文化協会俳句教室八月例会より。瀬底月城選
直撃の大台風の大きな目 城間睦人
(評)巨大台風十二号は、大きな目で沖縄本島を直撃。衛星写眞で、あの沖縄大戦中、米艦船が本島を包囲した事を連想する。この句は「大」を重ねて効果を増した。俳句は單純さの中に多くの連想の余地がある。
剥落の土塀にたわわ夏蜜柑 新垣春子
(評)塗喰の剥がれた土塀(土造り垣)を越えて、屋敷内の夏蜜柑が澤山、おいしそうに垂れ下っている。古い町並と大きな屋敷、みかん所を想像させる。旅の句であろう。
沢藤の落花の明り掃きのこす 眞栄城佐月
(評)沢藤は下り花ともいい、藤の花のように垂れ下り、数百の雄蕊が花びらのように、上から順々に開く。夜中に開花し、朝、蕊を上にして落ちる。まだ美しいので、掃き残したというのだ。俳句する人々は愛情が深い。
めど萩の東門口に霊迎ふ 与那嶺末子
(評)めど萩は精霊萩(しょうりょうはぎ)とも言い、束ねて霊迎え(うんけー)の門口の洗面器などの水に浸しておく。これは後生(ぐそう)からの祖霊がお淨めをして家にお入りになるためのもの。御先祖と現世をむすぶ良風は残したいものです。
台風眼島がすっぽり捕虜となる 安谷屋竹美
(評)8月12、3日の大型台風の目の中に、20時間も沖縄本島を「とりこ」にした。
その後の返し風も長く、日本列島に吹き荒れた。捕虜にするとは面白い表現で秀句となった。
※選者吟
体重のわづかに増ゆる青葉かな
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大分類 | テキスト |
資料コード | 008449 |
内容コード | G000000686-0009 |
資料群 | 旧佐敷町(佐敷村)広報 |
資料グループ | 広報さしき 第230号(1996年9月) |
ページ | 6 |
年代区分 | 1990年代 |
キーワード | 広報 |
場所 | 佐敷 |
発行年月日 | 1996/09/10 |
公開日 | 2023/12/13 |