なんじょうデジタルアーカイブ Nanjo Digital Archives

俳壇さしき

文化協会俳句教室十一月例会より。瀬底月城 選

秋の暮金色染まる飛行機雲 崎間恒夫
(評)高い秋空に音もなく一筋の飛行機雲が走り末拡がりに長く尾を曳く。これが秋のタ陽で金色に輝く様は一筆描きの絵のように見事だ。秋の暮は「秋の夕方」、暮の秋は「晩秋の季語」。

那覇の江の落暉にそまる小春凪 渡真利春佳
(評)前句は天を仰ぎ、この旬は地を対照とする。冬の凪の那覇港(汀H港)の夕焼けを静かに味わう。小春凪は冬の季語で、冬の海辺の凪のこと。世界三大夕焼けに,沖縄、マニラ、ローマのナポリをあげる人もいる。

穂孕みの甘庶や雄猫の家出ぐせ 新垣春子
(評)近年はペットフードとかいう、昔の人間様よりも、ぜいたくな食べ物を、犬猫様が戴いているようだ。鼠を怖がる猫もいるという笑い話もある。食いしんぼうのことを「がちまやー」というが、美食に飽きた猫が、野生に還えろとして家出がちになる。

名札つけ五十路の秋の同期会 安里洋子
(評)五十路(いそぢ)の同期会、五十代にもなると、孫も出来、小中学生の頃の顔を忘れた者もあろう。名札から「アイ!春コー」「アイエーイヤーヤ」とか幼い頃を思い出す。「秋の同期会」老期に入る何かを語る。

節祭オホホ仮面の高笑ひ 山城百合子
(評)節祭りシツィとも言い、先島地域で旧八、九月の行事。旗頭などと道ズネーイの時、オホホ神のおどけた仮面と仕草が皆を喜ばす。行列後、舞台で芸能を奉納、豊作を祈る。国指定無形文化財。オホホ神とは良く付けたものだ。

※ 選者吟
秋芽挿す浩性剤は水に溶き

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大分類 テキスト
資料コード 008450
内容コード G000000705-0010
資料群 旧佐敷町(佐敷村)広報
資料グループ 広報さしき 第245号(1997年12月)
ページ 11
年代区分 1990年代
キーワード 広報
場所 佐敷
発行年月日 1997/12/10
公開日 2023/12/13