はじめに
本日ここに、第135回佐敷町議会定例会が開会されるにあたり、ご挨拶を申し上げます。
私は、町民はじめ議会議員各位の温かいご支援のもと昨年9月に第6代佐敷町長に就任いたしました。本3月議会は、私の2期目の最初の予算議会でありますので、今後4年間の町政運営への決意と町政の重要課題について基本的考え方を申し述べ、また、平成10年度の主要事業等についてご説明し、町民の皆様をはじめ議員各位のご理解とご協力を賜りたいと存じます。
昨年の夏以降、アジア各国においては通貨、金融面の混乱、国内においては金融機関の破綻などが相次ぎ、金融システムの安定と景気回復が国政の緊急の課題となっています。国民の信頼の上に立った透明かつ公正な行政が必要とされる中、官僚の不祥事が発生した事態はまことに遺憾なことであり、その背景にメスを入れ、構造的欠陥の是正と倫理の再認識、綱紀の粛正を求めるものであります。町としてもこれを他山の石として、気を引き締め信頼の絆を結んでまいります。
ナイフによる連続殺傷事件、薬物の乱用、いじめや登校拒否など、近年、青少年をめぐる問題は深刻の度合いを深めておりますが、この問題は国民共通の課題して認識し、本町においても家庭、学校、地域を含め幅広い角度から真剣に論議し対策を講じる必要があると考えます。
21世紀・沖縄のグランドデザインである国際都市形成構想は、沖縄県の自立的発展を図るとともに、アジア太平洋地域の平和と持続的発展に寄与する特色ある地域の形成を目指すものであります。町においても、同構想の展開を見据えつつ、ヘルシーリゾート構想の推進等、地域の産業振興、自立的発展に努力してまいります。
県内景気を見ると、観光関連は堅調に推移しているものの、消費関連、建設関連で概ね減少基調にあり、景気の停滞感が懸念されています。このような中、行財政環境は一段と厳しさを増している状況にあり、町としても財政運営の一層の健全化、効率化を図りつつ、新たな政策課題と行政需要に対応し、行政改革の推進に力を入れてまいります。私たちは今、時代の大きなうねりの中で、大変厳しい社会経済環境に直面しております。この状況を切り拓き、多岐にわたる課題への適切な対応を図っていくためには、既存のシステムを検証しつつ、その蓄積の上に必要な改革と創意を重ねていくことが求められています。
そうした意味で、平成10年度は「改革と創造」をテーマに行政各般の着実な実行を図り、21世紀の佐敷新時代に向け確かな一歩を踏み出していきたいと考えております。
基本施策
今日の少子・高齢化、高度情報化あるいは国際化の進展など、社会情勢が変化する中で、21世紀を目前に国の政治経済は大きな変革期にさしかかかっております。
地方においても、このような時代の変化を見通し、住民ニーズに対処しながら個性豊かで活力に満ちた地域社会を造ることが最大の課題であると考えております。
私は、昨年9月、町民の皆さまの温かいご支持、ご支援をいただき2期目の町長に当選することができました。この栄誉は、町民はじめ関係各位の町政に対するご理解とご協力のたまものであり、心から御礼申し上げます。職責の重大さを改めて認識するとともに、初心を忘れることなく職務に精励する決意であります。
私は、町民と共に歩む行政運営を常に念頭におき、これまで町勢の進展に努力してまいりました。しかしながら、行政改革の推進、マリンタウンプロジェクト、ヘルシーリゾート構想の推進など、21世紀を展望する佐敷のまちづくりにとって依然として多くの課題を抱えていることもまた事実であります。私は、これらの課題に真剣に取り組み、住民福祉の向上、地域の振興発展に努めてまいります。
私は、「町民参加」「公正・公平・清潔」「平和」「思いやり」をモットーに、地方分権の動向を正しく見据え、町民の英知と職員の創意工夫を結集して行政改革を推進し、効率的でかつ創造性と個性豊かな行政の確立に努めてまいります。常に町民の心を心として、未来を切り拓く佐敷町を展望していきたいと考えております。
そこで、町政の運営にあたっては、平和憲法の理念を尊重しつつ地方自治の本旨に基づき、次の3点を基本姿勢に全力をあげて頑張る決意であります。
1.自然を大切にし、教育、文化の向上を図り、人間的なふれあいと潤いのあるまちづくりを目指します。
1.産業を振興し、住みよい生活環境の整備を図り、町民に夢と希望を与える明るいまちづくりを目指します。
1.福祉と健康を大事にし、思いやりとやすらぎのある平和なまちづくりを目指します。
以上の3点を町政運営の基本とし、町民に開かれた公正・公平な町民参加の行政を行い、誠意と信頼で結ばれる明るく住みよい佐敷町をつくるために、皆さまとともに努力してまいりたいと存じます。未来に躍進するわがまち佐敷のあるべき姿を展望し、国、県の協力を得てマリンタウンプロジェクト、ヘルシーリゾート構想、南部東道路の建設、公共下水道事業など町発展の要となる主要事業を強力に推進してまいります。
本町の行財政運営の基本施策は、「明日をひらく産業振興のために」「夢を育み創造性あふれるまちづくり」「快適で潤いのある住環境をめざして」「やさしさと豊かさの実感できる地域づくり」「命どう宝、平和行政への道しるべ」であります。新年度もこの基本施策を踏まえつつ、自らの地域に誇りと愛着が持てるまちづくりにさらに努力を重ねてまいる所存であります。
1.明日をひらく産業振興のために
より豊かな町民生活を実現するため、展望の持てる経済基盤の確立と社会資本の充実を図ることは、まちづくりの根幹を支える重要課題であり、関係機関及び関係者と緊密な連携のもと産業の振興と社会資本の整備に取り組んでまいります。
町の基幹産業である農業の振興については、後継者及び新規農業者の育成を進めながら、生産基盤の整備及び近代化施設等の導入により、生産性の向上、農業経営の質的転換に努めます。
さとうきび作一辺倒体質からの脱却と農家所得の増益のため、新奨励品種作目の導入は不可欠です。すでに導入した優良果樹等のさらなる栽培拡大と栽培技術の充実を進めるとともに、地域特性を生かした新たな奨励作目の導入を検討してまいります。あわせて、遊休農地の有効活用のため、農地流動化推進委員や関係機関との連携を強化してまいります。本町の土地改良事業は、地域農家のご理解により整備可能地区の大部分が整備完了しました。今後は、整備地区ほ場の効率的な活用と農業運営の活性化を図ってまいります。
降雨時の排水路の氾濫による農地の崩壊や作目被害を防止するため、団体営農地保全整備事業により伊原地区、新里地区の農道、排水路工事を実施するとともに、新たに屋比久地区の調査、計画を進めてまいります。
昨年は豪雨による被害が幾度となく発生し、町民には大変なご心配をおかけいたました。これを教訓に災害対策を最重要施策として取り組んでまいります。新年度は、手登根、つきしろ地区においてため池等整備事業を実施し、土砂崩壊防止や耕土の流出、作物被害防止のための抜本的対策を図ってまいります。
栽培農家の高齢化が進むさとうきびは、機械化による収穫作業の省力化が急務であり、導入されたハーベスター等の利活用を積極的に推進してまいります。また、さとうきび優良種苗安定確保事業により新品種の導入を推進するなど、基幹作目として生産拡大を図ってまいります。
また、効率的な農業経営を側面から支え、かつ生産性の高い農業への質的転換を図り共販体制を確立するため、沖縄農業基盤確立構造改善事業で野菜温室を設置いたします。
畜産物の輸入自由化や悪臭による環境問題等で厳しい状況下に置かれている畜産業は、その対応が求められており、畜産共進会の開催による飼育技術の向上にあわせて、微生物による悪臭の防止など、環境浄化にも取り組んでまいります。
水産業の振興については、水産業活性化構造改善事業により字仲伊保に漁具倉庫を設置し、漁業の近代化を図ります。また、漁業組合と連携して引き続き浮漁礁を設置するとともに、漁労作業省力機器導入による就業者の安全確保等に努めてまいります。
商工業の振興は地域経済の活性化はもとより、豊かで活力ある地域社会の創出につながります。商工会と連携して足腰の強い経営基盤を築くとともに、経営の近代化、特産品等の開発に努めてまいります。また、課題の商工会館の実現に向けて努力してまいります。
安全で快適な道路網の整備は、重要事業として継続的に推進していく必要があります。佐敷手登根線、馬天兼久島之前線、屋比久仲伊保遅又線、仲伊保海岸線、伊原屋比久線、新里運座線などの整備を行ってまいります。
南部東道路整備事業につきましては、県都那覇市への利便性の向上及びそれによりもたらされる本町の活性化等へ期待が寄せられています。本道路は、先般国から調査区間に指定され実現に向け一歩前進を見たところであり、今後とも関係機関との連携を密にし、地域住民の要望に沿った形での事業実現に努めてまいります。
上水道につきましては、水道整備計画に基づいて津波古、佐敷地区等の配水管敷設工事、また字佐敷から東側地域への安定供給のため第二配水池の設置等を実施し、水道機能の充実を図ってまいります。
快適な都市機能を創出し公衆衛生の向上を図るため、公共下水道事業の円滑な推進に努めてまいります。新年度は新開幹線とその支線の工事を実施し、事業完成に向け着実に歩みを進めてまいります。
特色あるまちづくりが求められる中、健康を中心としたリゾート地建設は全国的に注目を集めております。町のみならず南部地域活性化の中核を担うヘルシーリゾート構想は、その事業化に向け実施計画策定のための諸調査を進めてまいります。
また、多くの町民の期待と夢を乗せた中城湾港マリンタウンプロジェクトは、本町の未来を拓く重要事業であります。その佐敷東地区の実現に向け地方港湾審議会の審議を経るなど、着実に手続きを進めております。今後も国、県及び関係諸機関との密接な協力関係を保持しながら、埋立免許取得に向けた作業に取り組んでまいります。
2.夢を育み創造性あふれるまちづくり
これまで、本町からは教育界をはじめとし、多くの有能な人材を輩出してまいりました。これは、本町の掲げる「まちづくりは人づくりから」の基本理念のもと、教育・文化の振興に取り組んできた成果だと考えております。
私たち後進は、諸先輩方の築いてこられた功績を誇りとし、その伝統を継承し発展させる役目を担っておリます。有為な人材を活用して世代を越えた交流を促進し、地域に根ざした教育・文化の振興ができるよう、町出身者の人材マップ等の作成を検討してまいります。
学校教育、生涯学習の重要性を認識し、その充実・発展に努めることは当然の責務であると受け止めております。しかしながら、昨今の青少年の凶悪な事件等に触れた時、「心の教育」の大切さを痛感しているところです。
今後は、親と子、教師と生徒、生徒同士の信頼関係を密にした教育を軸に、時代の変化に的確に対応しうる個性豊かな人材の育成に努めてまいります。
義務教育は、将来において必要とする知識や教養を身につける人間形成の第一歩ととらえ、個性の伸長を念頭に「学びたい」「学びやすい」教育環境の整備の充実に努めてまいりました。佐敷中学校では部室を設置し生徒の体力向上と部活動の活性化に努め、また、佐敷小学校では町独自で音楽専科を配置し、児童の情操教育に成果をあげました。平成9年度は佐敷小学校、馬天小学校のコンピュータ教室を整備して機器の設置を行いましたが、引き続き新年度は、佐敷中学校に41台のコンピュータを設置し、情報化時代に対応した教育内容の充実を図ってまいります。
また、佐敷中学校創立50周年記念事業に際しては、多くの同窓生や町民、有志の方々からご芳志を頂戴いたしました。心から感謝申し上げるとともに、浄財を有効に活用し、子どもたちに夢と希望を与え潤いある環境づくりを推進してまいります。
さらに、地域社会への適応能力を高めるために多様な学習機会の創出と豊かな心の形成に力を注いでまいります。
学力向上につきましては、これまで取り組んできた成果を踏まえつつ、児童・生徒のやる気を引き出し、「自ら学ぶ姿勢の確立」を重点に、「自主性」「創造性」の発揮できる土台づくりを積極的に推進し、今後も学校、家庭、地域が3位1体となった取り組みの強化を支援してまいります。
青少年健全育成の推進につきましては、関係諸団体との連携を密にし、夜間補導の継続等、青少年を非行から守っていく環境づくりに取り組み、町ぐるみの運動を展開してまいります。また、本町においては、青少年にスポーツや芸術を指導している方が多くいらっしゃいます。そのご努力に対し敬意を表するとともに、行政としても可能なかぎり支援を行い、子どもたちに発表の場を提供してまいります。
社会教育は、生涯における学習活動をはじめ、生きがいに満ちた生活を醸成するものであり、誰もが気軽に、また積極的に参加できる体制づくりが望まれます。現在、社会教育の一環として行われている各種学級や講座の内容の充実と広報の強化に努め、町民が余暇を活用し、趣味を生かせる環境づくりに取り組んでまいります。
また、文化センターのコミュニティ供用施設においては、各種学級から発展したサークル活動が数多く行われ、活況を呈しております。今後とも施設内容及び利活用をより充実させるとともに、支援を続けてまいります。
本町のめざす「音楽によるまちづくり」は着実に歩み続けております。佐敷町文化センター・シュガーホールは、開館以来利用状況も堅調に推移し、国内外の著名な音楽家からも好評を得ております。一流演奏家との心の交流は町民にとって大きな刺激となっているものと思います。また、シュガーホールで学んだ子どもたちがより大きな舞台で活躍を見せるなど、情操教育の面でも堅実な成果をあげております。今後とも、施設の有効活用を図りつつ積極的に自主事業を展開してまいります。
昨年は「ミュージカル'97」も多くの方々のお力添えのもと成功をおさめ、内外から高い評価を受けることができました。新年度も引き続き「シュガーホール新人演奏会」を開催し、文化創造の担い手となる人材育成に努めるとともに、町民参加の舞台作りやアジアとの芸術文化交流事業等、シュガーホールならではの特色ある企画・運営に取り組んでまいります。
地域文化の継承・発展につきましては「佐敷・ルネッサンス構想」の実現に向けた取り組みを継続してまいります。新年度は、佐敷グスクをはじめとする町内の文化財遺跡詳細分布調査を実施し、資料の作成に取り組んでまいります。
佐敷町史編集事業につきましては、多くの方々のご支援をいただき聞き取り調査や資料収集もスムーズに進み、新年度は「戦争編」発刊の運びとなりました。引き続き、町民のご理解とご協力のもと町史編集事業に取り組んでまいります。
また、町の文化振興に大きな役割を果たしている佐敷町文化協会に対しましても、これまで同様支援を行ってまいります。新年度は、文化協会とも連携をとり、地域文化への認識と関心を高めるため、「さしき文化まつり」を開催いたします。文化まつリは今後2年ごとに開催しますが、今回は各集落において昔から継承されている民俗芸能の発掘、公開、地域閤交流を中心に実施してまいります。町民の健康づくり、スポーツ、レクリエーション等を推進するため、機能性に優れた町民体育館を建設いたします。町民自らが積極的にスポーツに親しみ、健康の保持増進と連帯融和が図れるよう環境整備に努めるとともに、体育協会や各サークル活動にも積極的に支援を行い、町民スポーツの振興を図ってまいります。
3.快適で潤いのある住環境をめざして
町民の心やすらぐ快適で潤いのあるまちづくりは、町政運営における大きな目標であります。町ではこれまで、「自然との調和、活力ある健康な町佐敷」の実現を目指し、自然環境や地域の実状、住民の意向に沿った計画のもと年次的に生活環境の整備に取り組んでまいりました。
那覇広域圏に属する本町では、次第に都市化の波が押し寄せ、町民の行政二ーズも複雑、多様化しつつありますが、今後とも総合的な見地から自然環境の保全に配慮しつつ、利便性の高い活気と潤いあるまちづくりを進めてまいります。
健康で文化的な生活を享受するためには生活環境の整備が重要であり、整備計画に沿って引き続き積極的に取り組んでまいります。新年度は、昨年の大雨による町道の冠水を教訓に生活道路として重要な伊原屋比久線をはじめ道路整備に努力してまいります。また津波古、冨祖崎地内の排水路等を整備して快適な環境づくりに努めます。
スポーツ、レクリエーションの場として親しまれ健康づくりの拠点となっている冨祖崎公園の大幅改修を行い、都市環境の整備、改善を図ってまいります。また、地域から要望のありました新開多目的広場の防球ネット設置工事を行い、利用者の安全確保、コミュニティの育成、生涯スポーツの振興に努めてまいります。
町では、快適な住環境整備のため年次的に諸施策を展開してまいりましたが、平成10年度も引き続き字佐敷の集落道を農村総合整備事業で整備してまいります。
五大ビジョンのひとつであります全町植物園化構想は、まちづくりの要であり、国道沿いの花いっぱい運動や身近な美化運動の推進など、佐敷町心豊かなふるさとづくり推進協議会(CGG)等関係機関と連携を密にし、町民のご理解とご協力のもと積極的に取り組んでまいります。
本町は自然との調和をモットーに緑豊かなまちづくりを展開しているとことであり、造林事業を継続して推進するとともに、新年度から3年計画で沖縄荒廃森林等緊急整備事業に取り組み自然環境の保全、活用を図ってまいります。
豊かな緑と美しい景観は私たちの心をなごませます。
町民1人ひとりの手で植樹し、緑の大切さの認識を高めるため第2回植樹祭を開催いたします。
ごみ問題は、今や資源保護など地球環境間題として大きくクローズアップされています。本町も快適な生活環境を守る観点から容器包装リサイクル法の施行等に伴い昨年からごみの五種類分別、有料化を行いましたが、町民のご協力のおかげをもちまして着実な成果をあげています。新たに生ごみ処理機の購入に対する補助を行うとともに、引き続き分別収集の徹底、資源再利用の促進などについて東部清掃施設組合や町婦人会等関係団体とも連携を図りながら町民総ぐるみの運動を展開し、快適なまちづくりに努めてまいります。
住宅隣接地域における悪臭の発生は、健康で快適な生活環境の維持を損なうものであり、原因究明に基づき必要な指導を行うなど対策を講じてまいります。
最近の交通事故による犠牲者の数は、各般にわたる交通安全施策の推進にもかかわらず一向に減る傾向にございません。悲惨な交通事故から町民の生命と財産を守るため、町交通安全推進協議会や関係機関、団体との連携を密にし交通安全思想の高揚、交通安全広告塔の新設など交通安全施設の整備を進めてまいります。
平成10年度も新里バス停に上屋を設置して住民の利便性を確保するとともに、道路反射鏡等を設置して交通事故の未然防止に努めてまいります。
集中豪雨時の浸水等水害発生の一因となっております新里、津波古の国道を横断するボックス、暗きょうについては、地域住民の安全と財産を守るため、平成9年度から進められている手登根地区に引き続き国、国道事務所のご支援を得て強力に改善を推進してまいります。
4.やさしさと豊かさの実感できる地域づくり
本格的な高齢社会の到来に備え、健康で生きがいのある安心して生涯を過ごせる福祉社会を築くことは、私たちに課せられた大きな使命であります。高齢者や障害者等弱者にやさしいまちづくりを推進するとともに、町民の多様なニーズに対応した総合的な施策を講じ、福祉の風土づくりを進めてまいります。
また、平成12年からスタートする介護保険に関しても、関係機関の指導を仰ぎつつ円滑な実施に向け事業計画を策定してまいります。
老人福祉については、高齢者が生きがいを感じ、健康で楽しく過ごせる環境整備の充実に努めるとともに、町老人保健福祉計画に基づいた諸事業を推進してまいります。また、昨今社会問題となっている老人デイケアについても調査を継続し、高齢者の健康づくりの推進に取り組んでいきたいと考えております。お年寄りができる限り住み慣れた家庭や地域の中で、安心して生き生きとした笑顔で暮らしていけるよう老人福祉の更なる向上をめざしてまいります。
さらに、社会福祉協議会の育成を通して地域福祉の基盤強化に努めてまいります。また、同協議会が昨年から実施している小地域ネットワーク事業やボランティアセンターの活動にも継続的に支援し、内容の充実強化を図ってまいります。
母子・父子福祉についても、引き続き母子、父子家庭の医療費助成事業を推進してまいります。また、乳幼児医療費助成事業を継続し、子育てに対する負担の軽減を引き続き行ってまいります。
障害者福祉対策については、身体障害者ホームヘルプサービス事業、身体障害者短期入所事業を継続して実施するとともに、更正援護施設入所通所措置事業、舗装具給付事業等きめの細かい事業を促進してまいります。
また、昨年度オープンした「共同作業所さしき」に対しても、引き続き支援を行い、心身に障害をもつ方々の自立と社会参加を図るとともに、事業内容の充実発展に力を注いでまいります。
児童福祉については、児童の健全育成や働く女性の子育て支援を図るため特別保育事業及び放課後児童対策事業等を引き続き推進してまいります。さらに、新年度はすこやか保育サービス事業を取り入れ、無認可保育施設に入所している児童の福祉の向上を図ってまいります。
新年度は、地域福祉の拠点となる町立児童館の竣工も予定されております。子どもたちはもとより町民が楽しく利用でき、ふれあいの場、情報交換の場としての機能が十分生かされるような施設運営をめざしてまいります。
「自分の健康は自分で守る」をモットーに、これまで健康づくり事業に取り組んでまいりました。疾病の早期発見、早期治療の重要性を再認識し、新年度も引き続き住民検診や人間ドック事業を推進し、受診率アップに努めてまいります。また、検診結果をもとに健康相談、健康教育、訪問指導等も強化し、さらに、町社会福祉協議会と協力して健康福祉まつりを実施する中から、町民の健康に対する意識の高揚を図ってまいりたいと考えております。とりわけ新年度は、町民体育館や児童館も完成することから、町民の健康増進につながるものと期待しております。
世代と世代の支えあいを基本に老後の安定した生活と家族の安心を守るために大きな役割を担っている国民年金については、新年度も制度の周知徹底を図り、若い人たちの加入促進及び無年金者の発生防止に努力してまいります。
国民健康保健制度は、相互扶助の精神に基づき、町民の医療費の手助けを担っております。しかしながら、近年の国保財政は、老人医療賓の増加等により大変厳しい状況にあります。健全な国保財政の運営のために、広報活動を通して医療費の説明や日常生活での健康管理による予防方法等の周知に努めてまいります。
また、医療費適正化対策事業や保健施設事業等にも積極的に取り組み、年々増大する医療費の抑制に努力してまいります。レセプト点検に力を入れるとともに徴収体制を強化し、保険税収納率の向上を図ってまいります。
5.命どぅ室、平和行政への道しるべ
沖縄は、先の大戦において地上戦を身をもって体験した国内唯一の県であり、23万人余の尊い命が犠牲となり貴重な文化財や豊かな緑を失ないました。その戦争の傷あとは戦後半世紀以上を経た今日でも残っており、先日の対馬丸洋上慰霊祭における遺族の心情をお察しする時、2度とあのような悲劇を繰り返してはならないとの思いを強くするのであります。また、米軍専用基地の75パーセントが集中する本県は、基地に起因する事件、事故が後をたたず、基地の重圧をひしひしと感じながら暮らす県民の平和に対する思いは人一倍強いものがございます。
このような現状をみるとき、沖縄の過去の歴史を正しく伝え、戦争の愚かさと平和の尊さを再認識し、後世に続く豊かな社会を築くことは私たちの大きな使命であります。町としても引き続き学校における平和教育や平和体験学習等の充実に力を注ぐとともに、町史戦争編の発刊、平和講演会や平和資料展等の開催を通して、地域や暮らしの中から平和にかかる諸問題をともに考えてまいりたいと存じます。
おわりに
町民、議会議員の皆さま方の多大なるご理解とご協力のおかげをもちまして、平成9年度の町政運営は円滑かつ適正に行われ、各方面で多大な事業成果が得られました。
集中豪雨の際に氾濫し、地域住民から要望のありました国道を横断するボックス、暗きょうの改良工事については、国及び国道事務所の特段のご配慮をいただき手登根地区が平成9年度に着工されましたが、新年度は新里、津波古地区に取り組んでまいります。住民の生命財産の保護、災害の未然防止に寄与するものであり、長年の懸案事項が一気に解決できますことは、この上ない喜びであります。
一方、各方面から強い要望のありました国道331号への道路照明灯の増設が今回実現いたしました。一挙に19機もの照明灯の設置を見たことは画期的なことであり、交通事故の防止、夜間歩道を利用する方々の安全確保、住民生活の向上に大きく寄与するものと思います。
地域の実状を賢察の上ご支援賜りました国、国道事務所に対し重ねて御礼申し上げる次第であります。
長年の懸案でありました文化センター駐車場の整備につきましては、関係機関、関係各位のご支援のおかげをもちましてこのほど着工の運びとなりました。とりわけ、貴重な土地を提供いただいた地権者の皆様のご協力に対し衷心より御礼申し上げます。ご芳情に報いるためにも有効、適切な整備、活用を図ってまいります。
農業の振興については、優良農地の保全、秩序ある開発整備を基本に農業用水確保のための調査を実施してまいりましたが、今後、調査結果をもとに事業導入に向けた取り組みを進めてまいります。
基幹産業であるさとうきび作の省力化のため2台目のハーベスターを導入し、高齢農家の収穫作業軽減を図りました。また、待望の農産物直売所も現在建設が進められており、完成の暁には生産者と消責者のふれあい、高齢者の生きがいづくり、地域活性化に寄与するものと期待しております。
町民はもとより県内外に音楽のメッカとしてすっかり定着した感のあるシュガーホールでは、平成9年度も多彩なイベントを精力的に実施いたしました。特に多くの町民が関わった手作りミュージカルの大成功は、町民参加のホール利用への転換という観点から意義深いものであったと存じます。
快適な生活環境の創出のため最重要課題であったごみ処理問題では、五種類分別、門ロ収集、有料化など、搬出方法の大幅な変更を行い、ごみ搬出の劇的な減少等大きな成果をあげました。町民の皆さまのご理解で、ごみの減量化やリサイクル社会の実現に大きな一歩を踏み出しました。
心身に障害を持つ方々の働く場所の確保と生きがいづくりのため、待望の共同作業所を設置しました。通所者の表情にも明るい笑顔が増えたと、関係者は喜んでおります。今後ともふれあいの和を広げつつ施設内容の充実を図ってまいります。
行政サービスの向上を目指し、役場窓ロのハード面の改善を行いましたが、新年度はさわやか窓口運動を推進するとともに、窓ロ一元化の導入等を研究して住民の利便性の向上に努めてまいります。
行政改革の推進や情報公開の動向が注目される中、住民に身近な役所としての地方自治体に寄せる住民の関心は高いものがあります。多様な行政需要に応え、適切な住民サービスを提供し創造性豊かな行政運営を確立するため、平成10年度は新総合行政システムの構築に取り組んでまいります。
地方分権の時代を迎えつつある今、自立した自治組織とその職員の資質の向上がこれまでにも増して求められています。充実した職員研修を実施し、将来に希望と活路をみいだし得る職員を育ててまいります。これからのまちづくりは、地域と行政が相連携することが必要不可欠であります。住民と行政がそれぞれの役割を担いつつ手を取り合い活力ある地域社会を形成するため、(仮称)「まちづくり100人委員会」を設置して幅広い角度から論議し、創意と協働で築く魅力あるまちづくりを展望してまいります。
また、ゆとりと豊かさの実感できる新時代を展望した町政の進路を確立するため、第3次佐敷町総合計画の策定に向けた取り組みを進めてまいります。
私は就任以来、終始一貫して町民との対話を大切にしてまいりました。平成10年度は行政懇談会を開催し、町民の皆様と膝を交え手を取り合い、未来に輝く明日のまちづくりを共に語り合っていきたい考えております。
以上、平成10年度の町政を運営するにあたりましての施政方針とし、あわせまして議員各位、町民の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。
平成10年3月12日
佐敷町長 津波元德
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大分類 | テキスト |
資料コード | 008451 |
内容コード | G000000713-0005 |
資料群 | 旧佐敷町(佐敷村)広報 |
資料グループ | 広報さしき 第249号(1998年4月) |
ページ | 4-9 |
年代区分 | 1990年代 |
キーワード | 広報 |
場所 | 佐敷 |
発行年月日 | 1998/04/10 |
公開日 | 2023/12/13 |