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施政方針平成9年度

はじめに
平成9年第128回佐敷町議会定例会に当たり、提案いたしました平成9年度当初予算をはじめ、条例その他の議案説明に先立ち、町政運営に当たっての私の所信の一端を申し述べ、議員各位をはじめ町民の皆さまのご理解とご協力を賜りたいと存じます。
近年国内外では、ペルーにおける日本国大使公邸占拠事件の長期化、また、福井県沖のロシア船籍タンカーの重油流失事故、県内にあっては、久米島鳥島における米軍による劣化ウラン弾の発射等にみられるように、人命にかかわる由々しき事態が起こっております。一方、町内では昨年から今年にかけて、4人の尊い人命が失われるという痛ましい交通事故が発生しております。私は、事件・事故や被害にあわれた方々のご苦労とご家族やご親族のご心労をお察し申し上げますとともに、事件・事故の早期解決を心からお祈りいたしております。
さて、平成9年度は、第三次沖縄振興開発計画の後期を迎える大事な時期であると同時に私が「町民と共に歩む町政の推進」を基本に10大政策を掲げ、町民の良識ある負託を受けましてから4年目の最終に当たる年度でもございます。
私は、公約実現に向け、マリン・タウン・プロジェクト、ヘルシーリゾート構想、南部東道路整備事業、津波古地区土地区画整理事業、佐敷町文化センター駐車場整備事業、佐敷町広域下水道事業等、主要プロジェクトの芽だし、又、施策の大綱に基づく主要事業をそれぞれ設定し、町民のご理解とご支援をあおぎつつ誠心誠意努力を続けてまいりました。
今日、国・地方を通じて多額の公債残高を抱えるなど、厳しい財政状況にあって経費の抑制が要請される中、公約実現のためには依然として多くの課題が残されていることもまた事実であります。しかし、行政にとってひとときも立ち止まることは許されません。次代を担う若者にとって夢と希望の持てる佐敷町を築くためにも、困難にめげることなく、町民と共に考え町民と共に歩む町政を推進し、未来に続く希望の扉を力強く押し開いていきたいと考えております。

基本施策
今日、国の行財政改革の推進が国民的課題として提起され、従来の縦割り行政の中央集権体制を改革し、地域の主体性や独自性を生かした地方分権化へ移行される新しい「地方の時代」を迎えようとしております。
また、多様化する価値観、様々な住民ニーズに適切に対応し、住民の福祉向上と生活の安定を図るため、行政の責務は重要度を増し、超高齢化社会、国際化社会、情報化社会の到来にそなえた新しい諸施策の展開が要請されております。
さて、本町では、「自然との調和、活力ある健康なまち佐敷」を将来像に策定した「第二次総合計画」のもと5大ビジョンと主要プロジェクト、諸施策を掲げ、21世紀をみすえた豊かで住みよいまちづくりを推進しております。
私は、就任以来今日まで、町政の主人公は町民であることを基本として、町民と共に歩む町政の実現に努め、主要プロジェクトを強力に推進し、明るく住みよい活力あるまちづくりに適進してまいりました。
私は、今後とも「平和・公正・公平・清潔・思いやり」を基本理念に、常に初心を忘れることなく、町民と共に歩む町政を進展させ、子供たちの夢を育み、21世紀を切り開く佐敷町を展望したいと考えております。
町政運営に当たっては、平和憲法の理念を尊重しつつ、地方自治の本旨に則り、町の行政改革大綱の答申を尊重し、次の3点を基本姿勢に誠心誠意をもって町政の刷新を図り、町民の皆様のニーズに応えるべく努力していく決意であります。
一自然を大切にし、教育文化の向上を図り、人間的なふれ合いのある潤いに満ちたまちづくりを推進します。
一産業を振興し、住みよい生活環境の整備を図り、町民に夢と希望を与える明るいまちづくりを目指します。
一福祉と健康を大事にし、思いやりと安らぎのある平和なまちづくりを進めます。
昨今の厳しい地方財政の中にあって、以上の公約実現と山積する諸問題の解決には幾多の困難が予想されますが、職員の英知を結集して乗り越えてまいりたいと考えております。
本町の行財政運営の基本施策は、「産業振興と社会資本の整備」「教育・文化の振興」「住みよい環境整備」「社会福祉と保健医療の確保」「平和行政の推進」であります。
この基本施策を踏まえつつ、平成9年度は町民のご理解とご支援のもと、夢と希望に満ちたまちづくり目指し、決意も新たに町勢の発展に取り組んでまいる所存であります。

「産業振興と社会資本の整備」
夢と希望に満ちた活力あるまちづくりは、地域産業の振興が基本であります。
本町の産業は、農業を主軸に漁業及び商工業で構成され町勢発展の推進力となっております。農業は、変動する内外情勢の影響を受け依然として厳しい状況にありますが、今後とも町の基幹産業として位置づけ、JAや農業関係団体等とも連携しながら、生産基盤の整備、後継者の育成、経営体質の改善、強化等に努めてまいります。
商工業については商工業者の経営安定及び商工会活動の活性化促進に向けた施策を推進し、漁業ついては水産振興計画に基づいて具体的な振興策と取り組んでまいります。
本町のまちづくりの柱であるマリン・タウン・プロジェクトについては、港湾計画の変更作業及び免許出願に向けた諸調査を引き続き実施してまいります。
また、島尻地域の総合的な整備を図るヘルシーリゾート構想については、南部市町村や計画推進住民連絡会議等と一体となってその事業推進に努めてまいります。あわせて、佐敷町公共下水道事業の工事に着手し、南部東道路整備事業についても関係町村と歩調を合わせてその実現に取り組んでまいります。

「教育・文化の振興」
本町は、先人から継承された豊かな歴史や文化を有し、また、教育立町として昔から多くの人材を育ててまいりました。教育を大事にする風土のもと「まちづくりは人づくりから」を基本理念に、今後とも自主性、創造性豊かな人間形成と、郷土の自然と文化を尊重し、日々進展する社会の動向に対応しうる健全なる町民の育成に努めます。町民の要望に対応した幼児教育、学校教育、生涯学習等の進展を図るとともに、文化財行政、町史編集など地域文化振興ための施策を進めてまいります。
本町の地域活性化の拠点として期待を集める中、独創的な企画運営で評価を受けております佐敷町文化センター・シュガーホールについては、その機能をさらに高めるとともに、明日を担う人材育成の場、新たな地域文化の創造・発信の館となるよう中・長期的展望に立った運営を行ってまいります。

「住みよい環境整備」
安全で快適な住みよいまちづくりは、町民すべての願いであり、これまで本町の自然的社会的特性を生かしながら年次的に生活環境の整備に努めてまいりました。今後とも、生活道路や排水路、街灯、交通安全施設などを計画的に整備しつつ、自然との調和を基調に生活環境の整備に取り組んでまいります。
また、懸案であります津波古地区土地区画整理事業につきましては、地権者との話し合いを進め、円滑な事業実施に努力してまいります。
容器包装リサイクル法の施行やごみ問題対策委員会からの答申を受け4月からごみの処理方法が変わりますが、町では、住民意識の高揚を図りつつ、ごみの5種類分別、減量化、資源化を推進してまいります。

「社会福祉と保健医療の確保」
人口の高齢化が進み、人生80年代の超高齢化社会を迎えようとしています。
それだけに、町民が健康で安心して生活できるまちづくりが期待されるところであります。今後ともさらに連帯の精神を培い、福祉の風土づくりを進め、生きがいに満ちた生活の展開に努めます。福祉需要の増大、多様化に対応し、きめ細やかな福祉サービスを提供するため、関係機関と連携しつつ老人福祉や母子・父子福祉、心身障害者福祉、児童福祉等の充実に努めてまいります。
また、国民健康保険財政、老人保健財政を取り巻く厳しい状況にかんがみ、健康意識の高揚、健康づくり等の推進によって町民の健康保持増進に努め、財政の健全化を図ってまいります。

「平和行政の推進」
平和は、人間生活の根源的条件であり、日本国憲法の目指す平和の確立に不断の努力が必要であります。沖縄戦で尊い生命、財産を失った史実を直視し、戦争体験を風化させることなく、平和な社会を築くために、学校における平和教育や平和体験学習を実施してまいります。あわせて、県の推進する国際都市形成構想の動向に注目しつつ「ヘルシーリゾート構想」の実現に向け努力してまいります。

1.産業振興と社会資本の整備
活力ある安定的な経済基盤を確立し、地域社会の均衝ある発展を図ることは、本町にとって、ますます重要であり、産業の振興と社会資本の整備を重点事業として関係機関と緊密な連携のもと取り組んでまいります。
農業の振興については、生産基盤及び近代化施設の整備とあわせて後継者の育成を図りつつ、生産性の向上、経営体質の改善、強化に努めます。
また、近年の情報化時代に迅速に対応すべく農地情報管理システム整備事業により農家情報についての電算処理を実施いたします。あわせて、農地流動化推進委員や関係機関との連携を深め、農地の有効利用、中核的農家への流動化に努めてまいります。
町内各地区の土地改良事業も順調に推移していますが、さらに効率的な農業運営を図るために、平成9年度は親田原地区のほ場整備工事を実施いたします。あわせて、土地改良施設維持管理事業により河川氾濫を防止するため浜崎川の凌渓工事を行います。
団体営農地保全整備事業は、農地の崩壊、排水路の氾濫による作物被害を防止するために伊原地区、新里地区の農道、排水路工事を実施いたします。
さらに、農地を保全する意味から、津波古、手登根、つきしろ地区において土砂崩壊防止のためのため池等整備事業を推進してまいります。
基幹作物であるさとうきびの振興については、品質の向上及び生産拡大を図るため、さとうきび優良種苗安定確保事業を推進するとともに、ハーベスター等の導入を積極的に推進し、収穫作業の省力化に努めます。
また、土地集約的農業により生産された野菜、果樹等の少量多品目の余剰、規格外農産物を一個所に集めて販売することにより、農家の所得向上と地域活性化を図るため、農業構造改善事業による農産物直売所の設置を検討してまいります。
畜産業については、牛肉の自由化等で厳しい状況下にあり、品質の向上、コストの低減は重要な課題であります。振興策としては、家畜防疫事業や畜産共進会の開催等、家畜農家の経営意識の高揚に努めてまいります。
水産業の振興については、組合の組織強化や後継者の育成等に努めつつ漁具購入や浮漁礁設置、漁労作業省力機器購入等で漁業の近代化を進めてまいります。
商工業は、地域経済の活性化にとって重要な産業であります。商工業者の経営の安定的向上と近代化を推進するため、商工会と連携を図りながら制度資金の活用、特産品等の開発に努めてまいります。
社会資本の整備は行政の重要な使命の一つであり、町道幹線整備事業を積極的に推進いたします。道路整備事業として仲伊保海岸線、新里運座線、伊原屋比久線、佐敷手登根線、屋比久仲伊保遅又線、つきしろ一号線、馬天兼久島の前線などを整備します。
町民の期待が大きい南部東道路整備事業につきましては、今後の本町発展の鍵をにぎっているため、関係町村と歩調を合わせ、早期実現に向け、地域住民の要望に沿いつつ強力に取り組んでいきたいと思います。
上水道につきましては、年々増大する水需用に対応するため、水道整備計画に基づいて津波古、佐敷地区で配水管敷設工事を実施し、さらに字佐敷から東側地域の安定供給のため貯水タンク、送水ポンプ室等の整備を行い、町民が等しく水の恩恵を享受できるよう努力してまいります。
下水道事業につきましては、環境対策上からも必要不可欠の都市施設であります。公共下水道事業の円滑な運営とその経理の適性を図るため新たに特別会計を設置し、事業に着手してまいります。
豊かな地域づくりに資するとともに、本県における新たな観光・リゾート産業の振興に寄与すると期待されるヘルシーリゾート構想は、整備基本計画の策定も終了し、推進母体となるヘルシーリゾート計画推進住民連絡会議も結成されましたので、事業の実現に向けて、国、県の計画等への位置づけを確立していきたいと思います。
また、本町の二十一世紀を展望したまちづくりの柱である中城湾港マリン・タウン・プロジェクト佐敷東地区については、町益を損なうことがないように港湾計画の変更作業、埋立出願に向けた諸調査を引き続き実施し、早期実現に向けて最大限の努力をいたします。

2.教育・文化の振興
未来の佐敷町を担う有為な人材の育成と文化の香り高いまちづくりの展開は、郷土に誇りと愛着を持つことから始まると考えます。本町には昔から郷土を愛し、教育・文化を大事にする風土があり、町民一人ひとりの心の中にもそれが受け継がれております。私は、この偉大な伝統を守り、発展させることを課せられた使命と受け止め「まちづくりは人づくりから」の基本理念のもと、一層の努力を傾けてまいります。
学校教育、社会教育、地域文化等の充実、発展に努めるともに、高齢化社会に対応した生涯学習をはじめ情報化、国際化などの社会動向を見すえた施策を推進し、個性豊かな人材の育成を図ってまいります。
豊かな表現力とねばり強さ、さらに時代の変化に対応できる人間形成と基礎知識を涵養する義務教育については、その重要な役割を認識しこれまで学校教育環境の整備拡充、教育の向上と取り組んでまいりました。平成9年度は、佐敷中学校の特別教室新増築工事、部室建設工事をはじめ学校教育環境の整備充実に努力してまいります。開校以来、多くの卒業生を送り出した佐敷中学校が本年4月に創立50周年の節目を迎えますが、その記念事業の成功のために町としても支援を行ってまいります。また、佐敷小学校においては、平成8年度から文部省の指定を受け「生活科」の教育研究に取り組んできましたが、平成9年度は、生活科教育推進校実践発表会を開催するなど、その成果が活かされるよう努力してまいります。さらに、地域社会への適応能力を高めるために、多様な学習機会の創出に力を注いでまいります。
学力向上対策につきましては、子供たちがのびのびとした環境の中で健やかに成長し、豊かな個性と創造性を発揮できるよう、今後とも学校、家庭、地域と連携した取り組みを強化してまいります。また、いじめ等の諸課題については、学校現場、教育委員会と相談して適切な指導助言のできる体制づくりに努めてまいります。
青少年健全育成の推進につきましては、青少年育成町民会議の活性化を図るとともに、町PTA連絡協議会等関係諸団体ともよく協議し、次代を担う青少年が健やかに育つ環境づくりに積極的に取り組み、町ぐるみの運動を展開してまいります。
社会教育は、生涯にわたる学習活動をはじめ心豊かで生きがいに満ちた生活を醸成するものであり、その果たす役割は一段と高まっております。今後とも推進体制の強化、社会教育関係団体の育成、公民館における各種学級・講座の開設やサークル活動の内容充実に努め、あらゆる分野に参加できる環境づくりに取り組み、生涯学習によるまちづくりを推進してまいります。
また、文化センターのコミュニティー供用施設の施設内容及び利活用をより充実させるとともに、中央公民館的機能を活かして自治公民館とのネットワークづくりに努めてまいります。
音楽によるまちづくりの拠点、佐敷町文化センター・シュガーホールは、開館以来利用状況も堅調に推移し、今日まで約十万人が訪れ、国内外の著名な音楽家の演奏会をはじめ町民、県民が優れた舞台芸術に親しんでおります。とりわけ平成8年度は、「ゆらてぃあしばなさしきんちゅ」の開催など地域に根ざした特色ある企画運営が大きな成果をあげました。住民参加型の自主的、主体的な取り組みが内外から高い評価を受けたことは、町の教育・文化行政の新たな展開にこの上ない刺激となっております。
平成九年度は、お楽器ワークショッブの集大成としての「パーカッションフェスティバル」や、町民各層による協働の手作り舞台「ミュージカル97」を開催いたします。新規の「生涯学習文化創造事業」をはじめ引き続き「おきでんシュガーホール新人演奏会」を開催するなど、町の文化創造の担い手となる人材を長期的戦略をもって養成できるような企画・運営に努めてまいります。
地域文化の継承と発展につきましては、豊かな地域資源と町民の創意をもとに「さしき・ルネッサンス構想」の実現に向けた取り組みを進めてまいります。「佐敷上グスク」を中心とした史跡・文化財及びその周辺整備を図るため、引き続き佐敷上グスク整備計画の策定に取り組んでまいります。
佐敷町史編集事業については、「戦争篇」「移民体験篇」の編集に向け精力的な部落入り聞き取り調査や資料収集が行われておりますが、今後とも町民主体の町史編集を基本に、町民のご理解とご協力をいただきながら事業椎進に取り組んでまいります。
また、佐敷町文化協会に対しましては、引き続き支援を行い、組織の充実強化を図り町の文化振興に努めてまいります。あわせて、地域の誇る歴史や伝統文化の継承と町民文化の創造発展を目指し、同文化協会とも連携しつつムラ芝居や伝統芸能等の取り組みを検討してまいります。

3.住みよい環境整備
快適で文化的な生活を営むことができる住みよいまちづくりは、町民すべての願いであり、また行政の重要な責務でもあります。これまで、快適なまちづくりを目指し地域住民と協議し、考え、それぞれの地域に即した計画のもと順次整備を行い、生活環境の改善に努力してまいりました。
那覇広域圏に属し、生活圏を那覇市とともにする本町にも都市化の波が押し寄せ、町民の生活の中にもいろいろと変化の様相をうかがうことができます。このような中、地域住民の要望も多様化しつつありますが、今後とも全町的な見地からこれらの課題と真摯に取り組んでまいります。
集落内の広場や排水路等の整備は、地域振興の上から、また生活環境整備の面から重要な役割を持っておりますので、町の整備計画に基づき引き続き積極的に取り組んでまいります。平成九年度は、ポケットパークの整備や新開地区排水路の改修工事を継続して行い、住民の健康の保持増進、安全で快適な環境づくりに努めるとともに、小谷の美石坂の整備を引き続き実施してまいります。
町では、効率的な農業運営を図り、快適で住みよい環境整備のため地域ニーズをふまえこれまで年次的に諸施策を講じてまいりましたが、平成9年度は、佐敷の集落道と兼久の農道を農村総合整備事業で整備してまいります。
全町植物園化構想は、本町の5大ビジョンの一つであり、今後とも町民のご理解のもと佐敷町心豊かなふるさとづくり推進協議会(CGG)等関係機関、団体と協力しつつ、花と緑のまちづくりに取り組んでまいります。
また、緑豊かな潤いある環境整備を図り、自然環境の保全形成をさらに推進するため、引き続き造林事業と取り組んでまいります。
ごみ処理問題は、快適な生活環境整備の一環として行政にとって最重要課題の一つであります。容器包装リサイクル法の施行やごみ問題対策委員会からの答申を受け、平成九年四月からごみの処理方法が大きく変わります。町では、クリーン指導員の活用、広報活動の強化を図り、廃棄物の適正な処理等の指導、ごみ処理問題に対する住民意識の高揚に努めるとともに、東部清掃施設組合や町婦人会等関係団体とも連携しつつごみの五種類分別、減量化及び資源ごみの再利用を推進し、消費型社会から循環型社会への移行を目指してまいります。
懸案であります津波古地区土地区画整理事業につきましては、平成八年度に基本計画を策定しましたので、今後は地主の意識調査を行うとともに農振地域除外の作業に取り組んでまいります。事業実施に向け引き続き地権者との調整に努力してまいります。
また、住民と行政の共同作業を通して、地域特性を生かした特色あるまちづくりを進めるため、引き続き字別振興計画の策定に取り組んでまいります。
住宅近接地域における悪臭の発生は、住民の快適な住環境を損なうものであり、悪臭問題解決ための調査、指導を徹底するなど必要な対策を講じ、環境衛生の向上に努めてまいります。
交通安全対策は、一向に事故の減らない車社会の中にあって、住みよいまちづくりを進める上で緊急、かつ重要な課題であります。悲惨な交通事故の悲劇を繰り返さないためにも、町交通安全推進協議会や関係機関、団体と連携を密にしながら交通事故防止、交通安全思想の高揚を図ってまいります。これまでバス停留所の上屋等交通安全施設を設置してまいりましたが、平成九年度は、字新開のバス停留所の上屋、交通安全スクールゾーン広報板、シルバーゾーン広報板等を設置して住民の安全確保と利便増進に寄与したいと考えております。
地すべり、浸水の災害対策については、地すべり対策事業等を推進し災害から町民の生命と財産を守ってまいります。

4.社会福祉と保健医療の確保
急速に高齢化が進む今日、健康で生きがいのある安心して生涯を過ごせる福祉社会を築くことは、町民の共通した願いであります。高齢化社会が進むなかで高齢者が健康でありつづけ、生きがいをもって暮らせる地域づくりを目標に、健康づくりに取り組み、町民の多様なニーズに対応した総合的な施策を推進してまいります。
老人福祉については、高齢者が健康で楽しく社会生活を過こせるように、町老人保健福祉計画に基づき、デイサービス、ホームヘルプサービス事業の実施とあわせて在宅介護支援センター事業の実施、生きがい健康推進事業、老人クラブ助成事業等を積極的に展開してまいります。また一人暮らし老人のための緊急通報事業・ふれあいコール事業を実施して老人福祉の充実を図ってまいります。
また、町社会福祉協議会では、小規模ネットワークづくり事業のほか新規にボランティアセンターを設置して地域福祉活動を展開することになっており、町としても同協議会を積極的に支援し、活動の充実強化を図ってまいります。
母子・父子福祉については、母子・父子家庭の医療費助成事業、生活相談等を推進し、福祉の充実に努めてまいります。
障害者福祉対策については、更生援護施設入所通所措置事業、舗装具給付事業、日常生活用具給付事業等きめの細かい各種事業を促進するとともに、身体障害者ホームヘルプサービス事業、身体障害者短期入所事業を引き続き実施いたします。また、平成9年度から新たに障害者小規模作業所を開設し、心身に障害のある方々の福祉向上を図ってまいります。
児童福祉については、児童の健全育成や働く女性の子育て支援を図るため特別保育事業をはじめ放課後児童対策事業等を引き続き推進し、児童福祉対策に努めてまいります。あわせて平成9年度は、児童の健全育成、地域福祉の拠点施設となる町立児童館を字新開地内の職業訓練校跡地に建設着工いたします。
町民が心身ともに生きがいを感じつつ長寿の人生を送るためには疾病予防と健康診断による早期発見や、「栄養、運動、休養」のバランスのとれた健康管理の自助努力が最も大切であります。このような保健医療の重要性を認識し、住民検診や人間ドックによる健康の維持向上を図る事業の充実に努めるとともに、健康相談、健康教育、訪問指導、機能訓練等の成人病対策事業を実施し、町民の健康増進を図りたいと考えております。基本的には、「自分の健康は自分で守るしという認識のもとに、健康づくり推進大会をはじめとして健康づくり諸事業を町ぐるみで展開していく所存であります。
国民健康保険制度は、お互いが助け合う相互扶助の精神により、今日まで多くの町民の医療の確保と健康保持に大きく貢献してまいりました。しかしながら、近年の国保財政は県平均を上回る医療費増大により、運営の面から憂慮すべき事態となっております。健全な国保財政の運営のために、保健、福祉活動とも連携をはかり、日常生活での健康管理による予防の徹底を図る所存であります。レセプト点検等の医療費適正化対策事業、並びに保健施設事業等に取り組み、年々増大の傾向にある医療費の抑制に努めてまいります。また、保険税徴収体制を強化し、徴収率の向上を図ってまいります。

5.平和行政の推進
沖縄県は、太平洋戦争において我が国唯一の住民を巻込んでの地上戦の地となり、23万人余の尊い命と貴重な文化財や豊かな緑を失いました。また、極東最大の軍事基地が集中する本県は、21世紀への平和構筑のあり方を考える上で様々な示唆を与える場でもあります。昨年9月に実施された県民投票の結果は、基地のない平和な県づくりを願う県民の意志が明確に示されたものといえます。
このような歴史と現実をふまえ、過去の悲惨な戦争体験の教訓を正しく継承し、平和で明るい佐敷町をつくすため、学校における平和教育、平和体験学習の充実努めます。
県では、国際都市形成構想の具体化の一環として、「多極分散型国土形成法」に基づく本島中南部県域における振興拠点地域の形成に向けた整備を図ることにしています。中でも、佐敷町から糸満市に及ぶ南部海岸リゾート拠点は、平和をテーマとした国際交流と健康を中心に握える国際リゾート拠点の形成が目指されています。
町としては今後とも、国や県の動向に注目しつつ、自尻地域振興開発推進協議会はじめ関係機関・団体と連堆しながら、平和・健康を基調とした南部地域の均衡ある発展を目指し、ヘルシーリゾート計画の実現に取り組んでまいります。

おわりに
平成8年度は、町民、議会議員の皆さま方のご理解とご協力のおかげをもちまして円滑かつ適正な行財政運営が図られ、次のような成果が得られましたことに対し心から感謝申し上げます。
行政改革を推進し、多様化する住民サービスに迅速・的確に対応するため役場の大幅な機構改革を行い、企画財政課をはじめ、健康課、都市計画課、生涯学習課を新設しました。住民サービスの一層の向上を図るため今後とも事務事業の見直し、窓ロサービス業務の改善に努めてまいります。
小谷の美石坂ヒージャー御廻り整備事業の一環としてトンネルがじゅまる、下茂の井周辺の散歩道が完成し、引き続き関連事業が取り組まれております。
農業基盤整備事業につきましては、県営浜崎土地改良事業が地主から要望のある側溝等の工事施行、換地業務が佐敷町文化センター駐車場と並行して取り組まれております。新里地区につきましては、面工事がほぼ完了しております。また、伊原地区と新里地区の両農地保全事業につきましても、関係各位のご協力のもとに計画どおり進捗いたしております。さらに、ビニールハウス等の近代化施設の整備も引き続き行われているところであります。
基幹作目であるさとうきび収穫作業の大幅な省力化と農家の労力軽減を図るため、国・県の補助金を受けてハーベスターが初めて導入されました。今後、農業の高齢化対策、耕作放棄地の解消に寄与するものと期待されております。
町道幹線整備事業につきましては、つきしろ一号線が予定どおり工事が進み、計画の約70%程度進捗しております。仲伊保海岸線、伊原・屋比久線その他の町道関係についても関係各位のご協力により概ね順調に推進されております。
廃棄物の排出を抑制し、適正な分別収集の促進により町民の健康で快適な生活を確保することを目的に条例改正が行われ、本年4月1日からごみの処理方法が大きく変わることになりました。
教育関係では、待望の佐敷小学校体育館が立派に完成いたしました。教育環境の整備により学校教育の充実、子供たちの健康増進、スポーツ活動の発展に大きく寄与するものと喜ばれております。
「ゆらてぃあしばなさしきんちゅ」をテーマに開催された第3回さしきまつりは、町内外からの多彩な催しで大きな盛り上がりをみせ、大成功をおさめました。まちづくりに対する町民の意欲と情熱が結実し、躍動する佐敷を象徴する一大イベントとなりました。また、まつりの一環として公演された総合劇「ぐわんぐわんタンメーちゃーがんじゅう」は、多数の町民の参加で共感と感動を呼び、地域に根ざした住民参加のシュガーホール活用に大きな弾みをつけました。
社会福祉につきましては、町民はじめ社会福祉団体等のご協力のもと各事業とも堅実に推進されておりますが、中でも高齢者生きがい健康推進事業は、お年寄りをはじめ関係者から好評を得ております。
さらに、建設が急がれていました県営仲伊保団地も近ぢか完成の運びとなっております。良好な住環境が提供され、入居の暁には、青年層の増加により東側地域の少子化対策、地域活性化に貢献するものと期待いたしております。
町では、現今の地方分権をめぐる論議や動向を注視し、かつ行財政を取り巻く厳しい環境をふまえ、行政改革推進委員会からの答申に基づき第二次行政改革大綱を策定いたしました。その中では、(一)財政の効率的運用(二)自己財源の確保、諸税収対策(三)職員の資質向上、意識改革、使命感醸成(四)組織体制の強化等が主要な課題となっております。今日の不況の深刻化、景気低迷の長期化で厳しい財政状況にあって、山積する新しい行政需要に適切に対応するためにも、いま強力な行政改革の推進が求められているところであります。
私は、この困難なときに当たり、職員一丸となってその課題解決に精魂を傾け、町勢の発展、町民生活の向上を図り、町民と共に歩むまちづくりに一層努力する決意であります。
ここに、議員各位、町民皆様のご指導、ご協力をお願い申し上げまして平成9年度の施政方針といたします。

平成9年3月12日
佐敷町長 津波元徳

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大分類 テキスト
資料コード 008450
内容コード G000000697-0004
資料群 旧佐敷町(佐敷村)広報
資料グループ 広報さしき 第237号(1997年4月)
ページ 4-9
年代区分 1990年代
キーワード 広報
場所 佐敷
発行年月日 1997/04/10
公開日 2023/12/13