なんじょうデジタルアーカイブ Nanjo Digital Archives

俳壇さしき

文化協会俳句教室正月例会より。瀬底月城選

基地入らぬとジュゴン顔出す冬の海 与那嶺末子
(評)海は万物の母と言われる。母なる海が、人間の殺し合いの基地ヘリポート問題で「飴と鞭」の圧力で奪われようとしている。「人間よお前もか」と人魚(ジュゴン)が叫ぶ。

寒凪の傭艮ゆったり泳ぎをり 垣花和
(評)国際保護動物の儒艮が辺野古の静かな海で採食しつつ泳いでいるのが写真で実証された。儒艮君、陸上で人間共が騒いでいるのを聞いて、水面下で住家を守れと無言のデモでもしているのだろうか。

舞初めに出様ちゃる者や山の神 崎間恒夫
(評)山の神(妻)の舞初めを、出様ちゃる者と、沖縄芸能の按司の出羽言葉を上手に面白く、俳句に活用した。俳句はこういう「おどけ」も必要で蕉風で言えば「沖縄的」俳譜とでも言おうか。風土性を生かした秀句となった。

捥ぎたての旦柑添えし大遺影 山城百合子
(評)旦柑は他県では温度不足で不作だが沖縄では良くとれる。もぎたての旦柑を、幼い頃可愛がって下さった祖母の仏前に自らお供えするのだった。大遺影は七七忌までの御写真。

淑気いま素手を隠しつ巫女の舞 安谷屋竹美
(評)身を浄め、舞い衣に着更え、新春の淑気ただよう御殿で神に捧げる巫女(みこ)の舞の一挙一動を、真心をこめて見入る瞬間の作者の心意気が佳句となった。芭蕉翁に「物の光いまだ消えざるうちに言いとむべし」とある。(淑気いま)がそれであろう。

※選者吟
嫁が君アルミサッシの外に棲む 瀬底月城

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大分類 テキスト
資料コード 008450
内容コード G000000707-0012
資料群 旧佐敷町(佐敷村)広報
資料グループ 広報さしき 第247号(1998年2月)
ページ 10
年代区分 1990年代
キーワード 広報
場所 佐敷
発行年月日 1998/02/10
公開日 2023/12/13