なんじょうデジタルアーカイブ Nanjo Digital Archives

俳壇さしき

文化協会俳句教室10月例会より。瀬底月城選

子規の忌や柿の色づく鄙の家 安里洋子
(評)正岡子規(まさおかしき)の亡くなった日を子規忌と言い「柿食へば鐘(かね)が鳴るなり法隆寺」の名句がある。洋子の句は、子規の句を思い出しつつ、鄙(ひな)の家(田舎の家)の柿の様子を簡潔にまとめた。

立待月基地返還を期するなり 幸喜正吉
(評)米軍基地の早期返還を待ち続ける県民の心が句となる。
現在の基地被害と二度と沖縄が戦場とならないようにと期待する
「タッチン、ヰーチン、居ララン」気持を「立待月(たちまちづき)」=十七夜=で表現する。

シャガールの「青の恋人」秋立ちぬ いなみ悦
(評)展覧会などで見るロシア生れのシャガールの、詩的で幻想的な画風を「青の恋人」から見出す。画を愛し俳句を詠む作者の詩情を淡淡と述べた句。時まさに爽やかな秋である。

高潮や舟小屋に舟ひとつづつ 山城百合子
(評)台風のとき、海の潮が高くなって陸に押し寄せる。これが高潮(たかしお)(秋の季語)である。大事な漁舟や貸し舟を舟小屋に引き上げて護る。舟と家業への愛情をこめた写生句。舟は小舟。船は大型のふね。

ジンジャーの白き香りの窓開く 照喜名喜美江
(評)生姜(しょうが)に似た葉で、佳い香りのする白い花のジンジャーが庭に咲いている。
窓を開けると甘い香りが入りこむ。南方原産なので、沖縄では露地(ろぢ)でも咲く。秋の季語。

※選者句
噛み試す垣根越しなる藩石榴

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大分類 テキスト
資料コード 008449
内容コード G000000688-0007
資料群 旧佐敷町(佐敷村)広報
資料グループ 広報さしき 第232号(1996年11月)
ページ 5
年代区分 1990年代
キーワード 広報
場所 佐敷
発行年月日 1996/11/10
公開日 2023/12/13