文化協会俳句教室三月例会より。瀬底月城選
寧日の親子鯨の尾を跳ねる 城間睦人
(評)鯨は復帰前、捕り過ぎて激減したが、保護動物となり、親子の鯨が寧日(平和の日)を楽しそうに尾を跳ねる。鯨はヤマトでは冬の季語だが、沖縄近海では春季に見かける。
名水の川蜷育ち海の紺 幸喜正吉
(評)玉城村垣花の名水の流れに川蜷(ニナ)を見つけた。耕地整理で消失した小川や池に鮒や蟹が居た。川や池に復元して目高や蝦(エビ)、鮒などを知らない今の子供達に見せたいものだ。海を見下ろしながら、ふと思う。
うぐひすや暮色ただよふ城の跡 前城守人
(評)沖縄県は他県に較べ城跡が多い、夕まぐれ古城を訪ねて、鶯の声にこの城の栄枯盛衰の歴史を憶い、祖先達の暮しをしのぶ。うぐいすの-族もこの村でこの城で育ち、囀って来たのであろう。
甘蔗刈りてのっぺらぽうの改良地 与那嶺末子
(評)かつては小山も林も丘もあった所が、土地改良とかいうもので、丘も林も土手も無くなった。甘薦を刈ってしまったら、のっぺらぼうで、淋しい限りだ。
俳句の連想は、小鳥の声や小魚にも及ぶ。
仏壇の隣りに並ぶ雛ぼんぼり 垣花和
(評)四十年前公民館で飾った雛祭を思ひだす。今では大ていの家で、小さいながらも雛壇がある。御霊前と並べて雛まつり。沖縄の祖先崇拝との組合せも佳い。隣りから雛まつりの歌が聞こえて来る。
※選者吟
刈り残る安値の甘蔗の二百坪
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大分類 | テキスト |
資料コード | 008450 |
内容コード | G000000697-0005 |
資料群 | 旧佐敷町(佐敷村)広報 |
資料グループ | 広報さしき 第237号(1997年4月) |
ページ | 10 |
年代区分 | 1990年代 |
キーワード | 広報 |
場所 | 佐敷 |
発行年月日 | 1997/04/10 |
公開日 | 2023/12/13 |