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ハーベスター導入元年 収穫作業の大幅な省力化に一役 キビ作高齢農家に朗報

さとうきびの収穫を機械化し、キビ作農家の労力軽減を図ろうと、このほど佐敷町で初めてのハーベスターが導入され、1月21日、その実演会が行われました。年々農家の高齢化が進み、生産の減少、遊休農地や耕作放棄地の増加などが深刻化する中、その画期的な解決策として、期待がかけられています。

今回導入されたハーベスターは、島尻東農協が農業生産体制強化総合推進対策事業で、国・県の補助金をうけて購入したもの。字仲伊保地区を対象に、収穫の機械化が図られます。
実演会場となった字冨祖崎の畑には、総合事務局、県、農協、役場の関係者をはじめ多数の農家の皆さんが参加。機械が作動する様子に、熱心に見入っていました。

機械化で収穫が楽に
これまでさとうきびの収穫はほとんど人力で行われてきており、農家の高齢化や労働力不足により
・植え付けたくても収穫することができなくてあきらめてしまう。
・刈り取りから搬出まで時間がかかりすぎ、その間に糖度の低下などをひきおこす。
など生産量の減少や品貿の低下、遊休地の増加などを招いていました。
ハーベスターの導入で収穫作業の大幅な省力化が図られることになり、これらの問題の解決が期待されます。さらに、余った労働力を野菜のハウス栽培など儲けの大きい作物の栽培にふりむけ、農家所得の増加につなげていくこともできます。
ハーベスターには大・中・小型の機種がありますが、今回導入されたのは小型。一筆あたりの農地面積が狭く、土壌の粘質性が高い佐敷の特性に合うよう、小回りが利き、重量が軽く畑を荒らさない小型が選ばれました。
機械の購入価格は収穫袋30袋をあわせて、約1550万円。計算上の作業能力は1日(6時間)に720坪の畑の作物を収穫することが可能です。

効率的に運用するために
今年の機械使用申し込みはすでに締め切られており、受け付けた農協職員は「農家60世帯の申し込みが殺到したが、作業能率の点から管理の行きた届いた50世帯にしぼらさせていただいた」と嬉しい悲鳴を上げています。
なお、機械使用料はオペレーター人件費を含めて1tあたり6000円。1tは約2万円で取引されていることから、1tで約1万4000円から諸経費を引いた分が農家の所得となります。
また、機械の作業能率は、畑の集団性や手入れの状況によって、かなり差が出ることから、役場・農協関係者は利用を希望する農家に対し
①うね幅を1m40㎝以上とること、
②株揃え、除けつ、除草、肥培管理、病害虫防除など最小限の手入れを行うこと、
③機械化に適した品種を選ぶこと、などの点で協力を求めています。
実演会を見学した農家の方からは、「収入は減るが、収穫に人出がかからなくてすむのだからとても助かる」「これなら畑を機械で荒らされる心配がない」などの声が聞かれ、なかなか好評。役場経済課の仲村課長は「機械化によって年々減少していたさとうきび生産が上向くのでは。遊休地の解消や基幹産業であるさとうきび作を育てる点から意義は大きい」と話していました。
佐敷町でのハーベスター導入は今回の1台を皮切りに、今後も計画しており、農業全体の活性化が図られます。

ダウンロード https://docs.google.com/uc?export=download&id=1VKsUWb8EvZ6o3WbleLR1RCWvhnf_JTze
大分類 テキスト
資料コード 008449
内容コード G000000691-0002
資料群 旧佐敷町(佐敷村)広報
資料グループ 広報さしき 第235号(1997年2月)
ページ 2-3
年代区分 1990年代
キーワード 広報
場所 佐敷
発行年月日 1997/02/10
公開日 2023/12/13