なんじょうデジタルアーカイブ Nanjo Digital Archives

パッションフルーツを栽培しよう!!

高齢農家・退職者にうってつけ
最近、町内のあちこちの畑で、見慣れない果物が栽培され始めているのにお気付きですか。
へちまやゴーヤーに似たツル状の木に、丸い実がたくさんついている…。この果物の正体は、町が今、盛んに栽培を推進しているパッションフルーツなのです。
パッションフルーツは、町内では現在約五千坪の畑で栽培され、32農家が県内・県外市場に盛んに出荷しています。

遊休農地・農業離れの解消に
そもそもこの果物は町役場と農協が、農地の遊休化問題と農家の高齢化による農業離れを解決しようと導入したもの。平成7年に8本の苗を持ち込み、普及がスタートしました。
最初は字手登根に三十坪の見本園を設置。栽培を希望する農家を募り、先進地視察や勉強会を重ねるなど、栽培技術を広めていきました。
その後、昨年の「さしきまつり」で苗の無料配布をするなど、町民への普及に努めてきました。

なぜパッションフルーツなのか
先程の農地の遊休化問題などの解決にパッションフルーツを選んだ主な理由は、①取引単価が高いこと、②収穫が楽なこと、③栽培が簡単なこと、の三点です。
①の取引単価ですが、今現在も町内では圧倒的に多く栽培されているさとうきびに比べ、キロ単価が何と25倍から75倍の値段で取引されています。栽培コストの差も若干ありますが、それを差し引いてもさとうきびよりも飛躍的な収入の増加が見込めます。
②の収穫ですが、パッションフルーツは、実が熟し自然に落下したのを拾うだけ。何十キロもある束を担いで収穫していたさとうきびの重労働とは天と地の差。高齢者や婦女子でも簡単に作業できます。そのことから仕事を退職した方の就業にうってつけなのです。
③の栽培は、素人でも少し習えばできるほど簡単。野菜などに比べ病害虫の防除もあまり必要ないので、安心です。また、比較的土地や場所を選ばず露地でも栽培できることから、ハウスなどの高価な施設は不要。鉄パイプなどで簡単な棚を作るだけと、施設にかかるコストも安くてすみます。一度植えたら6、7年収穫できるのも魅力となっています。
家庭の庭や鉢植えでも栽培が楽しめ、生った実を家族や近所に配るなど趣味としても楽しめます。
収穫は年2回できますが、電照栽培での収穫回数の増や、袋がけや防風対策で品貿向上など、各農家の創意工夫で収入増を期待できるのも魅力のひとつです。

甘ずっぱくとても美味しい
パッションフルーツはブラジル原産の熱帯果樹。国内では沖縄が主な生産地で、県内では20年ほど前から導入されましたが、マンゴーなどの影に隠れ、あまり目立ちませんでした。現在では、本島北部、八重山などで主に栽培され、収穫量は年々増加しています。
主な品種は二種類。実が黄色になる種とむらさき色になる種があります。実の味は甘ずっぱく、とても美味。生でそのまま食べるのはもちろん、ジュースやゼリー、ジャム、ケーキなど加工して広い用途に利用できます。
また、ビタミンなどが豊富に含まれ、美容や健康にもいいと評判は上々のようです。

佐敷の特産品として膨らむ夢
農協に勤め栽培を指導する傍ら、自身も栽培している知念善吉さんは、「品質や収穫量を上げるための工夫や、市場の開拓などまだまだ課題は多いが、有望な作物。今後も意欲的に取り組んでいく」と意気盛ん。町内トップの栽培規模を誇っています。
役場経済課では、今後も培農家を増やし、ゆくゆくは町の特産品にしていく方針。もうひとつの特産である竹細工とセットしておしゃれな包装をほどこし、佐敷ならではの製品にする案も出ています。
主な狙いは本土出荷。そのほかシュガーホールや厚生年金休暇センターを訪れたお客さんへの、素敵なおみやげにもなるのではと夢は膨らみます。
畑と暇を有効に活用してみたいと思っているあなた。ぜひパッションフルーツの栽培を試してみませんか。

栽培するには
・苗は100坪の畑に10本前後(1本100円・町内農家で販売)
・棚の骨組みは建築足場パイプなどで。
・花が咲くと人工交配が必要。
・湿気の多い土地は避ける。
そのほか詳しい栽培方法は、役場・農協・栽培農家に聞いてください。
気軽に相談に応じます。

ダウンロード https://docs.google.com/uc?export=download&id=1wjhndjU66zSNDyircOZ60Q_f-9tUuesd
大分類 テキスト
資料コード 008450
内容コード G000000700-0002
資料群 旧佐敷町(佐敷村)広報
資料グループ 広報さしき 第240号(1997年7月)
ページ 2-3
年代区分 1990年代
キーワード 広報
場所 佐敷
発行年月日 1997/07/10
公開日 2023/12/14