なんじょうデジタルアーカイブ Nanjo Digital Archives

婦人の主張最優秀賞

「環境」を支える婦人活動 古謝久子
私と婦人会の出会いは、今から4年前のことです。ご近所の婦人会役員が訪ねて来てくださり、「一緒に活動し、勉強しませんか?」と私を婦人会に誘って下さいました。私は迷わず加入しました。地域をもっと知りたい、という気持ちが起こり始めていた矢先でした。
また、当時二男の通う幼椎園の世話役を務めていて、役員同士の集まりや意見交換の場が楽しく思い始めた時だったので、ちょうどいい機会だったのです。
翌年の4月には、字津波古8班の婦人会の評議員として務めさせてもらい、昨年の4月から始まったゴミ5種分別のためのクリーン指導員に指名され現在に至っています。この4年間は、生活に根差した婦人会の地道かつ緻密な活動が社会生活にどんなに必要か考えさせられ意義ある日々でした。
私が現在務めているクリーン指導員は、地区内に現在40人います。ゴミの分別や環境整備のボランティアとして佐敷町役場、健康課の指導の下、勉強会や研修会を受け、地域や班単位でそれぞれのボランティア活動を行っています。ゴミの分別方法を学んでいく中で、私の疑問や関心が自分の生活の身近なところで日々広がっていきました。例えば、最近よく耳にする環境ホルモンとは何なのか。知識のない私は、自分なりに環境問題を取り扱った本や新聞などで調べてみました。
環境ホルモンは、体内に入るとホルモンに似た働きをし、生殖機能などに悪影響をもたらす疑いのある化学物質の総称です。ダイオキシンを除けば人体への影響がはっきりしていません。カップ麺や給食の容器から環境ホルモンが溶け出すという報道がされ、これに対して業者からは、「環境ホルモンが出ている事実はない。」と抗議が出るなど、環境ホルモンについての実態は未だつかめていないことが分かりました。
一方、人体への悪影響がはっきりしているダイオキシンは、800度以下の低温度で焼却することによって発生すると多くの学者が指摘しています。「ダイオキシン」と言われて私が思い出すのは、ベトナム戦争でアメリ力軍が森林をなくすために撒いた枯れ葉剤です。
森林の中に潜む攻撃相手を見つけやすくするためにという目的でした。枯れ葉剤に含まれたダイオキシンは、河川、海水、大気などの環境から生物の体内に入り、ベトちゃん、ドクちゃんの様に多くの不幸と悲劇を生み出し、環境学者らに「人類の作りだした史上最悪の物質」と言わしめたものです。
婦人会との関わりを通して、私達にできる環境ホルモンの対策は何だろうか、と色々考えることもできました。むやみに家庭から出るゴミを燃やさないようにする、ゴミはきちんと分別して排出することが大切なのです。
分別の話が出る度に、「何でこんなに面倒くさいことをするのだ」「燃やすものと燃やさないものとを分けるだけで十分じゃないか」
という意見がよく出るのも事実です。しかし、ゴミの細かな分別は、リサイクルしやすくするだけでなく、自然環境を含めた地球の環境を守るためでもあるのです。私達が少々の手間をかければ出来ることなのです。
また、日常生活の基本である食生活の乱れからインスタント物が大量に消費され、ペットボトルやビンや缶など、行政だけに任せられない現実があります。このため、これまでの古紙回収に加え、婦人会では昨年からペットボトルやビン、缶の回収も始めています。各家庭でゴミを分別することは、自分達の生活を見直すいい機会になるのではないかと思います。
私達は今、日常生活の基本を思い出してもいい頃ではないでしょうか。インスタント食品は、塩分糖分を極端に多く含み、取りすぎるとイライラの原因になると指摘する栄養士もいます。
最近の子供達はすぐ「ムカつく」という言葉を使います。そして「キレ」、バタフライナイフを使った悲惨な事件も起こり、私達の心の中に消えずに残っています。キレる子供達をこれ以上つくらないためにも添加物のない自然な食生活の大切さを知り、原点を見直すときではないか、ということを改めて思います。
一方的に入ってくる情報だけで満足するのではなく、自分達から発する情報も地域を良くする上でとても必要なことだと思います。例えば、生活が楽しくなるこんな話題に接しました。佐敷婦人会の役場の中で、ゴミを減らす努力をしゴミを分別している間に自分の生活の無駄がなくなっていった、と話しておられる方がいました。無駄使いで腐らせてばかりいた食品がなくなり、必要な物を考え買う習慣がつき、身の周りの無駄なものが多いことに気付きそれをリサイクルに回したら家の中が綺麗になっていたのだそうです。これもゴミ分別の大きな、そして豊かな副産物ではないでしょうか。こんな身近から生れてきた話、つまり情報がゴミ分別やリサイクル活動を取り組みやすく、楽しくする要素にもなると思います。
佐敷町より2年早く5種分別と門口収集を実施した町に見学をする機会がありました。その町は短期間で約30%近くゴミの減量をすることができたそうです。しかし担当者の話によると「9か月たった頃から又ゴミが増え始めた。
門口収集になってゴミが出しやすくなり、出そうと思えばいくらでも出せる状態にあるからでしょう。特に、草や木の葉、資源ゴミである紙や箱などの燃えるゴミがまた増えてきた。」ということなのです。私は、やせたいがための無理なダイエットによるリバウンド現象に似ているのではないかと思いました。ストレスを伴うダイエットが陥りやすい現象です。ゴミ収集に関しても身近な役に立つ個人情報や楽しくする要素が必要になってくるのもこの時期だと思うのです。
佐敷町は、ゴミの袋を有料にしたことが功を奏したこともあって、ゴミの5種分別に踏み切って1年で可燃ゴミを約40%減らし、不燃ゴミにおいては、約87%の減量化に成功しています。あとは、可燃ゴミの約20%から30%を占めるといわれる生ゴミの肥料化が課題です。
ストレスを伴うダイエットではいけません。
5種分別が始まって私がまず実行したことは、残飯をなるべく出さないようにすることと生ゴミを水切りしたあとベランダで天日乾燥させることでした。すると燃えるゴミが今までの3分の1までに減って自分でもビックリしたことを思い出します。ゴミは減ったものの天日乾燥は、雨が降りそうだと取り込まなくてはならなく天気とにらめっこのストレスのある作業でした。生ゴミの肥料化は個人レベルではなく行政に早い取り組みを希望します。減らすことは簡単ですが、続けることはたいへんなことです。
不燃ゴミを87%滅量しリサイクルが順調に行われたのは、佐敷町のボランティアや回収団体の協力や努力があったからだと思います。
婦人会の役員や先輩の方々の中には、ボランティアに力を入れ、リサイクルや地域美化のため毎日汗を流している方もいます。私には真似もできず見習うことが多く、婦人会は井戸端会議のようなものと思っていた4年前を思うと本当に恥ずかしい気がします。
家庭生活という私の足元と広く「環境」をしっかり見つめていきながら、私なりの歩みで地に足が着いたボランティアに取り組んでいければと思います。考えていかなければならないことが山積みの私達の生活に、まずできることから始めてみませんか。

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大分類 テキスト
資料コード 008451
内容コード G000000718-0008
資料群 旧佐敷町(佐敷村)広報
資料グループ 広報さしき 第254号(1998年9月)
ページ 6
年代区分 1990年代
キーワード 広報
場所 佐敷
発行年月日 1998/09/10
公開日 2023/12/13