なんじょうデジタルアーカイブ Nanjo Digital Archives

新成人に贈るメッセージ

伊達公子さん(元プロテニスプレーヤー)

一年後、どんな自分でありたいか。自分なりの目標を見つけてほしい。

高校を卒業と同時にプロの世界に入りましたが、プロになったのは、もっとテニスがしたい強くなりたいという気持ちからでした。
高校三年ごろから二十歳にかけて、やっと「自分のテニス」に対する意識が出てきて、ただテニスが強くなりたいと、がむしゃらに突っ走っていましたね。
そんなわたしが具体的な目標をもつようになったのは、プロ転向後のケガがきっかけでした。
テニスができなくて落ち込みましたが、身体を補強できるいい機会なんだと、気持ちを切り替えました。そして、身近なところから目標を定めてやっていこうと思うようになったのです。

成功も失敗も糧にして
最初の目標は、世界ランキングの百位に入ることでした。手が届きそうで届かないくらいの目標を定めて、それがクリアできたら、また新たに次の目標…と。そんなふうにいつも身近な目標をもっていましたね。
そのころ、日本人で一位の選手が世界ランキングで二十五、六位だったんですけど、それよりもっと上にいきたいというのがわたしの夢でした。夢はなかなか叶えられないものですが、夢に近づくための身近な目標なら叶えることができるんです。
テニスは個人競技ですから、自己管理を自分でやらなければいけません。練習をさぼろうと思えば、いつでもできたけれど、負ければやはり悔しいですから、何がいけなかったのかを考えるんです。悔しい思いが次の意欲になって、目標をクリアできたのだと思います。成功も失敗も次の目標の糧にする、それがとても大事だということを、現役時代に学びました。

身近な目標への努力が次の意欲になる
いま、わたしは「カモン!キッズテニス」というテニス教室を開催し、子どもたちにテニスの楽しさを伝えるため、全国を回っています。ただテニスの技術を教えるのでなく、スポーツをしてると、素晴らしいことに出会えるのだということを子どもたちに伝えたい。子どもたちの可能性を引き出すきっかけづくりができればと願うからです。
引退して一二年余りがたち、以前からやりたかったお茶の稽古もできるようになり、これまでと違う新たな目標づくりをと思っています。皆さんもぜひ何か目標を見つけてください。
まず、一年後、二年後にこうなりたいという、自分の姿を描いてみてください。小さな目標でも、それに向かって努力すれば、必ずパワーになると思います。そしてその力は、次なる意欲へときっとつながっていくと思うのです。(談)

●だて・きみこ●1970年生まれ。89年、プロテニスプレーヤーとしてデビューし、94年WTAランキング自己最高4位、
95年フレンチオープンベスト4、96年ウインブルドンベスト4など、世界のトッププレーヤーとして活躍。96年に引退。
現在は子どもたちにテニスを教える「カモン!キッズテニス」の主宰や執筆活動などで幅広く活躍。

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大分類 テキスト
資料コード 008452
内容コード G000000739-0014
資料群 旧佐敷町(佐敷村)広報
資料グループ 広報さしき 第271号(2000年2月)
ページ 9
年代区分 2000年代
キーワード 広報
場所 佐敷
発行年月日 2000/02/10
公開日 2023/12/14