なんじょうデジタルアーカイブ Nanjo Digital Archives

俳壇さしき

文化協会俳句教室七月例会より。瀬底月城選

神の庭鳳凰木の花莚 崎間恒夫
(評)陰暦五月の稲の初穂祭(ウマチー)の儀式を行う神屋(力ミヤー)の庭に鳳凰木の花が散り敷き、儀式が華やぐ。古儀式と近代花木との佳きコントラストでした。

驟用来るおもろの碑文解く最中 新垣春子
(評)石碑に彫られた琉球古謡「おもろ」と、この地との関わりを、深く解いている最中(サナ力)にタ立が来て、解けかけた事がふと中断、またやりなおしにかかる。驟雨はタ立のことで、沖縄季語で「夏ぐれ」ともいう。

空蝉の土つけしまま乾ぎをり 垣花和
(評)蝉は6、7年地中で生活、繁殖のための地上生活は7日位だという。空蝉(ウツセミ)が土生活の名残りの土をつけたまま木の葉に止まっている。樹上では蝉の声がサン、サンと鳴く。蝉の一生を想起させる佳句。

摩文仁野を白髪行き交ふ沖縄忌前城守人
(評)今年も沖縄戦で亡くなった人々を弔う沖縄忌(慰霊の日)が来た。50年前の若い「艦砲の喰えーぬくさー」の男女も白髪になった。各地の塔、平和の礎へと合掌。
不戦を祈る。

夏ぐれや鉢の草木の深呼吸 与那嶺末子
(評)炎天続きで草木も弱りきっている時、夏ぐれが、ザーザー降って生き返ったようだ。夏ぐれはタ立の事で夏雨とも書き、沖縄の季語。草木の深呼吸とは面白い表現法。

《選者吟》
酒友呼べ月下美人の咲きはじむ

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大分類 テキスト
資料コード 008451
内容コード G000000717-0013
資料群 旧佐敷町(佐敷村)広報
資料グループ 広報さしき 第253号(1998年8月)
ページ 10
年代区分 1990年代
キーワード 広報
場所 佐敷
発行年月日 1998/08/10
公開日 2023/12/13