なんじょうデジタルアーカイブ Nanjo Digital Archives

保健婦だより結核クン、復活!

かつて明治から大正、昭和にかけ、結核クンこと僕は、日本で大流行をおこしました。その頃『国民病』と恐れられ、死亡率もトップ。著名な石川啄木や宮沢賢治だってやっつけたから、常に注目の的でした。
しかし、人間も国を挙げて僕をやっつける為の対策をとったし、生活環境も良くなって、みるみるうちに仲間が減りました。20世紀中には、僕は姿を消すはずでしたが一昨年38年振りに前年の結核患者数を増やしました。
さて、なぜ僕は目を覚ましたのでしょうか。

〈結核はどんな病気〉
結核感染のほとんどは、結核菌を持っている人の咳やくしゃみから飛び散る、しぶきを吸い込むことで起こります(飛沫感染)。同じ家族の中で続けて患者が出たり、学校や職場での集団発生が見られたりするのはこのためです。特に今回の復活はこのような集団発生が目立ちました。
しかしご心配なく。結核患者が全て感染源となるわけではなく、菌を吸い込んだ方も全て感染するわけではないのです。また、感染したからといって、多くの場合は発病しない、いたっておとなしい僕です。

〈発病するとどうなるの〉
結核の初期症状は、かぜとよく似ているため、かなり進行しないと僕の仕業とは気付かれません。
かぜのような症状が二週間も続いている方は要注意です。
結核が進行すると肺だけでなく、血液の流れに入って、全身のほとんどの臓器を侵していきます。手遅れで死亡することもあります。

〈何に気をつければいいの〉
予防の為には、何より早期発見早期治療が大切。抵抗力の弱い乳幼児や小児、若年者では、僕に感染しないこと。乳幼児は早めにBCG接種を受けましよう。
中高年~高齢者の方は、若い頃既に感染していて、抵抗力の弱った頃に発病する人が多いので、発病しても早めに見つかるように定期検診を受け、咳や疫が続いたら早めの受診を心がけてください。
もちろん、日頃から体を鍛え、免疫力をつけ、健康を心がけることが大切です。万が一感染や発病の機会があったとしても、今では発病予防の薬もあり、また治療も短期間で僕をノックアウトできるらしいのです。

〈結核クンに関心を〉
長い間忘れられていたこの僕に、患者も医者もまさか僕だとは気付きません。結核は、決して過去の病気ではなく、油断は僕にとってチャンス到来なのです。

ダウンロード https://docs.google.com/uc?export=download&id=15XdHu-4PsJgMITZl6l97ShQuIMTDisl-
大分類 テキスト
資料コード 008452
内容コード G000000736-0008
資料群 旧佐敷町(佐敷村)広報
資料グループ 広報さしき 第268号(1999年11月)
ページ 5
年代区分 1990年代
キーワード 広報
場所 佐敷
発行年月日 1999/11/10
公開日 2023/12/14