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佐敷町住民検診を受診された方へ 中高年婦人の健康管理について

杏林大学医学部衛生学公衆衛生学教室
松井知子・角田透

沖縄県は長寿で有名ですが、日本全国の平均寿命も延び、50歳以上の女性の総人口は平成10年では約2500万人で、総人口の約20パーセントを占めるようになりました。
図1は、平成8年患者調査の資料にある高脂血症、骨粗鬆症、関節症、虚血性心疾患、およびストレス関連障害等の年齢別男女別の推計外来患者数です。
女性は、閉経前後からいわゆる更年期障害の他に、高脂血症に代表される代謝異常、骨粗鬆症、関節症などの発症が男性に比べ急激に高まってきています。また、ストレス関連障害等についても、増加していることが示されています。
これらのことから分かるように、個人差はありますが、およそ45歳から55歳という更年期をうまく乗りきることが、その後の生活の質を高めることにつながるのです。
更年期障害というのは、卵巣の機能の加齢に伴う一過程とされています。のぼせ、顔面紅潮、ドキドキ、めまい、耳なり、不眠などの身体的な症状とともに、抑うつや情緒不安定などの精神的な不健康な状態を特徴としています。
これらの症状の原因についてはまだ不明なことばかりですが、婦人科ではホルモン療法などの治療法がなされています。心因性の強いこともあり、そのような場合には心理的な面についての配慮が必要です。

さて、佐敷町の更年期女性の身体的、精神的な特性についてはどうでしょうか。昭和61年から平成6年の9年間にわたり年1回の住民検診を7回以上受診した女性(40歳以上150名)のうち、心の健康および更年期障害に関する問診に回答をいただいた方を対象とした、検討の結果の一部を図2に示しました。更年期障害の程度の重い方や体重が急に増えたという方には、精神的に不健康であることが多いようです。特に50歳未満の場合、それより上の50歳代、60歳代および70歳代に比べて、精神的に不健康のようです。
肥満や体重の増減傾向は生活習慣病の原因のひとつですが、これは更年期女性のこころの状態とも関わりがあることになり、注意しなければなりません。
皆さん一人一人の健康づくりには、自分自身の心身状態を知り、自らが心身両面の健康保持を目指す事が基本となります。身体の面では、疾病の早期発見・予防を目的とした住民検診が実施されています。所見があれば精密検査や医療機関受診となりますし、所見がなければ健康の保持・増進に好ましい保健習慣の指導が予防医学的根拠に基づいて行われています。
一方、メンタルヘルス(こころの健康)での予防医学的な働きかけはなかなか難しいのです。身体的に「異常なし」とされていても、精神的には不健康な状態であることもあります。更年期障害でいわゆる不定愁訴だけしかないような場合がこれにあたります。ちょっとしたことでも相談することが大切です。定期健診や健康相談などを通じて、よく尋ねてみることが大事でしょう。話を聞いてもらうことがクスリになることもあるからです。
もちろん毎年毎年の住民検診も大切ですからきちんと受けてください。

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大分類 テキスト
資料コード 008453
内容コード G000000749-0011
資料群 旧佐敷町(佐敷村)広報
資料グループ 広報さしき 第277号(2000年8月)
ページ 8
年代区分 2000年代
キーワード 広報
場所 佐敷
発行年月日 2000/08/10
公開日 2023/12/14