なんじょうデジタルアーカイブ Nanjo Digital Archives

俳檀さしき

文化協会俳句教室4月例会より。山城青尚選

定年のなきボランティア春の風 真栄城佐月
(評)いま自ら進んで、社会事業などのボランテイアに参加している。年は老いても忙しい日々を送っている。まるで定年のない人生だ。仕事を済ませたあと、心地よい春風が頬を撫でてくれる。社会に恩返し出来るという生き甲斐を感じた喜びに満ち溢れた佳句。

木漏日の黄金髭さす麦穂祭 崎間恒夫
(評)旧暦の2月御祭で、御嶽や産井戸等を拝んでいる。うっそうと繁った樹木の間から洩れてくる日光がまぶしい。まるで「黄金の髭」のようだ。霊験あらたかな拝所の様子がよく表現されている。

雪加鳴く鎖を断てぬ軍事基地 幸喜正吉
(評)島ひばりがチンチンと鳴きながら階段状に上昇する様は、島に平和が戻ってきたような錯覚をおこしてしまう。しかし島民は今だに鉄の鎖でつながれている。こんな腐れ縁は、早く断ちたいものだ、という願いがこめられている。

若芝に「養生中」の立札が 与那嶺末子
(評)植えて間もない芝生に、やっと若芽が出始めるようになった。その庭には「養生中」と書かれた立札がさされてあった。赤ん坊を育てるように、若芝に愛護の目を向けた粋な表現に、心がなごんできたのだ。

うりずん南風はづむ翼の風力機 渡真利春佳
(評)発電用か灌水用の風力機であろう。翼がはずんで回転している。天地潤い、物みな芽ぐみ、生命の溌刺として勢い出す頃のうりずん南風によってである。島や大地に恵みをあたえてくれるこの風力の何とぜいたくなものであろう。季語をうまく利用した佳句である。

※選者吟
腕組みの漁師や二月風廻り

ダウンロード https://docs.google.com/uc?export=download&id=1kupYhgV2eeqXRjcBs5xzBl-KYsqxWepY
大分類 テキスト
資料コード 008451
内容コード G000000714-0017
資料群 旧佐敷町(佐敷村)広報
資料グループ 広報さしき 第250号(1998年5月)
ページ 11
年代区分 1990年代
キーワード 広報
場所 佐敷
発行年月日 1998/05/10
公開日 2023/12/13