全国に比べ児童虐待が急増
沖縄県の児童虐待の件数は、三百六十七件となっている。
虐待の件数の伸び率を見ると、全国の伸び率に比べて非常に高い数値を示す。沖縄県は、平成五年頃までは、全国と横ばいの状況だったが、少しずつ開きが見られ、平成十年度から十一年度にかけて、伸び率が二倍以上に急増している。
県中央児童相談所に問い合わせてみると、通報も含め、県民の虐待に対する意識が少しずつ高くなった表れだという。二年後の平成十二年には「児童虐待防止法」が施行され、全国的にも、児童虐待に対する動きが見られると分析する。
ネグレクトが多い沖縄県
平成十四年度、沖縄県では、身体的虐待とネグレクトが同数の四十%となっている。これについて、中央児童相談所の砂川恵正さんは「昨年は偶然です。沖縄県は全国に比べ、ネグレクトの件数が圧倒的に高い。これは、他の虐待に比べ、将来的に子どもの心身に影響を与えることが多い」と指摘する。
児童虐待の分類
(1)身体的虐待…身体に外傷が生じ、またはおそれのある暴行を加えること
・殴る・突き飛ばす・タバコ火を押しつける・熱湯をかける・首をしめる・冬の戸外に出す・逆さづりにする・溺れさせる等
(2)性的虐待…児童にわいせつな行為をすることまたは児童をしてわいせつな行為をさせること
・性交・性的暴力・性的行為の強要・性器や性交を見せる・ボルノグラフィーの被写体にする等
(3)ネグレクト…心身の正常な発達を妨げるような著しい減食又は長時間の放置、その他の保護者として監護を著しく怠ること
・子どもの健康・安全への配慮を怠る(重大な病気になっても病院へ連れていかない、乳幼児を長期間放置する等々)・子どもにとって必要な情緒的欲求に答えない
・食事、衣類、住居などが情緒に不適切で健康状態を損なうほどの無関心、怠慢等々
(4)心理的虐待…著しい心理的外傷を与える言動を行うこと
・言葉による脅かし、脅迫・子どもを無視したり、否定的態度を示すこと
・心を傷つけるようなことを繰り返し言う
・子どもの自尊心を傷つけるような言動・他の兄弟との差別的扱い等
実母が主に虐待を
平成十四年度の件数を見ると、我が子に手を加えた母親が全体の六割を占める。一人で子育てを背負い、ストレスによる虐待が日常的に繰り返される。
これを、砂川さんは「児童虐待防止のみならず、子どもを健全に育てていくためには子育ての地域ネットワークが必要になってきます」と地域で支え合うことの重要性を訴えた。
虐待に早く気づくためには~5つのキーワード~
1虐待は、「いつでも」「どこでも」「どんな人にでも」
私たちはいつでも、子どもへの虐待と遭遇する可能性があります。虐待という問題があることを認識しておくこと、そして、気が付いたらどうしたらよいのか?心の準備をしておくことが大切です。
2「変だな?」と思ったら虐待を疑え
虐待にはどんな場合でも『不自然』なものがつきものです。
子どもの様子や親の様子、状況等に「何となく変だな?」と感じたら、虐待の存在を疑ってみるべきでしょう。
3虐待は「シロかクロか」ではない
「これは虐待といえるのか?」という疑問は常についてまわります。
現実には、はっきりと言えない場合も多く、ネグレクト、心理的虐待など概念としてあいまいなこともあります。
はっきりしないから何もしないのではなく『疑ったら行動する』ことが必要です。
4「そんなはずはない」と思っても疑ってみる
「まさか親がこんなことを」という場合も見受けられるのが虐待の現状です。
タバコ火を押し付ける、子どもを投げ飛ばす、何日も食事を与えないなど常識では考えられないことも起こっています。
5発見の瞬間から援助は始まる
『虐待』と感じて、発見した瞬間から援助は始まっています。
●虐待に気づいたとき…お電話下さい
ダウンロード | https://drive.google.com/file/d/1SlVy_UB88Qb-C8ZjFalNrEjitd0hyRxm/view?usp=drive_link |
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大分類 | テキスト |
資料コード | 008456 |
内容コード | G000000804-0010 |
資料群 | 旧佐敷町(佐敷村)広報 |
資料グループ | 広報さしき 第320号(2004年3月) |
ページ | 8-9 |
年代区分 | 2000年代 |
キーワード | 広報 |
場所 | 佐敷 |
発行年月日 | 2004/03/10 |
公開日 | 2025/01/20 |