スポーツを通して得たこと
佐敷中学校3年 宮城佳悟
「僕はエイズです」もし、僕がこう言ったとしたら、あなたは今まで通り遊んでくれますか。多分大半の人は100パーセント自身をもって、「僕は大丈夫」と言えないのではないでしょうか。スポーツに出会う前の僕が自分の友達に、同じことを打ちあけられたとしたら…。普通に接することはできなかった気がします。もちろん、そのころだって日常生活を送っている分には感染しないことは知識としてわかっています。
では何処か…。それでも心のどこかにある感染への不安やまわりの目、「病気のせいで何もできないだろう」という同情する気持など、僕の中にエイズに対する偏見ともいえる考えがこびりついていたからです。
でも、そんな僕の考えを変えてくれた人がいました。それは今、全米で活躍しているマジック・ジョンソンです。彼は発病こそしていませんが、エイズに感染しています。しかし、彼は堂々とエイズ感染者であることを発表しバルセロナオリンピックに出場しました。そこでみんなと共にコートを走り、汗を流してぶつかり合ったのです。
それは僕にとって衝撃でした。エイズに感染している人が、バスケットをしている…。見ているこっちまで熱くさせる最高としかいいようのないプレイの数々…。僕は画面にくぎづけになっていました。一瞬、エイズという病気はなんでもないんじゃないかと思ってしまったほどです。
こんなこともありました。僕が1年生の頃ある中学校にバスケットの練習試合に行った時のことです。そこの選手の中に、1人右手首までしかない人がいたのです。 最初はてっきりマネージャーだと思いました。ところが彼は試合直前にユニフォームを着て次の瞬間コートに立っていたのです。僕は驚きました。心のどこかで、
「こんな奴に何ができる」
と思って気をぬいていました。ところが彼はその試合で3Pを5本もきめたのです。 1試合で3Pを5本きめるというのは、本当にむずかしいことです。それをハンディをもっているはずの彼はいとも簡単にきめてしまったのです。後できいた話ですが、その人の右手は交通事故でなくしてしまったそうです。利き手を失った彼は、全てを左手でしなくてはならなかったのです。それだけでもそうとうな努力をしたと思います。しかし彼は大好きなバスケットをやめませんでした。左手で毎日練習をはじめたのです。あの5本の3Pに隠された汗と涙を想うと、シュートが少し入るからと図にのっていた自分が本当にはずかしくなります。
病気って何でしょうか。障害って何でしょうか。それは一見、不幸に思われます。
もちろん苦しいことやつらいことは人一倍多いことでしょう。でも僕は、この目で見ました。彼もマジック・ジョンソンも、本当に輝いていたのを。
僕は今まで、病気の人や障害をもっている人のことを「かわいそう」という言葉の裏で自分より劣っていると感じて差別していた気がします。
幸せな人ってどんな人でしょう。健康な人、お金のたくさんある人…。僕は本当に輝くことが出来る人だと思います。自分だけの何かをみつけ出して、努力できる人こそ輝けるのです。
僕はスポーツを通して「健康な精神」からおこるさまざまな可能性に気付くことができました。健康な身体でなんにでもとりくんでいける自分自身をきたえあげ、どんな苦しい場面に出会っても負けない本当に輝ける人生を歩んでいきたいと思っています。
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大分類 | テキスト |
資料コード | 008449 |
内容コード | G000000688-0005 |
資料群 | 旧佐敷町(佐敷村)広報 |
資料グループ | 広報さしき 第232号(1996年11月) |
ページ | 4 |
年代区分 | 1990年代 |
キーワード | 広報 |
場所 | 佐敷 |
発行年月日 | 1996/11/10 |
公開日 | 2023/12/13 |