なんじょうデジタルアーカイブ Nanjo Digital Archives

俳壇さしき

文化協会俳句教室1月例会より 瀬底月城選

減反続く甘蔗作の冬帽子 与那嶺末子
(評)その昔「三ちゃん農」という言葉があった。今若者は工商化の町へ行き、冬帽子の翁さんが農地を守る。来年は百坪減らそうか。農を継ぐ著者が欲しい。愛農の佳句。

元朝のマラソン引き立つ朱の器  山城百合子
(評)「先ず健康」佐敷町でも、元朝マラソンがある。毎年見かける力強い姿が、店の朱塗りの器(ウツワ)に写り、走者を引き立てている。動と静のかかわりを句にしてある。

三日はや耳をつんざくファントム機城 間睦人
(評)米軍には正月休みも無いらしく、3ケ日にも、戦闘準備か。
せめてお正月位は静かに過ごしたい。敗戦後50余年、沖縄の戦後は続く。天にいます神よ、上空からあの爆音を無くし給え。アーメン。

初夢の語り艶めく猪口の口 真栄城佐月
(評)「佳い夢だった」と差し向う2人。初夢は、いつも若やぎ、希望のある明るいものでほしいもの。卯年の年酒を猪口で乾杯。「若ク、ナイビタン」

時雨るるや退学届の文字にじむ 垣花和
(評)余程の事情とそれに耐えるために、やむなく出された退学届。教師はこれを讀んで、やるせない気持になる。何とか退学を止められないかと苦悩する。外では時粛の音がする。
教師の涙が「文字ににじむ」と共に愛惜の情けとなってほと走り、写生と叱象の秀句となった。

※選者吟
初明りハングライダー邑またぎ

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大分類 テキスト
資料コード 008451
内容コード G000000723-0011
資料群 旧佐敷町(佐敷村)広報
資料グループ 広報さしき 第259号(1999年2月)
ページ 10
年代区分 1990年代
キーワード 広報
場所 佐敷
発行年月日 1999/02/10
公開日 2023/12/14