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保健婦だよりみんなで支えていこう 老いの問題

平成9年に新聞等でも大きく取り上げられたように、老人デイケアによる医療費の急速な上昇とともに、老人デイケア利用者に、比較的元気な高齢者が多いことが問題となりました。それを受け佐敷町でも、平成9・10年度に、老人デイケア利用者、終了者の生活実態調査を実施しました。

〈調査結果から見えてきた実態〉
①老人デイケア利用者は、9年度には103人だったのが、10年度には53人と減った。
②厚生省の基準等をもとに行政の立場で、総合的に判断した結果、老人デイケア対象外が、9年度は51.8%、10年度は39.6%と減ってはいるが、まだ、制度の適切な利用が行われていないことがわかった。
③利用者の多くは、リハビリ目的に参加していて「膝や腰の痛みが良くなった」「待ち遠しい」と答えている。
④デイケアヘの認識では「お年寄りなら誰でも通える」と答えた人が、まだ32.9%(10年度)もいる。
⑤老人クラブ活動、公民館活動等へ参加していない人が、60.4%と多く、参加していない理由として「体が不自由で公民館まで歩いて行けない」「他の人へ迷惑をかけてしまう」となっている。
⑥老人デイケア終了者42人のうち8割が、障害などはあっても、日常生活はほぼ自立して独りで外出ができている。

〈町が取り組んできたこと〉
①老人デイケア利用者、終了者の生活実態調査を実施し、関係各課を交えて報告・検討会をもった。
②制度の適正利用について、健康教育、訪問指導、広報活動の実施。
③老人デイケアを実施している医療機関へ、調査結果を報告しながら、制度の適正な運営について協力を求めた。
④デイサービス事業の見直しについての検討や、老人同志のふれあい交流事業の拡大、など。

〈皆で支えていこう老いの問題〉わが国の高齢化は、平均寿命の伸びに少子化が拍車をかけ、超高齢化などと呼ばれ、過去に先例のない速さで進んでいます。高齢者の割合は、今後も上昇し続け、半世紀後の2050年には、約3人に1人が、65歳以上と予測されています。
4月からは、介護保険がスタートします。老人デイケアも、介護保険サービスのひとつとなっています。
今回の調査においても「もっとサービスを受けられるようにして欲しい」「デイケアはやめさせられたが、公民館まで歩いて行けないので参加できない」「時々、火をつけっぱなしにするので、日中母を1人にしておくのは不安」「今後も、ずっと家で生活をしたいが、寝たきりやボケになったら家族に迷惑をかけるので不安」など、高齢者や家族にとっては、いろんな思いや不安があります。
介護の社会化をと言って創設されるこの介護保険制度。保険料と一割自己負担料を払って、必要なサービスを受けられることになります。お金さえ払えばたくさんのサービスが受けられるといって、過剰なサービスを受けると本人の自立に向けた適正なサービスとは言えません。そうなると、介護保険制度も老人デイケア問題と同じように、保険料が高騰し、制度自体が運営できなくなります。
介護保険制度だけでは、介護の問題は十分にカバーしきれません。行政だけでなく、地域そして家庭で協力していかなければ、豊かな21世紀を迎えることはできないと思います。
寝たきりや痴呆にならないよう、またそうなっても、なるべくその期間が短くて済むよう、普段から健康づくりに励んでいきたいものです。

ダウンロード https://docs.google.com/uc?export=download&id=1dCHot7DN5VXixrGlWowqJzomd2lCFu16
大分類 テキスト
資料コード 008452
内容コード G000000740-0012
資料群 旧佐敷町(佐敷村)広報
資料グループ 広報さしき 第272号(2000年3月)
ページ 7
年代区分 2000年代
キーワード 広報
場所 佐敷
発行年月日 2000/03/10
公開日 2023/12/14