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平成13年度施政方針

はじめに
本日、第159回佐敷町議会定例会の開会にあたり、平成13年度の当初予算案をはじめとす
る関係議案のご審議をお願いするに際しまして、町政運営に関する所信の一端と施策の概
要を申し上げまして、議員各位ならびに町民の皆さんのご理解とご賛同を賜りますようお
願い申し上げます。
私たちは今、西暦2001年の記念すべき時を迎え、新しい時代のスタートラインに立ちまし
た。この新たな世紀が平和で穏やかな時代となるよう心から願うとともに、佐敷町にとり
ましても有意義で実りのある時代となりますよう、町民の皆さんのご協力をいただきなが
ら、その礎を築いてまいりたいと考えております。
さて、我が国は今、長引く景気の低迷による雇用不安や地域経済の停滞などにより、依然
として先行きが不透明な状態が続いております。
地方分権の進展によって、国との役割分担が明らかになり、その独自性や自主性を発揮し
た個性豊かで活力あふれる地域社会づくりが求められており、自治体間の競争も一層強ま
っております。また、少子・高齢化の進行は、福祉、医療、年金をはじめ我が国の社会の
あり方に大きな課題を投げかけております。
いま、IT(情報技術)革命の進展に伴い、グローバル化の波はいよいよ高まり、我が国の社
会経済システムを支えてきた制度や価値観は、かつてない変化の時代を迎えています。21
世紀を豊かなものとしていくためには、このような課題に対応できる社会経済システムの
構築が不可欠になります。
県内においては、「九州・沖縄サミット」の開催や「琉球王国のグスク及び関連遺産群」
の世界遺産への登録など、昨年は、沖縄を世界へ発信した記念すべき年でありました。一

方経済情勢では、情報関連企業の進出による雇用効果により一部で明るさはみられるもの
の、企業の経営環境は依然として厳しく、高い失業率の状況も続いております。
本町においてもその例外ではなく、財政環境は依然として厳しい状況にありますが、いか
に障壁は大きくとも勇気をもって前進しなければなりません。私は、今年、二期目の満了
の年を迎えますが、町民の皆さんが「豊かさとゆとり」を実感できるよう、そして佐敷町
に生まれ育ち暮らしていることを誇りに思えるよう、改めて町民本位のまちづくりを推し
進め、本町の個性や創意工夫を活かしたきめの細かい行政サービスを提供していきたいと
考えております。
町民から信頼され納得をいただける「開かれた町政運営」を実現するため、情報公開・個
人情報保護制度や広報広聴施策の充実によって町政情報を積極的に提供するとともに、住
民参加の機会を充実してまいります。更には、行財政改革を推進し事務事業の見直しや効
率的執行に努め、社会情勢の変化とともに多様化・高度化する行政ニーズに的確に対応で
きるよう行政の効率化に取り組んでまいります。
私たちは、「激動の世紀」と呼ばれた20世紀に別れを告げ、希望の新世紀を迎えました。
この21世紀のスタートとなる今年は、新しい町づくりを進めていく上で、極めて重要な年
となります。この節目の年に町政を担当する責務の重さを改めて認識するとともに、諸施
策の着実な実行によって明るく住み良い佐敷町の実現に全力を尽くしてまいります。
今、私たちを取り巻く環境は厳しいものがありますが、私は、尚巴志の琉球三山統一、戦
後の沖縄民政府の設置、県内初の音楽専用ホールの開館など、歴史の転換の舞台となり、
新たな時代を切り開いてきた佐敷町は、時代の潮流を乗り越えて、更なる躍進をすること
ができると信じています。内外の急激な変化の中、私は、次代を見据えた確固たる意志と
信念そして勇気を持ち、若い世代が大らかに夢を語りあうことのできる、活き活きとした
佐敷町を築いてまいる決意でおリます。
その意味で、平成13年度は「フロンティア・スピリット21」を合い言葉に幅広い知恵と力
の結集によって、本町を内外に誇れる元気で存枉感のある町にしていきたいと考えており
ます。
基本施策
私は、平成5年に町政を担当してから今日まで2期7年余にわたって、一貫して開かれた明
るい町政を目指して、町民本位のまちづくりを基調としながら、「住んでよかったと感じ
、他所に対して誇れるまち」を創造するために諸施策の展開を図ってまいりました。素晴
らしいふるさとの自然や歴史風土を伝承し、活かしながら、町民と行政が信頼関係を育み
、連帯の輪と強調の和を広げ、ふれあい豊かな地域づくりを推し進めてまいりました。
今日、国においては、21世紀の新たな発展基盤を築き、未来に向けて経済を新生させる経
済新生対策に努力しているところでありますが、景気は依然として厳しい状況から抜け出
せず、我が国の経済動向は先行き不透明の状態にあります。
人と物、金、情報などが、従来の国家という枠組みを超え、瞬時にかつ複雑に地球規模で
動く時代となり、少子・高齢化や情報化、環境問題等、新たな対応が求められてきており
ます。
このような大きなうねりの中で、国の経済社会の動向に対応しながら、本町の発展を目指
し、総合計画を指針として町政を推進してまいりました。特に、町民の生活水準の向上を
念頭におき、町民一人ひとりが幸せを感じ、喜びを分かち、生きがいを享受できる活力と
魅力あるまちづくりの礎石を築くため、農水産業基盤の整備や商工業の振興、生活環境の
改善、健康づくりの推進、福祉の充実、文化活動の拡充、学校教育・生涯学習の充実など
各面にわたっての基盤づくりに全力で取り組んでまいりました。
その結果、一定の成果をあげましたことは大きな喜びであり、これらの実現は、ひとえに

議員各位、町民及び関係者の皆様のお力添えのたまものと、心から深く感謝申し上げます
。今後は、こうした成果の上に立脚して、更に発展させ、21世紀を切り開く活力を吹き込
むよう、新たなるまちづくりに向け一層の努力を重ねる所存であります。
まちづくりの基本目標である「夢・花・風とシュガーホール」の町・佐敷の実現を目指し
、計画の中で方向付けをしている事業や各種の諸施策等は、概ね順調に進展しているもの
の、マリンタウンプロジェクト、南部東道路、ヘルシーリゾート計画の推進等、今後新し
い展開を進めなければならない課題も数多くあります。私は、これらの課題解決に向け一
層の努力を続けてまいりたいと存じます。
「21世紀のあるべき佐敷の姿」を展望しながら、行財政改革、情報公開の推進、健康づく
り事業の展開、少子・高齢化への対応、環境問題への対応、そして生涯学習の推進を町政
運営の柱に据えてまいります。
私は町政を預かる者として、常に初心を忘れることなく町民の心を心とし、「町民参加
」「公正・公平」「対話と協調」「思いやり」を基調としつつ、町民の負託に責任を持っ
て応えられるよう、職員とともに精一杯取り組んでまいります。
そこで、町政の運営にあたっては、平和憲法の理念を尊重しつつ、地方自治の本旨をふま
え次の三点を基本姿勢に全力を傾注してまいります。
一産業を振興し、住み良い生活環境の整備を図り、町民に夢と希望を与える明るいまちづ
くりを目指します。
一自然を大切にし、教育、文化の向上を図り、人間的なふれあいと潤いのあるまちづくり
を目指します。
一健康と福祉を大事にし、思いやりとやすらぎのある平和なまちづくりを目指します。
昨今の社会状況の変化は著しく、長引く景気の低迷、高齢社会の到来、地方分権の動きな
どが大波となって押し寄せ、財政状況は厳しさを増しております。しかし、町民の皆様に
責任をもてる行政を進めていくためには、これを乗り切っていくことができる体力と体質
を作り上げることが不可欠であります。このため、「第三次佐敷町行政改革大綱」を策定
し、新たな財政需要の高まりに柔軟に対応できる弾力的な財政運営の確立と執行体制の改
革を優先課題として取り組む所存であります。
本町の行財政運営の基本施策は、「活力と賑わいのある都市づくり」「文化の香る風格あ
るまちづくり」「環境に優しい潤いある故郷づくり」「笑顔輝く健康・福祉の里づくり
」「平和を発信する地域社会づくり」であります。平成13年度はこの基本施策をふまえつ
つ、町民福祉の向上、町勢の発展に努めてまいる所存であります。
一活力と賑わいのある都市づくり
展望のもてる経済基盤の確立と社会資本の整備を図ることは、活力と賑わいのある都市づ
くりにとって大きな課題の一つであり、関係機関及び関係者との緊密な連携のもと産業の
振興と社会資本の整備に取り組んでまいります。
町の基幹産業である農業の振興を図っていくことは、町民の生活にとって不可欠な食料の
生産はもとより、豊かな町土を維持・発展させていく上で極めて重要なことであります。
高齢化、後継者不足、農産物の自由化に伴う価格の低迷など農家を取り巻く環境は厳しい
ものがありますが、新奨励品種作目の導入等を積極的に行うとともに生産技術や経営管理
能力の向上に努め所得の安定化を図ってまいります。と同時に、後継者の育成に力を注ぎ
魅力ある農業、活力あるむらづくりを促進してまいります。
土地改良事業の推進によりほ場整備はほぼ完了しておりますが、一方では、農家の高齢化
や担い手不足による新規就農者の減少によって、農地の遊休化が目立つのも事実でありま

す。今後も基幹作物であるさとうきびをはじめ果樹や花き、野菜等の生産拡大及び品質向
上に取り組み、農地流動化推進委員や関係機関との連携を強化しながら、農家の皆さんの
協力のもと農地の有効活用に努力してまいります。
生産者と消費者のふれあいの場として親しまれている佐敷町農産物直売所は、運営も順調
に推移し、町内外からの利用客で賑わいを見せています。農家の皆さんの生きがいと健康
づくりに寄与できるよう今後も指導助言に努めてまいります。
農業経営の中で欠かせない課題の一つである水の確保につきましては、これまで、佐敷、
新里、小谷、伊原、兼久地区で営農用水施設を整備してまいりました。引き続き津波古地
区の施設整備に取り組むとともに、懸案の浜崎地区につきましても、水の安定供給に向け
多角的に検討してまいります。
排水路の土砂等の堆積を未然に防ぎ排水のスムーズな流れを確保するため、団体営ため池
等整備事業を継続して手登根地区で実施してまいります。また、団体営農地保全整備事業
を屋比久地区で継続して行い農用地の保全を図ってまいります。併せて、落水地区の農地
保全整備事業を継続し農業生産の向上に努めてまいります。
更に、県営一般農道整備事業においても、浜崎土地改良区内の農道、排水路を整備し、農
村生活環境の整備を図ってまいります。
平成13年度の新規事業としましては、団体営農村振興総合整備統合補助事業(佐敷知念地区
)があげられます。本事業は、平成19年度までの七年継続事業であり平成13年度は、佐敷
公民館の実施設計、佐敷小学校の緑化事業、手登根集落排水の施行及び屋比久農業排水の
施工が計画されており、農業生産基盤の整備と農村環境の整備を総合的に実施してまいり
ます。
波穏やかな中城湾と斜面緑地に囲まれた本町は、自然環境に恵まれたまちです。町内の貴
重な資源を保全し有効に活用するため、流域森林総合整備事業を継続して行い、良好な森
林環境の保全に努めてまいります。
昨今、畜産業はきわめて厳しい状況下にありますが、これまで同様予防接種事業や飼育指
導などの諸制度を活用し、畜産農家の経営改善に取り組んでまいります。また、懸案であ
ります悪臭対策につきましても、環境畜産リース事業の活用等により地域住民の快適な生
活環境の維持に向け努力してまいります。
水産業につきましても、年々就業者の高齢化等厳しい状況に直面していることに鑑み、漁
業組合や関係機関と連携を深めながら当面する諸課題の解決に向けて話し合いを持ち漁業
経営の活性化に努めてまいります。漁業従事者の技術向上・育成を図るため漁業者研修セ
ンターの整備に取り組むとともに、港湾計画の改訂作業を進めてまいります。その中で、
漁船・遊漁船の拠点機能の整備、ウォーターフロントとしての賑わいの場の確保等、環境
に配慮した整備を目指してまいります。
地域活性化の原動力となります商工業の振興は、商工会を中心に経営基盤の強化と近代化
に努めてまいります。
このほど完成した商工会館を拠点に、特に町民からの要望が強い特産品の開発に向け商工
会と協力して取り組んでまいります。
上水道につきましては、水の安定的供給を図る目的で年次的、計画的に整備してまいりま
したが、引き続き老朽管更新や配水管新設を実施し、赤水対策や漏水防止対策に努めてま
いります。
健康で快適な生活環境の確保と公共用水域の水質保全を図るため不可欠な施設である下水
道事業につきましても、平成12年度は津波古幹線及び枝線の整備を実施してまいりました
。今後とも県や関係機関と協力しながら、年次的計画に基づき円滑な事業執行に努力して
まいります。
南部地域の豊かな自然や歴史的、文化的特性を生かした保養地の整備を図るヘルシーリゾ

ート計画は、島尻地域の活性化はもとより、これからの沖縄県の観光産業の振興と雇用の
創出につながるものと期待されております。
現在、島尻地域振興開発推進協議会において事業化方策の検討を行っておりますので、そ
の推移も見守りながらその進展に向け必要な取り組みを進めてまいりたいと考えておりま
す。
南部東道路整備事業に関しましても、ルートの問題で市町村間の調整に時間を要しており
ますが、子々孫々に誇れる事業にするためにも議論を重ね、事業実施に向け努力致します

中城湾港マリンタウンプロジェクトは、本町にとって、21世紀のまちづくりの礎となる重
要施策のひとつであります。環境問題にも配慮しつつ、夢ふくらむ快適都市・佐敷シーガ
ーデンの実現に向け、関係機関との連携を図り、佐敷東地区の早期の事業化に最大限の努
力をしてまいります。
二 文化の香る風格のあるまちづくり
私たち町民が故郷に誇りと愛着を持ち、将来を見据えた人間性豊かな人材を育てることは
、町づくりの大きな柱であります。幸いに本町は昔から教育文化を大事にする心が根付い
ており、先人たちが築き上げた大いなる伝統・文化を次代に継承・発展させることは私た
ちの大事な使命であります。今後とも、創造性に富む人材の育成と文化の香る風格あるま
ちづくりに向け一層の努力を続けてまいります。
学校教育は、学校現場で培った知識がこれからの社会を担う力となりうるため教育の根幹
をなすといっても過言ではありません。物質的な豊かさを実感している昨今、青少年によ
る痛ましい事件が相次いでいることに対し憤りを覚え心を痛めております。改めて学校教
育の重要性を再認識し、責任ある行動や心の大切さ、命の尊さをしっかり根付かせるため
にも、新時代にふさわしい教育のあり方、学校づくりについての教育施策を積極的に展開
してまいります。
平成十四年度から実施されます新しい教育課程では、児童生徒の主体的な学習活動が重視
されています。新しい「総合的な学習」の中では健康・福祉、環境問題、地域文化など最
も身近なものを考える教育、地域に深く関わる教育など特色のある教育の実現が目指され
ています。
行政としても、学校現場はもちろん地域や家庭、関係機関・団体との連携を密にし新しい
学校づくりにまい進してまいります。
民間が運行しておりますスクールバスが近々撤退することに伴い、町でスクールバスを購
入し、つきしろの街から通う児童・生徒の通学の便を確保してまいります。
近年、青少年による犯罪・非行やいじめ等が深刻化しています。ジュニアリーダークラブ
を組織化し、異世代交流や体験学習を通して青少年の健全育成を図ってまいります。また
、子育てに悩む親を対象に関係機関、団体等と連携しながら家庭教育学級を開催してまい
ります。
先般国においてIT基本法が成立し、今やIT(情報技術)は全国民を巻きこんだ国家プロ
ジェグトと言っても過言ではありません。本町でも高齢者や主婦をはじめ幅広い町民がパ
ソコンやインターネットに慣れ親しみITの恩恵を享受できるようIT講習会を実施して
まいります。
行政サービスの向上を目指し各学校、公共機関等にインターネットを活用した双方向通信
ができる環境を整備する地域インターネット導入促進事業は、平成12年度秋の稼動を目指
し関係機関との連携を図りつつその整備に努めてまいります。
情報化の大きなうねりの中にあって、時代のすう勢を見据えた新たな発想で活性化に取組
む必要があります。IT懇話会を設置し、情報通信産業の導入等について研究するととも

に、町におけるIT戦略を総体的にまとめた地域情報化計画の策定に着手いたします。ま
た、住民基本台帳法の改正に伴う住民基本台帳ネットワークシステムの構築に取り組んで
まいります。
国際・国内交流の推進につきましては、青少年国際交流事業十周年を記念してハワイ佐敷
・知念同志会の子弟の受け入れを行い、広く町内の青少年との交流を促進してまいります
。また、本町と姉妹都市を提携している宮崎県高千穂町と友好親善を図るためスポーツ交
流事業を実施するとともに、福岡県波多江小学校に町内の子どもたちを派遣し姉妹校のき
ずなを深めてまいります。
シュガーホールを拠点にした「文化のまちづくり事業」は、町民参加を基本にした意欲的
な取り組みで内外から高い評価を受けております。シュガーホール新人演奏会、子ども文
化教育支援プログラムを引き続き実施するとともに、平成13年度は、町民音楽祭「みんな
の歌コンサート」を開催するほか、世田谷パブリックシアター、平良市マティダ市民劇場
との共同制作で音楽劇、宮沢賢治の「ふたごの星」の上演に取り組み、優れた舞台芸術鑑
賞の場を広く提供してまいります。
余暇時間の増大、健康志向の高揚に伴い町民の生涯スポーツヘの期待はますます高まりつ
つあります。平成13年度は、複数の種目からなる総合的スポーツクラブに町民が参加し、
学校開放施設やスポーツ施設と連携して運営のできる住民参加型のスポーツクラブの育成
に取り組んでまいります。
文化面においては、これまで佐敷上城範囲確認調査や佐敷小学校地内における「下代原遺
跡緊急発掘調査」を行ってきたところであります。平成13年度は更に調査を拡大し「平良
川原遺跡」などの発掘調査に取り組み、文化財保護に向けた基礎資料の作成を行い、貴重
な文化遺跡を後世に伝えてまいります。
郷土文化の掘り起こしや継承・発展など地域に根ざした活動を展開し、文化振興に貢献し
ております佐敷町文化協会に対し、引き続き支援を行ってまいります。
郷土の英雄・尚巴志を再認識し、その歴史的意義、上城周辺の整備のあり方などを探るた
め設置した「尚巴志懇話会」を引き続き開催し、町活性化のシンボルとして町民の心の拠
り所となるよう、その方向性と具体策を提示してまいります。
町史編さん事業につきましては、本町の歴史を掘り起こし、学問的遺産として後世に残す
と同時に、町民が郷土を学ぶ歴史書としてこれまで発刊してまいりました。引き続き「移
民編」の早期発刊に向け編集作業を進めてまいります。
社会のあらゆる分野において男女が対等な立場で参加し住み良い社会をつくることは、町
においても重要な課題であります。男女共同参画社会の形成に向け、その指針となる「男
女共同参画プラン」の策定に向けた取り組みを行ってまいります。
三 環境に優しい潤いのある故郷づくり
安全で快適な生活を営めるまちづくりの推進は、町政の大きな責務の一つであります。町
民が均しく行政の恩恵を享受できるよう、これまで関係者のご協力を得ながら年次的に生
活環境の整備に努めてまいりました。引き続き地域のニーズを的確に把握し、地域に即し
た整備を行い、町民、事業所、行政のパートナーシップを築きつつ環境に優しい潤いある
故郷づくりを進めてまいります。
那覇広域都市計画区域に属する本町では、都市化の進展や生活圏の拡大に伴い、近年町民
の生活様式や行政ニーズも高度、多様化しつつありますが、今後とも大局的な見地から、
自然環境の保全に配意した整備に努めてまいります。
町道整備では、仲伊保海岸線と佐敷手登根線は完了の年度を迎えますが、浜之端連絡線の
整備を継続して実施するとともに、平成13年度は、新開一周線の整備と地方改善施設整備
事業による津波古地区の道路改良に取り組んでまいります。
環境の世紀と言われる21世紀において、環境問題は広く全人類共通の課題と言えます。町

と致しても「佐敷町一般廃棄物処理基本計画」に基づき、町民の理解と協力も得ながらご
み問題の解決に努めてまいります。
ごみ焼却場から出る一般廃棄物焼却残沽(焼却処理後残った灰)を処理する南部地区最終処
分場につきましては、「南部地区最終処分場建設推進協議会」と連携しながら用地選定等
に取り組み、平成16年度の供用開始を目指してまいります。
ビニールハウスなど施設園芸に使用された農業用廃プラの回収事業等につきましては、廃
プラを油に戻す環境循環型の「油化還元装置」の糸満市への設置が決定しておりますので
、町としても、南部地区農業用廃プラスチッグ適正処理対策協議会やJAと連携して農家へ
の啓もう活動に努めてまいります。
花と緑は、私たちに憩いと安らぎを与えてくれます。五大構想のひとつであります全町植
物園化構想の実現に向け、佐敷町心豊かなふるさとづくり推進協議会((CGG)を中心に関
係団体や町民の協力を得ながら取り組んでまいります。
今日の車社会において、交通安全対策は重要課題の一つであります。悲惨な交通事故から
町民を守るため引き続き交通安全施設の点検・整備を実施するとともに、交通安全推進協
議会や関係機関とも連携し、町民総ぐるみで交通三悪の追放、交通ルールの遵守等、交通
安全意識の高揚に努めてまいります。
また、地域の美観を保持し、快適な生活環境の維持及び良好な都市景観の形成を図ること
を目的に「佐敷町放置自動車処理要綱」を制定し、警察、関係機関と連携を図りつつ、社
会問題となっております放置自動車対策に取り組んでまいります。
四 笑顔輝く健康・福祉の里づくり
本格的な高齢社会の到来を迎え、健康で生きがいをもって生涯を過ごせる福祉社会を築く
ことは、行政に課せられた大きな使命であります。高齢者や障害者等弱者にやさしいまち
づくりを推進するとともに、町民の多様なニーズに対応したきめ細かで総合的な施策を講
じ、福祉の風土づくりを進めてまいります。
昨年4月から始まりました介護保険制度につきましては、介護サービス基盤の更なる充実
を図るため、介護予防拠点整備事業を活用して老人福祉センターの増改築に取り組んでま
いります。要介護在宅老人に対する支援を強化するとともに、制度の定着に向けた取組を
進め、介護サービスの質の向上に努めてまいります。
老人福祉につきましては、高齢者が生きがいを感じ、健康で楽しく過ごせる環境整備の充
実に努めるとともに、老人保健福祉計画及び介護保険事業計画に基づいた諸事業を推進し
てまいります。各種講座やクラブ活動を支援するとともに、お年寄りができる限り住み慣
れた家庭や地域の中で、笑顔で安心して暮らしていけるよう老人福祉の更なる向上を目指
してまいります。
また、町社会福祉協議会が実施し好評を得ております「高齢者ふれあい健康づくり事業」
や「生きがい活動支援通所事業」にも継続的に支援するほか、新たにふれあいのまちづく
り推進事業や要援護老人等に対する配食サービス事業を実施し、サービス内容の充実強化
を図ってまいります。今後とも、社会福祉協議会と連携を密にして地域福祉の基盤強化に
努めるとともに、福祉バスの有効利用を図り、町民福祉の向上につなげてまいります。
母子・父子福祉につきましても、引き続き母子、父子家庭の医療費助成事業を推進してま
いります。また、乳幼児医療費助成事業を継続し、子育てに対する負担の軽減を引き続き
行ってまいります。
障害者福祉対策につきましては、身体障害者ホームヘルプサービス事業、身体障害者短期
入所事業、身体障害者更生援護施設入所通所措置事業及び重度身障者に対ずる日常生活用
具給付事業を継続するとともに、新たに身体障害者デイサービス事業を実施するなどきめ
細かなサービスの提供に努めてまいります。

地域住民の理解と協力のもと着実な歩みを続けております「共同作業所さしき」に対して
も引き続き支援を行い、事業内容の充実発展に力を注ぐとともに、心身に障害をもつ方々
の自立と社会参加に努めてまいりまず、
少子化の中にあって多様なニーズのある児童福祉につきましては、すこやか保育サービス
事業、ゼロ歳児保育、放課後児童対策事業、特別保育事業を引き続き推進するとともに、
認可外保育所への運営補助を継続して行ってまいります。また、多様な保育サービスに対
する需要、将来の保育需要等、地域の実情をふまえながら私立保育園の法人化について検
討してまいります。
児童福祉の拠点となるひまわり児童館も平成11年度の開館以来、利用者数も堅調に推移し
その役割を果たしています。子どもたちはもとより町民が楽しくふれあえる場としての機
能が十分生かされるような施設運営に努めるとともに、平成13年度は新たに児童館の空き
時間を利用した子育て支援事業を推進してまいります。また、「児童館等整備検討会」に
おいて検討を続けてまいりました佐敷小学校区への児童館の設置につきましては、町の公
共施設配置審議会への諮問を行い、平成15年度着工を目指して諸準備を進めてまいります

「健康」を町政運営の柱に掲げる本町では、各種補助事業を活用して、町民のご理解とご
協力のもとこれまで健康づくり事業に力を入れてまいりました。平成12年度は、「健康文
化と快適なくらしのまち創造プラン」に墓づき、睡眠健康事業、ライフスキル健康事業な
どの諸事業が展開されたほか、食生活改善推進協議会も本格的な活動に入りました。寝た
きりを作らないための「健康と笑いの文化講演会」等も成果を収め、昨年10月には佐敷町
「健康の町宣言」を行いました。引き続き、琉球大学や関係機関の協力を得て疾病の早期
発見、早期治療に努めるとともに、健康椙談相談、健康教育、訪問指導等も強化し、町民
の健康に対する意識の高揚と体力の保持増進を図ってまいります。
世代間の支えあいを基本に老後の安定した生活と家族の安心を守るために大きな役割を担
っている国民年金につきましては、平成13年度も制度の周知徹底を図り、若い人たちの加
入促進及び無年金者の発生防止に努力してまいります。
近年の国保財政は、老人医療費が減少傾向にあるものの依然として厳しい状況にあります
。健全な国保財政の運営のために、広報活動を強化するとともに、介護保険部門や保健、
福祉活動とも連携して日常的な健康管理による予防の徹底に取り組んでまいります。
また、医療費適正化対策事業や生活習慣改善モデル事業、中高年参加型生きがい健康づく
り事業等の保健施設事業にも積極的に取り組み、年々増大する医療費の抑制に努力してま
いります。レセプト点検に力を入れるとともに徴収体制を強化し、保険税収納率の向上を
図ってまいります。
五 平和を発信する地域社会作り
沖縄は、先の大戦において地上戦を身をもって体験した国内唯一の県であり、二十三万人
余の尊い命が犠牲となり貴重な文化財や豊かな緑を失いました。その戦争の傷あとは戦後
半世紀以上を経た今日でも残っております。また、米軍専用基地の75パーセントが集中す
る本県は、基地に起因する事件、事故が後をたたず、基地の重圧が県民の上にのしかかっ
ています。
中でも、去る1月9日、本島北部で起きた在沖米海兵隊員による女子高校生に対するわいせ
つ事件と、14日国頭村で起こった米軍人軍属による傷害、器物損壊事件及び15日、20日北
谷町で発生した海兵隊員の飲食店街連続放火事件は、沖縄県民に大きな衝撃を与え、新た
な怒りを呼び起こしています。加えて、在沖米四軍調整官の発言は県民を愚弄するもので
あり、極めて遺憾であります。広大な米軍基地と多数の兵員が存在することが犯罪発生の
要因となっていることは明白であり、米兵犯罪を根絶し、住民の生命・財産・人権を守る

ため、町議会と連携して抜本的な再発防止と海兵隊を含む兵力の削減、基地の整理縮小を
求めてまいります。
沖縄の基地問題が、県民の暮らしと安全、自然環境や地域の振興発展に大きく影響を及ぼ
す中、私たちは今一度戦争の悲惨さと核兵器の恐ろしさを再認識するとともに、平和な社
会の建設に努力しなければなりません。戦後半世紀以上が経過した今日、子や孫に戦争体
験を語り継ぐことが困難になりつつありますが、沖縄の過去の歴史を正しく伝え、戦争の
愚かさと平和の尊さを再認識し、後世に続く豊かな社会を築くことは、私たちに課せられ
た大きな使命であります。
町としても引き続き学校における平和教育や平和体験学習等の充実に力を注ぐとともに
、「町史戦争編」を活用した語り部活動や戦跡地めぐりなど、地域や暮らしの中から平和
にかかる諸問題をともに考えてまいりたいと存じます。併せて、平和祈念像周辺を平和を
希求する広場として整備、活用するとともに、「非核平和宣言の町」の塔を建立し、核兵
器のない平和な町・佐敷をアピールしてまいります。
おわりに
町民、議会議員の皆様方の多大なるご理解とご協力のおかげをもちまして平成十二年度の
町政運営は円滑かつ適正に行われ、次のような成果が得られましたことに対し心から感謝
申し上げます。
昨年、西暦2000年の記念すべき節目の年に町制施行20周年を迎えた本町では、20周年記念
事業に取り組んでまいりました。6月の記念式典では、町民功労者6名の方々の表彰を行う
とともに、町民一丸となって新たなまちづくりへ踏み出すことを誓い合いました。また
、11月に開かれた「第四回さしきまつり」は、万余の来場者で盛り上がり、特に、町民各
層が関わった手作りの町民ミュージカル「りっか!この風にのって」は観客を魅了し大成功
をおさめました。
待望の佐敷小学校の校舎増改築工事がこのほど終了し、2月13日からは新装なったモダン
な校舎で子どもたちが元気いっぱい勉学に励んでおります。現在、特別教室の改修や周辺
環境の整備が進行中ですが、学校教育環境の整備に尽力された関係機関、関係各位に対し
改めて敬意を表したいと思います。
人と環境にやさしい循環型社会の実現を目指して取り組んでおります環境対策も堅実な進
展をみせております。
ごみの五種類分別、有料化等は町民の間に定着し、搬出されるごみの量は減少傾向にあり
ます。フリーマーケットの開催など、今後とも、町民の理解と協力のもと清潔で快適なま
ちづくりに取り組んでまいります。
斬新なアイディアと町民参加型の企画で評価を得ておりますシュガーホールでは、平成12
年度も多彩な事業を展開しました。国際フォーラム「青少年のための舞台芸術教育と国際
交流」等が成果を収め、また、世界へ羽ばたく若手音楽家の意気込みにあふれた新人演奏
会の高レベルの演奏は、喝采を浴びていました。
健康づくりに力を入れている本町では、2000年10月に「佐敷町・健康の町」を宣言、毎月
第一日曜日を「町民健康の日」と設定しました。今後とも、町民一丸となって”元気・佐敷
・21世紀”の健康標語のもと、健康で生きがいのあるまちづくりに取り組んでまいります。
平成12年度から昼間の窓口業務を開始し住民の利便性の向上に努めてまいりましたが、引
き続き昼窓を実施するとともに、広報活動を強化して利用度のアップを図ってまいります

また、平成12年度は各自治会において行政懇談会を開催し、町民の意向を町政に反映させ
るよう取り組んでまいりましたが、透明性の高いまちづくりを推進するため、今後とも広
報広聴活動の充実に努めてまいります。

併せて、平成13年度は、「地域活性化懇話会」を設置し、シュガーホールを核とした振興
策等、当面する町の主要課題について論議してまいります。
今年11月には第三回世界のウチナーンチュ大会が開かれますが、町としても県と連携をと
りつつ、大会に参加する郷土出身者の歓迎会を実施してまいります。
以上、所信の一端と施策の概要について申し上げました。国内外の政治経済の急激な変化
の中、時代の流れに翻弄されない強固な信念と開拓精神をもって、まちづくりの礎を築き
、21世紀を切り開く町政運営が重要であります。行財政改革を着実に推進し、簡素で効率
的な行政システムの構築を図ってまいります。また、職員の意識改革を進めるとともに、
政策形成能力の向上に向けた特別自主研修の実施等、職員研修の充実、計画的な人材の育
成などに努めてまいります。おごることなくひるむことなく、町民の負託に責任を持って
応えられるよう今後とも誠心誠意努力してまいりますので、議員各位をはじめ町民の皆さ
んのご理解、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。
平成13年3月12日
佐敷町長 津波元德はじめに
本日、第159回佐敷町議会定例会の開会にあたり、平成13年度の当初予算案をはじめとす
る関係議案のご審議をお願いするに際しまして、町政運営に関する所信の一端と施策の概
要を申し上げまして、議員各位ならびに町民の皆さんのご理解とご賛同を賜りますようお
願い申し上げます。
私たちは今、西暦2001年の記念すべき時を迎え、新しい時代のスタートラインに立ちまし
た。この新たな世紀が平和で穏やかな時代となるよう心から願うとともに、佐敷町にとり
ましても有意義で実りのある時代となりますよう、町民の皆さんのご協力をいただきなが
ら、その礎を築いてまいりたいと考えております。
さて、我が国は今、長引く景気の低迷による雇用不安や地域経済の停滞などにより、依然
として先行きが不透明な状態が続いております。
地方分権の進展によって、国との役割分担が明らかになり、その独自性や自主性を発揮し
た個性豊かで活力あふれる地域社会づくりが求められており、自治体間の競争も一層強ま
っております。また、少子・高齢化の進行は、福祉、医療、年金をはじめ我が国の社会の
あり方に大きな課題を投げかけております。
いま、IT(情報技術)革命の進展に伴い、グローバル化の波はいよいよ高まり、我が国の社
会経済システムを支えてきた制度や価値観は、かつてない変化の時代を迎えています。21
世紀を豊かなものとしていくためには、このような課題に対応できる社会経済システムの
構築が不可欠になります。
県内においては、「九州・沖縄サミット」の開催や「琉球王国のグスク及び関連遺産群」
の世界遺産への登録など、昨年は、沖縄を世界へ発信した記念すべき年でありました。一

方経済情勢では、情報関連企業の進出による雇用効果により一部で明るさはみられるもの
の、企業の経営環境は依然として厳しく、高い失業率の状況も続いております。
本町においてもその例外ではなく、財政環境は依然として厳しい状況にありますが、いか
に障壁は大きくとも勇気をもって前進しなければなりません。私は、今年、二期目の満了
の年を迎えますが、町民の皆さんが「豊かさとゆとり」を実感できるよう、そして佐敷町
に生まれ育ち暮らしていることを誇りに思えるよう、改めて町民本位のまちづくりを推し
進め、本町の個性や創意工夫を活かしたきめの細かい行政サービスを提供していきたいと
考えております。
町民から信頼され納得をいただける「開かれた町政運営」を実現するため、情報公開・個
人情報保護制度や広報広聴施策の充実によって町政情報を積極的に提供するとともに、住
民参加の機会を充実してまいります。更には、行財政改革を推進し事務事業の見直しや効
率的執行に努め、社会情勢の変化とともに多様化・高度化する行政ニーズに的確に対応で
きるよう行政の効率化に取り組んでまいります。
私たちは、「激動の世紀」と呼ばれた20世紀に別れを告げ、希望の新世紀を迎えました。
この21世紀のスタートとなる今年は、新しい町づくりを進めていく上で、極めて重要な年
となります。この節目の年に町政を担当する責務の重さを改めて認識するとともに、諸施
策の着実な実行によって明るく住み良い佐敷町の実現に全力を尽くしてまいります。
今、私たちを取り巻く環境は厳しいものがありますが、私は、尚巴志の琉球三山統一、戦
後の沖縄民政府の設置、県内初の音楽専用ホールの開館など、歴史の転換の舞台となり、
新たな時代を切り開いてきた佐敷町は、時代の潮流を乗り越えて、更なる躍進をすること
ができると信じています。内外の急激な変化の中、私は、次代を見据えた確固たる意志と
信念そして勇気を持ち、若い世代が大らかに夢を語りあうことのできる、活き活きとした
佐敷町を築いてまいる決意でおリます。
その意味で、平成13年度は「フロンティア・スピリット21」を合い言葉に幅広い知恵と力
の結集によって、本町を内外に誇れる元気で存枉感のある町にしていきたいと考えており
ます。
基本施策
私は、平成5年に町政を担当してから今日まで2期7年余にわたって、一貫して開かれた明
るい町政を目指して、町民本位のまちづくりを基調としながら、「住んでよかったと感じ
、他所に対して誇れるまち」を創造するために諸施策の展開を図ってまいりました。素晴
らしいふるさとの自然や歴史風土を伝承し、活かしながら、町民と行政が信頼関係を育み
、連帯の輪と強調の和を広げ、ふれあい豊かな地域づくりを推し進めてまいりました。
今日、国においては、21世紀の新たな発展基盤を築き、未来に向けて経済を新生させる経
済新生対策に努力しているところでありますが、景気は依然として厳しい状況から抜け出
せず、我が国の経済動向は先行き不透明の状態にあります。
人と物、金、情報などが、従来の国家という枠組みを超え、瞬時にかつ複雑に地球規模で
動く時代となり、少子・高齢化や情報化、環境問題等、新たな対応が求められてきており
ます。
このような大きなうねりの中で、国の経済社会の動向に対応しながら、本町の発展を目指
し、総合計画を指針として町政を推進してまいりました。特に、町民の生活水準の向上を
念頭におき、町民一人ひとりが幸せを感じ、喜びを分かち、生きがいを享受できる活力と
魅力あるまちづくりの礎石を築くため、農水産業基盤の整備や商工業の振興、生活環境の
改善、健康づくりの推進、福祉の充実、文化活動の拡充、学校教育・生涯学習の充実など
各面にわたっての基盤づくりに全力で取り組んでまいりました。
その結果、一定の成果をあげましたことは大きな喜びであり、これらの実現は、ひとえに

議員各位、町民及び関係者の皆様のお力添えのたまものと、心から深く感謝申し上げます
。今後は、こうした成果の上に立脚して、更に発展させ、21世紀を切り開く活力を吹き込
むよう、新たなるまちづくりに向け一層の努力を重ねる所存であります。
まちづくりの基本目標である「夢・花・風とシュガーホール」の町・佐敷の実現を目指し
、計画の中で方向付けをしている事業や各種の諸施策等は、概ね順調に進展しているもの
の、マリンタウンプロジェクト、南部東道路、ヘルシーリゾート計画の推進等、今後新し
い展開を進めなければならない課題も数多くあります。私は、これらの課題解決に向け一
層の努力を続けてまいりたいと存じます。
「21世紀のあるべき佐敷の姿」を展望しながら、行財政改革、情報公開の推進、健康づく
り事業の展開、少子・高齢化への対応、環境問題への対応、そして生涯学習の推進を町政
運営の柱に据えてまいります。
私は町政を預かる者として、常に初心を忘れることなく町民の心を心とし、「町民参加
」「公正・公平」「対話と協調」「思いやり」を基調としつつ、町民の負託に責任を持っ
て応えられるよう、職員とともに精一杯取り組んでまいります。
そこで、町政の運営にあたっては、平和憲法の理念を尊重しつつ、地方自治の本旨をふま
え次の三点を基本姿勢に全力を傾注してまいります。
一産業を振興し、住み良い生活環境の整備を図り、町民に夢と希望を与える明るいまちづ
くりを目指します。
一自然を大切にし、教育、文化の向上を図り、人間的なふれあいと潤いのあるまちづくり
を目指します。
一健康と福祉を大事にし、思いやりとやすらぎのある平和なまちづくりを目指します。
昨今の社会状況の変化は著しく、長引く景気の低迷、高齢社会の到来、地方分権の動きな
どが大波となって押し寄せ、財政状況は厳しさを増しております。しかし、町民の皆様に
責任をもてる行政を進めていくためには、これを乗り切っていくことができる体力と体質
を作り上げることが不可欠であります。このため、「第三次佐敷町行政改革大綱」を策定
し、新たな財政需要の高まりに柔軟に対応できる弾力的な財政運営の確立と執行体制の改
革を優先課題として取り組む所存であります。
本町の行財政運営の基本施策は、「活力と賑わいのある都市づくり」「文化の香る風格あ
るまちづくり」「環境に優しい潤いある故郷づくり」「笑顔輝く健康・福祉の里づくり
」「平和を発信する地域社会づくり」であります。平成13年度はこの基本施策をふまえつ
つ、町民福祉の向上、町勢の発展に努めてまいる所存であります。
一活力と賑わいのある都市づくり
展望のもてる経済基盤の確立と社会資本の整備を図ることは、活力と賑わいのある都市づ
くりにとって大きな課題の一つであり、関係機関及び関係者との緊密な連携のもと産業の
振興と社会資本の整備に取り組んでまいります。
町の基幹産業である農業の振興を図っていくことは、町民の生活にとって不可欠な食料の
生産はもとより、豊かな町土を維持・発展させていく上で極めて重要なことであります。
高齢化、後継者不足、農産物の自由化に伴う価格の低迷など農家を取り巻く環境は厳しい
ものがありますが、新奨励品種作目の導入等を積極的に行うとともに生産技術や経営管理
能力の向上に努め所得の安定化を図ってまいります。と同時に、後継者の育成に力を注ぎ
魅力ある農業、活力あるむらづくりを促進してまいります。
土地改良事業の推進によりほ場整備はほぼ完了しておりますが、一方では、農家の高齢化
や担い手不足による新規就農者の減少によって、農地の遊休化が目立つのも事実でありま

す。今後も基幹作物であるさとうきびをはじめ果樹や花き、野菜等の生産拡大及び品質向
上に取り組み、農地流動化推進委員や関係機関との連携を強化しながら、農家の皆さんの
協力のもと農地の有効活用に努力してまいります。
生産者と消費者のふれあいの場として親しまれている佐敷町農産物直売所は、運営も順調
に推移し、町内外からの利用客で賑わいを見せています。農家の皆さんの生きがいと健康
づくりに寄与できるよう今後も指導助言に努めてまいります。
農業経営の中で欠かせない課題の一つである水の確保につきましては、これまで、佐敷、
新里、小谷、伊原、兼久地区で営農用水施設を整備してまいりました。引き続き津波古地
区の施設整備に取り組むとともに、懸案の浜崎地区につきましても、水の安定供給に向け
多角的に検討してまいります。
排水路の土砂等の堆積を未然に防ぎ排水のスムーズな流れを確保するため、団体営ため池
等整備事業を継続して手登根地区で実施してまいります。また、団体営農地保全整備事業
を屋比久地区で継続して行い農用地の保全を図ってまいります。併せて、落水地区の農地
保全整備事業を継続し農業生産の向上に努めてまいります。
更に、県営一般農道整備事業においても、浜崎土地改良区内の農道、排水路を整備し、農
村生活環境の整備を図ってまいります。
平成13年度の新規事業としましては、団体営農村振興総合整備統合補助事業(佐敷知念地区
)があげられます。本事業は、平成19年度までの七年継続事業であり平成13年度は、佐敷
公民館の実施設計、佐敷小学校の緑化事業、手登根集落排水の施行及び屋比久農業排水の
施工が計画されており、農業生産基盤の整備と農村環境の整備を総合的に実施してまいり
ます。
波穏やかな中城湾と斜面緑地に囲まれた本町は、自然環境に恵まれたまちです。町内の貴
重な資源を保全し有効に活用するため、流域森林総合整備事業を継続して行い、良好な森
林環境の保全に努めてまいります。
昨今、畜産業はきわめて厳しい状況下にありますが、これまで同様予防接種事業や飼育指
導などの諸制度を活用し、畜産農家の経営改善に取り組んでまいります。また、懸案であ
ります悪臭対策につきましても、環境畜産リース事業の活用等により地域住民の快適な生
活環境の維持に向け努力してまいります。
水産業につきましても、年々就業者の高齢化等厳しい状況に直面していることに鑑み、漁
業組合や関係機関と連携を深めながら当面する諸課題の解決に向けて話し合いを持ち漁業
経営の活性化に努めてまいります。漁業従事者の技術向上・育成を図るため漁業者研修セ
ンターの整備に取り組むとともに、港湾計画の改訂作業を進めてまいります。その中で、
漁船・遊漁船の拠点機能の整備、ウォーターフロントとしての賑わいの場の確保等、環境
に配慮した整備を目指してまいります。
地域活性化の原動力となります商工業の振興は、商工会を中心に経営基盤の強化と近代化
に努めてまいります。
このほど完成した商工会館を拠点に、特に町民からの要望が強い特産品の開発に向け商工
会と協力して取り組んでまいります。
上水道につきましては、水の安定的供給を図る目的で年次的、計画的に整備してまいりま
したが、引き続き老朽管更新や配水管新設を実施し、赤水対策や漏水防止対策に努めてま
いります。
健康で快適な生活環境の確保と公共用水域の水質保全を図るため不可欠な施設である下水
道事業につきましても、平成12年度は津波古幹線及び枝線の整備を実施してまいりました
。今後とも県や関係機関と協力しながら、年次的計画に基づき円滑な事業執行に努力して
まいります。
南部地域の豊かな自然や歴史的、文化的特性を生かした保養地の整備を図るヘルシーリゾ

ート計画は、島尻地域の活性化はもとより、これからの沖縄県の観光産業の振興と雇用の
創出につながるものと期待されております。
現在、島尻地域振興開発推進協議会において事業化方策の検討を行っておりますので、そ
の推移も見守りながらその進展に向け必要な取り組みを進めてまいりたいと考えておりま
す。
南部東道路整備事業に関しましても、ルートの問題で市町村間の調整に時間を要しており
ますが、子々孫々に誇れる事業にするためにも議論を重ね、事業実施に向け努力致します

中城湾港マリンタウンプロジェクトは、本町にとって、21世紀のまちづくりの礎となる重
要施策のひとつであります。環境問題にも配慮しつつ、夢ふくらむ快適都市・佐敷シーガ
ーデンの実現に向け、関係機関との連携を図り、佐敷東地区の早期の事業化に最大限の努
力をしてまいります。
二 文化の香る風格のあるまちづくり
私たち町民が故郷に誇りと愛着を持ち、将来を見据えた人間性豊かな人材を育てることは
、町づくりの大きな柱であります。幸いに本町は昔から教育文化を大事にする心が根付い
ており、先人たちが築き上げた大いなる伝統・文化を次代に継承・発展させることは私た
ちの大事な使命であります。今後とも、創造性に富む人材の育成と文化の香る風格あるま
ちづくりに向け一層の努力を続けてまいります。
学校教育は、学校現場で培った知識がこれからの社会を担う力となりうるため教育の根幹
をなすといっても過言ではありません。物質的な豊かさを実感している昨今、青少年によ
る痛ましい事件が相次いでいることに対し憤りを覚え心を痛めております。改めて学校教
育の重要性を再認識し、責任ある行動や心の大切さ、命の尊さをしっかり根付かせるため
にも、新時代にふさわしい教育のあり方、学校づくりについての教育施策を積極的に展開
してまいります。
平成十四年度から実施されます新しい教育課程では、児童生徒の主体的な学習活動が重視
されています。新しい「総合的な学習」の中では健康・福祉、環境問題、地域文化など最
も身近なものを考える教育、地域に深く関わる教育など特色のある教育の実現が目指され
ています。
行政としても、学校現場はもちろん地域や家庭、関係機関・団体との連携を密にし新しい
学校づくりにまい進してまいります。
民間が運行しておりますスクールバスが近々撤退することに伴い、町でスクールバスを購
入し、つきしろの街から通う児童・生徒の通学の便を確保してまいります。
近年、青少年による犯罪・非行やいじめ等が深刻化しています。ジュニアリーダークラブ
を組織化し、異世代交流や体験学習を通して青少年の健全育成を図ってまいります。また
、子育てに悩む親を対象に関係機関、団体等と連携しながら家庭教育学級を開催してまい
ります。
先般国においてIT基本法が成立し、今やIT(情報技術)は全国民を巻きこんだ国家プロ
ジェグトと言っても過言ではありません。本町でも高齢者や主婦をはじめ幅広い町民がパ
ソコンやインターネットに慣れ親しみITの恩恵を享受できるようIT講習会を実施して
まいります。
行政サービスの向上を目指し各学校、公共機関等にインターネットを活用した双方向通信
ができる環境を整備する地域インターネット導入促進事業は、平成12年度秋の稼動を目指
し関係機関との連携を図りつつその整備に努めてまいります。
情報化の大きなうねりの中にあって、時代のすう勢を見据えた新たな発想で活性化に取組
む必要があります。IT懇話会を設置し、情報通信産業の導入等について研究するととも

に、町におけるIT戦略を総体的にまとめた地域情報化計画の策定に着手いたします。ま
た、住民基本台帳法の改正に伴う住民基本台帳ネットワークシステムの構築に取り組んで
まいります。
国際・国内交流の推進につきましては、青少年国際交流事業十周年を記念してハワイ佐敷
・知念同志会の子弟の受け入れを行い、広く町内の青少年との交流を促進してまいります
。また、本町と姉妹都市を提携している宮崎県高千穂町と友好親善を図るためスポーツ交
流事業を実施するとともに、福岡県波多江小学校に町内の子どもたちを派遣し姉妹校のき
ずなを深めてまいります。
シュガーホールを拠点にした「文化のまちづくり事業」は、町民参加を基本にした意欲的
な取り組みで内外から高い評価を受けております。シュガーホール新人演奏会、子ども文
化教育支援プログラムを引き続き実施するとともに、平成13年度は、町民音楽祭「みんな
の歌コンサート」を開催するほか、世田谷パブリックシアター、平良市マティダ市民劇場
との共同制作で音楽劇、宮沢賢治の「ふたごの星」の上演に取り組み、優れた舞台芸術鑑
賞の場を広く提供してまいります。
余暇時間の増大、健康志向の高揚に伴い町民の生涯スポーツヘの期待はますます高まりつ
つあります。平成13年度は、複数の種目からなる総合的スポーツクラブに町民が参加し、
学校開放施設やスポーツ施設と連携して運営のできる住民参加型のスポーツクラブの育成
に取り組んでまいります。
文化面においては、これまで佐敷上城範囲確認調査や佐敷小学校地内における「下代原遺
跡緊急発掘調査」を行ってきたところであります。平成13年度は更に調査を拡大し「平良
川原遺跡」などの発掘調査に取り組み、文化財保護に向けた基礎資料の作成を行い、貴重
な文化遺跡を後世に伝えてまいります。
郷土文化の掘り起こしや継承・発展など地域に根ざした活動を展開し、文化振興に貢献し
ております佐敷町文化協会に対し、引き続き支援を行ってまいります。
郷土の英雄・尚巴志を再認識し、その歴史的意義、上城周辺の整備のあり方などを探るた
め設置した「尚巴志懇話会」を引き続き開催し、町活性化のシンボルとして町民の心の拠
り所となるよう、その方向性と具体策を提示してまいります。
町史編さん事業につきましては、本町の歴史を掘り起こし、学問的遺産として後世に残す
と同時に、町民が郷土を学ぶ歴史書としてこれまで発刊してまいりました。引き続き「移
民編」の早期発刊に向け編集作業を進めてまいります。
社会のあらゆる分野において男女が対等な立場で参加し住み良い社会をつくることは、町
においても重要な課題であります。男女共同参画社会の形成に向け、その指針となる「男
女共同参画プラン」の策定に向けた取り組みを行ってまいります。
三 環境に優しい潤いのある故郷づくり
安全で快適な生活を営めるまちづくりの推進は、町政の大きな責務の一つであります。町
民が均しく行政の恩恵を享受できるよう、これまで関係者のご協力を得ながら年次的に生
活環境の整備に努めてまいりました。引き続き地域のニーズを的確に把握し、地域に即し
た整備を行い、町民、事業所、行政のパートナーシップを築きつつ環境に優しい潤いある
故郷づくりを進めてまいります。
那覇広域都市計画区域に属する本町では、都市化の進展や生活圏の拡大に伴い、近年町民
の生活様式や行政ニーズも高度、多様化しつつありますが、今後とも大局的な見地から、
自然環境の保全に配意した整備に努めてまいります。
町道整備では、仲伊保海岸線と佐敷手登根線は完了の年度を迎えますが、浜之端連絡線の
整備を継続して実施するとともに、平成13年度は、新開一周線の整備と地方改善施設整備
事業による津波古地区の道路改良に取り組んでまいります。
環境の世紀と言われる21世紀において、環境問題は広く全人類共通の課題と言えます。町

と致しても「佐敷町一般廃棄物処理基本計画」に基づき、町民の理解と協力も得ながらご
み問題の解決に努めてまいります。
ごみ焼却場から出る一般廃棄物焼却残沽(焼却処理後残った灰)を処理する南部地区最終処
分場につきましては、「南部地区最終処分場建設推進協議会」と連携しながら用地選定等
に取り組み、平成16年度の供用開始を目指してまいります。
ビニールハウスなど施設園芸に使用された農業用廃プラの回収事業等につきましては、廃
プラを油に戻す環境循環型の「油化還元装置」の糸満市への設置が決定しておりますので
、町としても、南部地区農業用廃プラスチッグ適正処理対策協議会やJAと連携して農家へ
の啓もう活動に努めてまいります。
花と緑は、私たちに憩いと安らぎを与えてくれます。五大構想のひとつであります全町植
物園化構想の実現に向け、佐敷町心豊かなふるさとづくり推進協議会((CGG)を中心に関
係団体や町民の協力を得ながら取り組んでまいります。
今日の車社会において、交通安全対策は重要課題の一つであります。悲惨な交通事故から
町民を守るため引き続き交通安全施設の点検・整備を実施するとともに、交通安全推進協
議会や関係機関とも連携し、町民総ぐるみで交通三悪の追放、交通ルールの遵守等、交通
安全意識の高揚に努めてまいります。
また、地域の美観を保持し、快適な生活環境の維持及び良好な都市景観の形成を図ること
を目的に「佐敷町放置自動車処理要綱」を制定し、警察、関係機関と連携を図りつつ、社
会問題となっております放置自動車対策に取り組んでまいります。
四 笑顔輝く健康・福祉の里づくり
本格的な高齢社会の到来を迎え、健康で生きがいをもって生涯を過ごせる福祉社会を築く
ことは、行政に課せられた大きな使命であります。高齢者や障害者等弱者にやさしいまち
づくりを推進するとともに、町民の多様なニーズに対応したきめ細かで総合的な施策を講
じ、福祉の風土づくりを進めてまいります。
昨年4月から始まりました介護保険制度につきましては、介護サービス基盤の更なる充実
を図るため、介護予防拠点整備事業を活用して老人福祉センターの増改築に取り組んでま
いります。要介護在宅老人に対する支援を強化するとともに、制度の定着に向けた取組を
進め、介護サービスの質の向上に努めてまいります。
老人福祉につきましては、高齢者が生きがいを感じ、健康で楽しく過ごせる環境整備の充
実に努めるとともに、老人保健福祉計画及び介護保険事業計画に基づいた諸事業を推進し
てまいります。各種講座やクラブ活動を支援するとともに、お年寄りができる限り住み慣
れた家庭や地域の中で、笑顔で安心して暮らしていけるよう老人福祉の更なる向上を目指
してまいります。
また、町社会福祉協議会が実施し好評を得ております「高齢者ふれあい健康づくり事業」
や「生きがい活動支援通所事業」にも継続的に支援するほか、新たにふれあいのまちづく
り推進事業や要援護老人等に対する配食サービス事業を実施し、サービス内容の充実強化
を図ってまいります。今後とも、社会福祉協議会と連携を密にして地域福祉の基盤強化に
努めるとともに、福祉バスの有効利用を図り、町民福祉の向上につなげてまいります。
母子・父子福祉につきましても、引き続き母子、父子家庭の医療費助成事業を推進してま
いります。また、乳幼児医療費助成事業を継続し、子育てに対する負担の軽減を引き続き
行ってまいります。
障害者福祉対策につきましては、身体障害者ホームヘルプサービス事業、身体障害者短期
入所事業、身体障害者更生援護施設入所通所措置事業及び重度身障者に対ずる日常生活用
具給付事業を継続するとともに、新たに身体障害者デイサービス事業を実施するなどきめ
細かなサービスの提供に努めてまいります。

地域住民の理解と協力のもと着実な歩みを続けております「共同作業所さしき」に対して
も引き続き支援を行い、事業内容の充実発展に力を注ぐとともに、心身に障害をもつ方々
の自立と社会参加に努めてまいりまず、
少子化の中にあって多様なニーズのある児童福祉につきましては、すこやか保育サービス
事業、ゼロ歳児保育、放課後児童対策事業、特別保育事業を引き続き推進するとともに、
認可外保育所への運営補助を継続して行ってまいります。また、多様な保育サービスに対
する需要、将来の保育需要等、地域の実情をふまえながら私立保育園の法人化について検
討してまいります。
児童福祉の拠点となるひまわり児童館も平成11年度の開館以来、利用者数も堅調に推移し
その役割を果たしています。子どもたちはもとより町民が楽しくふれあえる場としての機
能が十分生かされるような施設運営に努めるとともに、平成13年度は新たに児童館の空き
時間を利用した子育て支援事業を推進してまいります。また、「児童館等整備検討会」に
おいて検討を続けてまいりました佐敷小学校区への児童館の設置につきましては、町の公
共施設配置審議会への諮問を行い、平成15年度着工を目指して諸準備を進めてまいります

「健康」を町政運営の柱に掲げる本町では、各種補助事業を活用して、町民のご理解とご
協力のもとこれまで健康づくり事業に力を入れてまいりました。平成12年度は、「健康文
化と快適なくらしのまち創造プラン」に墓づき、睡眠健康事業、ライフスキル健康事業な
どの諸事業が展開されたほか、食生活改善推進協議会も本格的な活動に入りました。寝た
きりを作らないための「健康と笑いの文化講演会」等も成果を収め、昨年10月には佐敷町
「健康の町宣言」を行いました。引き続き、琉球大学や関係機関の協力を得て疾病の早期
発見、早期治療に努めるとともに、健康椙談相談、健康教育、訪問指導等も強化し、町民
の健康に対する意識の高揚と体力の保持増進を図ってまいります。
世代間の支えあいを基本に老後の安定した生活と家族の安心を守るために大きな役割を担
っている国民年金につきましては、平成13年度も制度の周知徹底を図り、若い人たちの加
入促進及び無年金者の発生防止に努力してまいります。
近年の国保財政は、老人医療費が減少傾向にあるものの依然として厳しい状況にあります
。健全な国保財政の運営のために、広報活動を強化するとともに、介護保険部門や保健、
福祉活動とも連携して日常的な健康管理による予防の徹底に取り組んでまいります。
また、医療費適正化対策事業や生活習慣改善モデル事業、中高年参加型生きがい健康づく
り事業等の保健施設事業にも積極的に取り組み、年々増大する医療費の抑制に努力してま
いります。レセプト点検に力を入れるとともに徴収体制を強化し、保険税収納率の向上を
図ってまいります。
五 平和を発信する地域社会作り
沖縄は、先の大戦において地上戦を身をもって体験した国内唯一の県であり、二十三万人
余の尊い命が犠牲となり貴重な文化財や豊かな緑を失いました。その戦争の傷あとは戦後
半世紀以上を経た今日でも残っております。また、米軍専用基地の75パーセントが集中す
る本県は、基地に起因する事件、事故が後をたたず、基地の重圧が県民の上にのしかかっ
ています。
中でも、去る1月9日、本島北部で起きた在沖米海兵隊員による女子高校生に対するわいせ
つ事件と、14日国頭村で起こった米軍人軍属による傷害、器物損壊事件及び15日、20日北
谷町で発生した海兵隊員の飲食店街連続放火事件は、沖縄県民に大きな衝撃を与え、新た
な怒りを呼び起こしています。加えて、在沖米四軍調整官の発言は県民を愚弄するもので
あり、極めて遺憾であります。広大な米軍基地と多数の兵員が存在することが犯罪発生の
要因となっていることは明白であり、米兵犯罪を根絶し、住民の生命・財産・人権を守る

ため、町議会と連携して抜本的な再発防止と海兵隊を含む兵力の削減、基地の整理縮小を
求めてまいります。
沖縄の基地問題が、県民の暮らしと安全、自然環境や地域の振興発展に大きく影響を及ぼ
す中、私たちは今一度戦争の悲惨さと核兵器の恐ろしさを再認識するとともに、平和な社
会の建設に努力しなければなりません。戦後半世紀以上が経過した今日、子や孫に戦争体
験を語り継ぐことが困難になりつつありますが、沖縄の過去の歴史を正しく伝え、戦争の
愚かさと平和の尊さを再認識し、後世に続く豊かな社会を築くことは、私たちに課せられ
た大きな使命であります。
町としても引き続き学校における平和教育や平和体験学習等の充実に力を注ぐとともに
、「町史戦争編」を活用した語り部活動や戦跡地めぐりなど、地域や暮らしの中から平和
にかかる諸問題をともに考えてまいりたいと存じます。併せて、平和祈念像周辺を平和を
希求する広場として整備、活用するとともに、「非核平和宣言の町」の塔を建立し、核兵
器のない平和な町・佐敷をアピールしてまいります。
おわりに
町民、議会議員の皆様方の多大なるご理解とご協力のおかげをもちまして平成十二年度の
町政運営は円滑かつ適正に行われ、次のような成果が得られましたことに対し心から感謝
申し上げます。
昨年、西暦2000年の記念すべき節目の年に町制施行20周年を迎えた本町では、20周年記念
事業に取り組んでまいりました。6月の記念式典では、町民功労者6名の方々の表彰を行う
とともに、町民一丸となって新たなまちづくりへ踏み出すことを誓い合いました。また
、11月に開かれた「第四回さしきまつり」は、万余の来場者で盛り上がり、特に、町民各
層が関わった手作りの町民ミュージカル「りっか!この風にのって」は観客を魅了し大成功
をおさめました。
待望の佐敷小学校の校舎増改築工事がこのほど終了し、2月13日からは新装なったモダン
な校舎で子どもたちが元気いっぱい勉学に励んでおります。現在、特別教室の改修や周辺
環境の整備が進行中ですが、学校教育環境の整備に尽力された関係機関、関係各位に対し
改めて敬意を表したいと思います。
人と環境にやさしい循環型社会の実現を目指して取り組んでおります環境対策も堅実な進
展をみせております。
ごみの五種類分別、有料化等は町民の間に定着し、搬出されるごみの量は減少傾向にあり
ます。フリーマーケットの開催など、今後とも、町民の理解と協力のもと清潔で快適なま
ちづくりに取り組んでまいります。
斬新なアイディアと町民参加型の企画で評価を得ておりますシュガーホールでは、平成12
年度も多彩な事業を展開しました。国際フォーラム「青少年のための舞台芸術教育と国際
交流」等が成果を収め、また、世界へ羽ばたく若手音楽家の意気込みにあふれた新人演奏
会の高レベルの演奏は、喝采を浴びていました。
健康づくりに力を入れている本町では、2000年10月に「佐敷町・健康の町」を宣言、毎月
第一日曜日を「町民健康の日」と設定しました。今後とも、町民一丸となって”元気・佐敷
・21世紀”の健康標語のもと、健康で生きがいのあるまちづくりに取り組んでまいります。
平成12年度から昼間の窓口業務を開始し住民の利便性の向上に努めてまいりましたが、引
き続き昼窓を実施するとともに、広報活動を強化して利用度のアップを図ってまいります

また、平成12年度は各自治会において行政懇談会を開催し、町民の意向を町政に反映させ
るよう取り組んでまいりましたが、透明性の高いまちづくりを推進するため、今後とも広
報広聴活動の充実に努めてまいります。

併せて、平成13年度は、「地域活性化懇話会」を設置し、シュガーホールを核とした振興
策等、当面する町の主要課題について論議してまいります。
今年11月には第三回世界のウチナーンチュ大会が開かれますが、町としても県と連携をと
りつつ、大会に参加する郷土出身者の歓迎会を実施してまいります。
以上、所信の一端と施策の概要について申し上げました。国内外の政治経済の急激な変化
の中、時代の流れに翻弄されない強固な信念と開拓精神をもって、まちづくりの礎を築き
、21世紀を切り開く町政運営が重要であります。行財政改革を着実に推進し、簡素で効率
的な行政システムの構築を図ってまいります。また、職員の意識改革を進めるとともに、
政策形成能力の向上に向けた特別自主研修の実施等、職員研修の充実、計画的な人材の育
成などに努めてまいります。おごることなくひるむことなく、町民の負託に責任を持って
応えられるよう今後とも誠心誠意努力してまいりますので、議員各位をはじめ町民の皆さ
んのご理解、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。
平成13年3月12日
佐敷町長 津波元德

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大分類 テキスト
資料コード 008454
内容コード G000000761-0009
資料群 旧佐敷町(佐敷村)広報
資料グループ 広報さしき 第285号(2001年4月)
ページ 6-11
年代区分 2000年代
キーワード 広報
場所 佐敷
発行年月日 2001/04/10
公開日 2023/12/15