り巻く状況は非常に厳しいものとなっております。
各地において自治体存亡の危機が叫ばれる中、逆境にくじけることなく果敢に未来を切り開く勇気と気概が求められております。私は、ピンチをチャンスに代えるべく、新たなる決意をもって行財政改革を推進し、事務事業の見直しや計画的・効率的な執行など創意工夫に努める中で財源の確保を図り、財政の健全化に取り組んでまいります。
地方分権が本格化する中、これからは、それぞれの自治体が生き残りをかけて自律し、その経営手腕を競う時代であります。今後深刻化する少子・高齢化や厳しい財政状況を考えた時、私は、行政まかせの住民サービスではなく、自治体の身の丈に見合った、より的確なサービスを提供できるような経営を行っていくことが求められてくると考えております。このため、行政、住民、事業所共にそれぞれ痛みは伴いますが、地域の潜在力を引き出し、地域資源を活用することで、コストをかけなくてもより質の高いサービスを提供できる仕組みづくりに努力してまいります。
そうした意味で、平成16年度は「創造と協働」をキーワードに、職員の資質向上を図るとともに、町民の英知とパートナーシップに支えられた元気あるまちづくりに全力で取り組んでまいりたいと考えております。
基本施策
私は、平成5年9月に町長に就任いたしましてから今日まで、幾多の課題を抱えながらも、町民の皆様から託されました熱い思いを受け止め、佐敷町のさらなる充実・発展のために努力してまいりました。この間に寄せられました議員各位並びに、町民の皆様の温かいご支援とご協力に、心から感謝を申し上げる次第であります。
さて、社会経済情勢の変化に伴い、自治体を取り巻く状況は一段と厳しさを増しており、極めて深刻な財政環境のもとでの町政運営が迫られ、地方分権や町村合併の動きの中で、地域社会の担い手である自治体の真価が問われております。このような中で今求められているのは、これまでの前例にとらわれず、時代の変化を鋭敏に読み取り、柔軟な思考と構想力で未来を設計する勇気と決断であると考えます。
私は、新たな時代に対応する確かな枠組みを町民の皆様とともに構築し、地域経営の視点に立って、創意と工夫を凝らし、効果的・効率的な行財政運営を行うことにより、町民生活の安定と向上に全力で取り組んでまいります。
私は、「町民が主役の町民のための町政」を基本として、町民参画による活力に満ちた佐敷町を築き上げるため力を尽くしてまいりました。しかしながら、マリンタウンプロジェクト、南部東道路の推進など、将来の佐敷のまちづくりを展望する上で幾多の課題が残されていることもまた事実であります。
私は、「町民参加」「公正・公平」「対話と強調」そして「思いやり」を基調に、議員各位、町民の皆さんのご理解とご支援をいただきながら課題解決に努め、「自己決定、自己責任」を基調とする地方分権の時代を生き抜く、足腰の強い町政運営に取り組んでまいります。
そこで、町政の運営にあたっては、平和憲法の理念を尊重しつつ、地方自治の本旨をふまえ次の三点を基本姿勢に全力を尽くしてまいります。
一 産業を振興し、住みよい生活環境の整備を図り、町民に夢と希望を与える明るいまちづくりを目指します。
一 自然を大切にし、教育、文化の向上を図り、人間的なふれあいと潤いのあるまちづくりを目指します。
一 健康と福祉を大事にし、思いやりとやすらぎのある平和なまちづくりを目指します。
私は、今後のまちづくりに対しましても、引き続きこの基本姿勢を堅持し、議会と町民の英知、そして職員の熱意を合わせ、ともに自由闊達な議論を交わしながら、第3次佐敷町総合計画のもと、住んでいることに誇りと幸せを実感できるまちの実現に向けて努力していく決意であります。
今、地方自治体においては、高度情報化や国際化、少子高齢化などの社会環境の急激な変化に対応しながら、高度化・多様化する住民サービスを確実に提供するため、あらゆる分野で改革が求められております。
このため、広報紙やインターネットをはじめ色々な媒体を通じて住民の皆様に対して積極的に情報を提供するとともに、個人情報の保護についても適切に対応し、透明性の高い公明公正な町政運営に努めてまいります。
行政改革につきましては、第3次佐敷町行政改革大綱及び行政改革実施計画に基づき、各種補助金の見直し、使用料・手数料の見直し、給与の適正化、適正な職員定数管理、コストの削減に努めるとともに、公共施設管理の民営化や保育所の統廃合・民間委託を検討してまいります。
また、歳入の根幹である町税につきましては、高額・困難な滞納事案への対応を図り、より計画的で、効果的な徴収を進めるため、嘱託徴収員を配置するなど、徴収率の向上に努めてまいります。
さらに、分権型社会を担う情熱と能力をもった職員の育成に向け、計画的な職員研修を行うとともに、さわやか窓口運動を推進し、親切丁寧な住民サービスの提供に努めてまいります。
国際化、情報化が進展する中で、本町では昨年から佐敷・馬天両小学校に「英語活動」を総合的な学習に位置づけて、外国人講師から生きた英語を学んでいます。平成16年度は週1日から週2日に増やし、3年生以上の児童に週1回英語活動を展開し、国際化に対応した児童生徒の育成を目指してまいります。また、情報教育環境の整備に伴い、各学校では情報機器を活用した授業を行っており、着実に成果を挙げ始めています。今後とも「公約・公開・公表」をキーワードに、地域に開かれた特色ある学校づくりを一層推進してまいります。
地方財政が逼迫する中、行政サービスの水準を維持し、向上させていくためには、行財政基盤の強化が急務であり、地域の特性や資源を生かしながら町村合併に真剣に取り組まなければなりません。このため、昨年12月1日には、各町村議会の議決を得て、「佐敷町・知念村・玉城村・与那原町合併協議会」を設置いたしました。この協議会で、「新市建設計画」をはじめ、合併の是非に係わる課題、協議事項について十分協議し、将来展望を見定める中で、最終的な方向性・結論を導き出してまいります。また、協議会の協議内容及び結果など合併に関するあらゆる情報は、広報紙等でお知らせするとともに、合併検討委員会等で住民の皆様のご意見をお聴きし、住民主体の合併協議の推進を図ってまいる所存であります。
本町の町政運営の基本施策は、「元気ではつらつとした町」「人が輝く学びと文化の里」「住みやすく発展する郷土」「健康で明るい癒しの故郷」であります。私は、まちづくりの原動力は、地域に暮らす人々が力を合わせ、理想とする地域社会を築き上げていこうとする「想い」であると信じています。変化の中にあっても、決して佐敷らしさを失うことなく、町民の皆様とのパートナーシップを基本に、人の温もりが感じられる魅力あるまちづくりに全力で取り組んでまいります。
1. 元気ではつらつとした町
未来に展望の持てる経済基盤の確立を図ることは、元気ではつらつとした町づくりにとって大きな課題の一つであり、関係機関及び関係者との緊密な連携のもと、産業の振興と社会資本の整備に取り組んでまいります。
農業者の高齢化、後継者不足など農家を取り巻く環境は厳しいものがありますが、町の基幹産業である農業の振興を図っていくことは豊かな町土を維持・発展させていく上で重要なことであります。
農村振興総合整備事業につきましては、豊かな自然環境を生かし、美しい農村景観の維持・保全を図るため、集落排水整備、農業排水整備、農道整備、集落道整備を引き続き実施し、農村が有する多面的機能を促進してまいります。
土砂崩壊による災害を未然に防止するため、見謝原地区の団体営ため池等整備事業、農道等の基盤整備を促進し、浜崎地区では県営かんがい排水路を整備する等、地域資源や生態系の保全に考慮した農村空間の整備に努めてまいります。
健康や安全、環境などへの関心が高まる中、地域特性を活かした農業の展開が求められております。さとうきびはもちろんのこと、果樹や花卉、野菜等の生産拡大及び品質向上を高めるため、生産組織の育成指導面においても関係機関と連携し、安全で安心な農産物の供給、農家の経営改善に努めてまいります。
農業経営の中で欠くことのできない水の安定確保につきましては、これまで、佐敷、新里、小谷、伊原、兼久及び津波古地区で営農用水施設を整備してまいりました。平成14年度から国で実施しております地域整備方向検討調査の結果を受けて、再生水利用を検討し、関係機関と連携しながら、既存の施設を含めた全町的な水資源の確保について多角的に検討してまいります。
昨今、畜産業はきわめて厳しい状況下にありますが、これまで同様予防接種事業や飼育指導などの諸制度を活用し、畜産農家の経営改善に取り組んでまいります。また、環境問題に対する国民の意識が高まる中、懸案であります悪臭対策につきましても、平成16年11月に完全施行されます家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律を踏まえ、野積みや素掘りなど不適切な管理がなされないよう管理、指導を徹底してまいります。
商工業の振興につきましては、商工会を中心に地域の振興ビジョンや小規模事業者の支援に関する法律に基づき、地域資源の掘り起こし、人材育成、近代化に努めてまいります。町としても、商工会と連携しながら元気のある地域づくりに取り組んでまいります。
就業者の高齢化等厳しい状況に直面している水産業につきましては、漁業組合や関係機関と連携しながら当面する諸課題の解決に向けて協議し、漁業経営の向上、組織活動の活性化等に努めるとともに、馬天港の改修についても引き続き県や関係機関に要請してまいります。
上水道につきましては、安全で良質な水も安定的供給を図る目的で各地区において年次的、計画的に整備してまいりましたが、引き続き、つきしろ地区等の老朽管の布設替えを行い、赤水対策や漏水防止対策に努めてまいります。
公共下水道事業につきましては、年次計画に基づき円滑な事業執行に取り組んでいるところであります。平成16年度は、津波古地区及び新開地区の一部区域において供用を開始し、地域の衛生環境の改善と公共用水域の水質保全に努めるとともに、区域拡大に向けた工事を継続してまいります。
南部東道路につきましては、概略ルートが決定され、今後地元協議や環境影響評価調査、都市計画などの調査を行い、事業化を目指していくこととしております。本町としましても、関係機関と連携して早期の事業化に努めてまいります。
懸案の中城湾港マリンタウンプロジェクトにつきましては、これまで地域要望や環境問題にも配慮しつつ所要の見直しを行ってきましたが、引き続き県や関係機関と連携しながら港湾計画の改定に取り組み、快適都市空間・佐敷シーガーデンの実現に向け最大限の努力をしてまいります。
2. 人が輝く学びと文化の里
変革の時代にあって、たくましく生きる力と豊かな感性をもった人材を育てることは、町づくりの大きな柱です。幸いに本町は、昔から教育文化を大事にする気風にあふれており、先人たちが築き上げてきた伝統・文化を次代に正しく継承・発展させることは私たちの大切な使命であります。今後とも情熱をもって教育・文化の振興に努め、人が輝く学びと文化の里づくりを目指してまいります。
学校教育では、生きる力を育む教育の推進を目指すとともに、教育課程の工夫改善による新たな教育活動を創造するため、平成17年度から町内小中学校において、2学期制を実施する予定であります。このため、平成16年度は2学期制導入に向けた環境整備に取り組んでまいります。
小学校においては、3年生から6年生の各学級において、総合的な学習の時間で生きた英語力、コンピュータを操作する能力及びインターネット等で情報検索できる活用能力などを身に付けさせ、国際性豊かな人材育成を図ってまいります。また、個性や創造性を発揮して自立して生きる力を育むため、障害児支援のためのヘルパーを佐敷小学校、馬天小学校に配置し教育活動を支援してまいります。
さらに、児童生徒の学校内外での安全の確保と事件・事故を防止するため、太陽の家の活用、地域巡回活動等を地域と一体となって取り組んでまいります。
学校開放につきましては、学校評議員制度や地域の人材を活用するとともに、各学校のリーフレットの作成、ホームページの開設等、学校と保護者、地域が一体となって、子ども達が健全に成長できるよう努めてまいります。
佐敷中学校においては、生徒の学習理解度の把握を目的に、学力向上対策の一環として学期末に到達度テストを実施いたします。
平成6年6月に開館してから今年で10周年を迎えるシュガーホールでは、東京混声合唱団をはじめ、様々な記念コンサートを実施いたします。また、過去10年間の事業を総括し、合併を視野に入れた今後の運営指針を確立するために、県内初となる音楽専門員を正職員で配置し、さらなる文化行政の振興に努めてまいります。
そのほか、児童生徒の国際理解、異文化交流を図るため、フィリピンやスウェーデンからアーティストを招へいし、各学校において出前コンサートを開催いたします。また、各字の公民館を活用した字めぐりコンサートを引き続き行い、地域住民が身近に芸術文化にふれられる機会を提供いたします。
社会教育の推進につきましては、情操教育の一環として、親子のふれあいと乳幼児期から本に親しむことを目的に、検診事業と連携したブックスタートに向けた取り組みを開始いたします。
21世紀を担う青少年が、心身ともに健やかに成長することを願い、家庭教育学級を開設するとともに、家庭・学校。地域社会の協力のもと、一体となって総合的な青少年健全育成事業に取り組んでまいります。また、各関係機関・団体との連携を強化し、地域の安全対策、非行防止や保護育成に努めるとともに、子どもたちが主体的に体験学習できる機会を充実してまいります。
さらに、子どもたちをはじめ、すべての町民がそれぞれのライフステージに適した生涯スポーツの振興を図っていくため、県内初となる総合型総合型地域スポーツクラブを設立し、スポーツの普及と住民の健康増進に努めてまいります。
今年は4年に一度の佐敷まつり開催の年にあたります。そこで、町民はじめ多くの関係者の協力を得て、郷土の英雄をテーマとした「尚巴志まつり」を、「第3回尚巴志ハーフマラソンin Sashiki」と同時開催することにより、相乗効果を高め、尚巴志の偉業を顕彰するとともに、そのスピリッツを次世代へと継承してまいります。
本町では、役場内及び公共施設のインフラ等を整備し、町内の情報化を推進してまいりました。今後は、その活用を図りつつ、情報化基本計画に基づき、電子自治体の構築を目指して、新しい総合行政システムを導入するとともに、県域の電子申請システムへの接続を行ってまいります。
地域情報化につきましては、引き続き文化センターにおいて、初級から中級レベルのパソコン操講習会を行い、住民の情報操作能力の向上を支援してまいります。
先人が残した貴重な文化的遺産を保護、継承するため、佐敷上グスクの県指定文化財を目指し、引き続き範囲確認調査を実施いたします。
男女共同参画社会の実現に向けては、男女が互いにその人権を尊重し、職場・家庭・地域・学校など、あらゆる場で差別をなくす環境をつくるため、佐敷町男女共同参画行動計画に基づいた広報・啓蒙活動などの諸施策を展開してまいります。
戦争の世紀と呼ばれた20世紀が終焉した今でも、世界各地において紛争が絶えず多くの罪のない人々が犠牲になっている現実があることは、残念でなりません。さらに、沖縄の基地問題が、県民の生活と安全、自然環境や地域の振興に影響を及ぼす中、私たちは今一度戦争の悲惨さを再認識するとともに、平和な社会の建設に努力しなければなりません。学校における平和教育や平和体験学習等の充実に努めるとともに、地域や暮らしの中から平和にかかる諸問題をともに考えてまいります。
3. 住みやすく発展する郷土
地域に住む誰もが安全で快適に生活できるまちづくりは、町政の重要な責務の一つであります。町では、これまで町民、関係機関の協力を得て、様々な地域要望に応えた生活環境整備に取り組んでまいりました。住みやすく発展する郷土を目指し、今後とも、地域の実情に即した安全で快適な生活環境の向上に努めてまいります。
町道整備につきましては、平成11年度から継続中の浜之端連絡線道路改築事業が、平成16年度で完了いたします。また、地方改善施設整備事業では、仲伊保地区の浸水地域の解消に取り組むとともに、仲伊保冨祖崎線、小谷真謝線、丸井工場線は引き続き事業を実施してまいります。
知念分屯基地周辺障害防止対策事業では、基地上流から流出する雨水等による浸食を防止するため、排水路整備に向けての実施設計を行ってまいります。
また、地域から強い要望があります津波古ナカシモー地区の宅地開発につきましは、町域の宅地需要に応えるため、事業化へ向けた概略設計を行ってまいります。
町内の自然環境を維持向上するため、沖縄県緊急地域雇用創出特別対策事業を活用し、道路沿いや都市公園等の環境美化、遊歩道の周辺整備、河川・海岸の浄化に取り組んでまいります。
循環型社会を目指し、人々の心を和ます美ら町さしきを創造するため、毎年好評を得ているフリーマーケットを継続するとともに、クリーン指導員による啓蒙普及活動を行い、肥料へのリサイクルによる生ゴミの減量化に取り組んでまいります。
地域住民が緑にふれあう機会を創造するため、緑のふるさと事業や自然観察の森調査を実施するとともに、町心豊かなふるさとづくり推進協議会(CGG)や学校、関係団体と連携して、学校や地域での花いっぱい運動や美化運動を展開し、全町植物園化構想の推進を図ってまいります。
交通安全対策につきましては、交通安全推進協議会や関係機関と連携しながら、事故のない明るい町づくりを目指し、交通安全思想の高揚、街頭指導の実施など地域ぐるみで取り組んでまいります。
また、地域防災につきましては、地域コミュニティ助成授業により災害時避難所標識板を6基設置し、災害時における地域住民の避難誘導を円滑に進め、平時は、地域住民に対する防災意識の高揚を図ってまいります。
4. 健康で明るい癒しの故郷
少子・高齢化が急速に進展する今日、新たな視点に立った健康福祉制度の再構築が迫られております。このため、福祉・保健・医療の各分野がそれぞれの役割を担いつつ、連携を図ることによって、町民の多様なニーズに応え、だれもが健康で安心して暮らせる明るい癒しの故郷づくりを進めてまいります。
介護保険制度につきましては、県内34の自治体で構成された介護保険広域連合において、平成15年4月から業務が開始されております。今後も制度の円滑な運営を維持するため、要介護認定の公平、公正化並びに収納率の向上に努めるとともに、介護サービス適正実施事業の推進に努めてまいります。
高齢者福祉につきましては、生きがい活動支援通所事業(ミニデイサービス)を中心とした健康の保持、機能回復等、老人福祉センターを拠点とした介護予防事業に取り組んでまいります。
「食の自立支援事業」、「ふれあいのまちづくり事業」「外出支援サービス事業」につきましては、町社会福祉協議会への委託を継続し、利用者のニーズに応えるサービスを提供してまいります。
「支援費制度」の導入により、入所・通所施設や福祉サービスなどを、障害者自らが選択し契約することが可能となった障害者福祉サービスにつきましては、町の障害者福祉計画に基づき、在宅福祉等の支援強化を図り、障害者の自立と社会参加を促進してまいります。
「共同作業所さしき」につきましては、作業所の安定運営を確保するため引き続き支援を行うとともに、関係機関とも連携し、地域住民の理解と協力のもと、障害をもつ方々の就労の場の確保と積極的な社会参加を推進してまいります。
母子・父子福祉につきましては、引き続き母子及び父子家庭に対する医療費助成事業を展開してまいります。また、乳幼児医療費助成事業においては、従来の3歳未満児を対象とした医療費の無料制度に引き続き、平成15年度からは、県に準じて、入院費のみの無料制度の対象が3歳から5歳未満児へと引き上げられております。親子が安心して過ごせるよう、子育て支援の取り組みに力を注いでまいります。
児童福祉につきましては、働く女性の子育て支援や児童の健全育成を図るため、引き続き新すこやか保育事業、ゼロ歳児保育、放課後児童対策事業、特別保育事業を推進してまいります。平成16年度からは、新たに次世代育成支援に取り組むほか、認可化移行促進事業を取り入れ、3年を限度に保育内容や施設運営に関し、支援・指導を行ってまいります。また、国の方針に沿って、児童手当の支給を小学校就学前から小学校第3学年までに拡充し、生活の安定と子どもの健全な育成を図ってまいります。
「ひまわり児童館」につきましては、児童館本来の役割を果たすための運営の充実と子育て支援機能の強化に努めるとともに、ふれあい体験の場としての活用を図ってまいります。
幸福で生きがいのある生活を営むためには、健康であることが何よりも大切であると考えます。本町では「福寿の町」を目指し、自分の健康は自分で守るという自覚と自発的な取り組みを基本に、健康づくりの施策を展開しているところであります。この間、「健康の町宣言」を行うとともに、「健康文化と快適な暮らしのまち創造プラン」の中で、「健康日本21佐敷版」を策定し、高度肥満者の半減や住民検診受診率の向上等、町民とともに健康づくりに取り組んでまいりました。
平成16年度は、「国保ヘルスアップモデル事業」に着手し、生活習慣予備軍を対象とした生活習慣プログラムの開発ならびに評価といった、行政と地域の連携による地域密着型の健康指導に力を傾注してまいります。また、昨年は、人気の「水中運動教室」はもちろんのこと「健康づくりモデル自治会事業」を実施し、各個人から自らの健康に対する意識の高揚を図ってまいりました。総合保健事業は、学校とタイアップしたライフスキル教室を行い、幼いときからの生活習慣病予防等、健康教育を実施してまいりました。平成16年度も、健康づくり推進員や母子保健健康ボランティア等の協力のもと、引き続き、老人保健事業等を行い、町ぐるみの健康づくりを展開してまいります。
町民が老後も安心して暮らせるような地域社会を実現するため、町民に対し国民根金制度の周知徹底を図り、無年金者をなくす活動に取り組んでまいります。
相互扶助の精神を根幹とする国民健康保険制度につきましては、将来にわたり医療費の安定的な給付を行うため、医療費の適正化に努めるとともに滞納者対策を強化し、収納率の向上に努めてまいります。
おわりに
平成15年度も、町民や議会議員をはじめとする関係者の皆様から、町政に対するご理解とご協力をいただきました。おかげをもちまして、町政運営において効果のある施策を実施することができましたことに心から感謝申し上げます。
2回目を迎えた尚巴志ハーフマラソン大会は、4700名余のランナーが参加し大きな盛り上がりを見せました。地域住民や近隣町村住民の温かいご協力とボランティアによって支えられているこの大会は、地域活性化の起爆剤、南部東地域の大型イベントとして各方面から大きな関心が寄せられております。さらなる充実発展のために、町民、関係者各位の一層のご支援とご協力をお願い申し上げます。
馬天港の早期改修を求める住民大会は、多くの参加者で熱気にあふれていました。現在それを受けて、県及び関係機関と連携して港湾計画の改定に向け取り組んでいるところであります。また、待望の佐敷コミュニティ施設が落成し、区民の自治会活動の拠点、各世代交流の場、健康増進の館として大いに利用されております。
全町植物園化構想の推進を図る一環として、美ら町さしきキャンペーンを展開し、中学生による地域の美化運動や花と緑のふれあいフェスティバルなど、地域と行政が一体となって実施してまいりました。中でも、「佐敷町まちなみ緑化賞」は、都市緑化に対する啓蒙普及に寄与するものとして期待されています。
また、情報関連では、地域イントラネットが開通し、公民館・学校・役場等の各公共施設がネットワークで結ばれるとともに、町史・広報・議会だよりが、地域イントラネット上で閲覧できるようになりました。
健康づくりの面においては、スペシャルデーと銘打って、学校と一体となった健康づくりトーク、町民劇団「賞味期限」による健康に関する舞台が開催され、循環型社会の構築に向けた活動の一環として、クリーン指導員による生ゴミを利用した肥料づくりの実演会やパネル展示、フリーマーケットが行われました。
ご案内のように、佐敷町は、琉球最古の歌謡集「おもろさうし」にもその名をとどめる長い歴史と伝統の息づく町であり、琉球三山を統一した英雄・尚巴志を輩出した誇りある故郷であります。
国、地方自治体を取り巻く昨今の情勢は非常に厳しいものがありますが、私は、先人たちによって連綿と築かれてきたわがまち佐敷のアイデンティティをさらに確かなものとするため、議員の皆様はじめ1万1千町民、職員と心を一つに力をあわせ、そして、既成概念にとらわれない、柔軟な発想と強いリーダーシップを持ってこの難局を乗り切り、新しいまちづくりに果敢に挑戦してまいる所存であります。
議員各位並びに町民の皆さんのご理解ご協力を心からお願い申し上げ、平成16年度の町政運営に対する所信といたします。
平成16年3月12日 佐敷町長 津波 元徳
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大分類 | テキスト |
資料コード | 008457 |
内容コード | G000000809-0011 |
資料群 | 旧佐敷町(佐敷村)広報 |
資料グループ | 広報さしき 第321号(2004年4月) |
ページ | 5-9 |
年代区分 | 2000年代 |
キーワード | 広報 |
場所 | 佐敷 |
発行年月日 | 2004/04/10 |
公開日 | 2025/01/20 |