第2回町民劇「ぐゎんくー三代お菓子屋騒動記」(主催・佐敷町、同教育委員会、町文化のまちづくり事業実行委員会)が16、17日の両日シュガーホールで上演され、多くの観客が訪れました。
劇は宮城源太郎氏の生涯を通し「お菓子屋」を営んできた宮城家三代を描いたものです。
戦前戦後の激動の時代を明るく頑固に生きぬく様子に観客は引き込まれ涙をぬぐう姿も見られました。
観客からは「戦争の場面は涙が出て当時の人たちの苦労が少しはわかったような気がしました」との声や町内から訪れた40代の女性は「途中の歴史フィルムで佐敷の昔の風景が出た時はとても懐かしく感じました」と話ていました。
「町民劇団賞味期限ぐわんく一三代~お菓子屋騒動記~の劇後談」
シュガーホール芸術監督中村透
岡村春彦さんの病気降板による途中での演出交代、出演者の身辺事情による代役の振り替え等々、最後まで息のぬけない公演への道のりでしたが、たくさんの町民の方々の献身的なサポートで、大成功のうちに幕を閉じました。深く集中しながら笑い、泣き、考え込み・・・そして最後には解放感に満ちた表情で帰路についた観客の姿が、この舞台への高い評価そのものであったと確信します。
今年の4月に手登根に住み着いた琉大の同僚から、次のような感想をいただきました。「町民劇というものは初めて体験したのですが、過程も含めてほんとうにすばらしい試みだと思いました。町民の人生から歴史を照らす構成、本、演出ともに良かったです。とくに後半、戦争のところの語りの構成・演出からビデオ上映があって戦後の生活への流れは、身をのりだして見ました。佐敷への思いが強まりました。」
多くの史料にもとづき、ドラマとしての人物模様をくっきりと描きわけた台本(知念正真)の力が、なによりも大きかったと思います。一方で綿密なドラマ・デザインによる対話中心の劇は、賞味期限にとっては大冒険。今までの地丸出しの個性で売り出していたメンバーは、”自分”モードを乗り越えて、”役”を演ずる、いわば一種の自己解体を要求されたわけです。セリフの吟味、作家のメッセージの理解、身体の癖の修正など、稽古の過程はかなり辛いものであったことでしょう。ほんとうの演劇表現の厳しさを知り、乗り越えたみなさんの努力とティームワークの確かさに私も深く感動したのでした。この作品は現代史に生きた町民を普遍的な角度から描いたものとして、間違いなく佐敷町の宝となることでしょう。
またひとつ、シュガーホールから、新しい心の文化が大きな波紋となって宇宙へこだまし始めたように思います。
出演者、裏方一体となって創り上げた町民劇
衣装制作 宮城清子さん〈ボランティアとして〉
大勢の人達が連携し、100%に近い役目を果たした町民劇でした。教育委員会の役員の方々には毎晩遅くまで、ご苦労さまでした。
衣装作りはもう少し早くから始めたかったですね。体型に合った着物に直すことに苦労した。衣装は古着ではなく、丈夫な布を使ってその時代を表すように作ったらいいと思います。衣装作りは2回目、着付け担当は1回目。
同じ仕事の出来る仲間がいたので一緒に参加しました。
布や縫い糸が弱いので、本番中にびりびり破れた時にはヒヤヒヤものでした。
色々なボランティアをやった中で劇の裏方は職種の違うプロの方の仕事を見る良いチャンスでした。大人たちにとっては、懐かし<子供たちにとっては祖父母たちが苦しい時代を乗り越えて来たことを知る良い機会だったと思います。
踊り 盛根ノブさん〈印象に残っている場面〉
私も学童疎開で宮崎に行っていましたが、第4場の源雄が歌っているのを私達は何時も歌って自分自身を励ましていました。当時を思い出しなつかしく胸が熱くなりました。
息子源雄役 江野村勝敏さん〈舞台裏の方へ〉
「本当にありがとうございます」劇は出演者だけでは成り立ちません。今回はメイク、衣装、着付け、炊き出し、舞台関係者と多数の協力によって成功できました。
宮城源太郎役 川畑政豊さん〈劇団賞味期限のPR〉
劇団は無期限でがんばります。興味のある人は、大歓迎です。
父源助役 津波信一〈劇を終えて〉
いつも思うのですが、産みの苦しみというか大変な作業だった分、充実感がすごい。町民劇はやはり必要だと思うし、皆楽しみにしていると思う(苦しいけどね)。
劇は異世代交流ができるすてきな場である。
近所のおばさん役 新垣淳子〈劇を終えて〉
私は突然のピンチヒッターで役がきましたが、私がいままで経験したことのない世界なのでとても勉強になったと思います。スタッフや裏方さんの細々な心配りには感動しました。
ダウンロード | https://docs.google.com/uc?export=download&id=12NApa4yMDVe5P8h5WLjem-pTtw_Rd1Yt |
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大分類 | テキスト |
資料コード | 008455 |
内容コード | G000000785-0010 |
資料群 | 旧佐敷町(佐敷村)広報 |
資料グループ | 広報さしき 第305号(2002年12月) |
ページ | 10-11 |
年代区分 | 2000年代 |
キーワード | 広報 |
場所 | 佐敷 |
発行年月日 | 2002/12/10 |
公開日 | 2023/12/18 |