なんじょうデジタルアーカイブ Nanjo Digital Archives

俳壇さしき

文化協会俳句教室一月例会より。瀬底月城選

マラソン一団過る去年今年 崎間恒夫
(評)車社会の人々は足を使わなくなった。強歩、ジョギングで足を鍛える。日々の練習を、年越しマラソンで競い合う。初日を浴びつつ走る友と出会い、ついガンバレの声が出る。去年今年は新年の季語。

年賀状家族の写真増えにけり 安里洋子
(評)近年印刷技術の発達により、家族のカラー写真の年賀状が多くなった。今年は家族が一人増えましたとある。特に親しい人とのほほえましい交流の中から佳句が生まれる。

寒雨の恵み貯めをり島のダム 我謝隆
(評)社会生活が進み、家庭風呂、水洗トイレが出来、水道水も多く使う。「寒雨の恵み」には、古来の「水は命の泉」で泉や産井を拝む宗教的感覚がある。感謝と祈りの句であろう。

元旦の村を響むる御前風 幸喜正吉
(評)沖縄の祝い事には、祝いの五曲が演奏される。新年には「新玉の年に炭と昆布飾てぃ…」の、かぎやで風節から始まる。近年まで、親族の各戸まわりの「廻礼」もあり、賑やかに祝ったものだが・・・

元日や島震憾の少女の死 渡真利春佳
(評)祝福すべき元日に、前の年に拉致された少女の遺体発見のニュース。島をあげて無事を祈ったのに。発見にほっとしつつも悲しい元日ではあった。少女への鎮魂の句である。「震憾とはふるえ動くこと」

※選者吟
古畳俳句かるたの孫五人

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大分類 テキスト
資料コード 008449
内容コード G000000691-0005
資料群 旧佐敷町(佐敷村)広報
資料グループ 広報さしき 第235号(1997年2月)
ページ 5
年代区分 1990年代
キーワード 広報
場所 佐敷
発行年月日 1997/02/10
公開日 2023/12/13