なんじょうデジタルアーカイブ Nanjo Digital Archives

俳壇さしき

文化協会俳句教室五月例会より。瀬底月城選

母の日の詩のプレゼント読み返す 渡真利春佳
(評)簡単で誰でも出来そうな句。だが中七の、子供からの「詩のプレゼント」の具体的な設定は、中々出てこない。言葉の遊びでなく、下五の「読み返す」に、母は涙ぐみ、子の成長を喜ぶ姿がある。

洞窟なべて持攻艇基地月桃咲く 新垣春子
(評)すべての洞窟が特攻艇用である。奄美の加計呂麻島の吟行旬。日本の敗戦で、特攻艇は出動せず、兵員は助かった。島尾敏雄隊長の文学碑を、月桃の花の香りが包みこむ。

鯉のぼり見上げる孫のアエイオウ 崎間恒夫

(評)言葉を覚え始めた男孫の様子を下五でうまく表現。孫はアイエーナー等という方言も
覚えたかも知れない。空では親子鯉が孫の成長を祝福して勢いよく泳いでいる。ほほえましい句ではある。

春泥に象形文字の踊り出す 安谷屋竹美
(評)春雨のあとの庭や路地の泥に下駄の歯後が、象形文字のように描かれている。下五の「踊り出す」に、春になった喜びが、それとなく表出されている。

メーデーや安保を拒否のうるま島 城間睦人
(評)五月は祖国復帰の月である。日米安保条約は、県民不在の「皇国」の悪霊がまといつく
条約とも言われる。平和な「うるま島」は二度と戦場にするなとメーデーの平和行列が行く。

※選者吟
梯梧咲く振り子動かぬ大時計

ダウンロード https://docs.google.com/uc?export=download&id=19K6FrDTlAlzH2BoWS0Vn4wBuP6Qv_dux
大分類 テキスト
資料コード 008450
内容コード G000000699-0009
資料群 旧佐敷町(佐敷村)広報
資料グループ 広報さしき 第239号(1997年6月)
ページ 10
年代区分 1990年代
キーワード 広報
場所 佐敷
発行年月日 1997/06/10
公開日 2023/12/13