なんじょうデジタルアーカイブ Nanjo Digital Archives

俳壇さしき

文化協会俳句教室7月例会より。山城青尚選

爪立ちて肩越しに見る夏芝居 垣花和
(評)満目さみどりに包まれ、天も地も輝き、動植物も活動繁茂する時季に、豊年満作を願った芝居が始まった。見物客が多くて、その肩越しに爪先立ちにのぞいて見た。素晴らしい郷土芸能に魅せられた佳句。

軍服の遺影古びし夏座敷 渡真利春佳
(評)夏になると、太平洋戦争で亡くなられた方々のことが思い出される。特に沖縄慰霊の日
を迎えて一層、その感を深める。座敷の壁には、身内の者の若かりし頃の軍服姿の遺影が飾
られていて、涙を誘った。平和の尊さを願った佳句。

安須森の背に聳ゆる雲の嶺 崎間恒夫
(評)アマミキヨが降臨されたといわれる安須森に御嶽が鎮座している。その背後に、鋭い輪
郭を持つ雄大な積雲がむくむくと費えている。豊作を予祝する神の仕業であろう。両者の取
り合わせが効いている。

子供らも水からくりも躍りけり 山城百合子
(評)子供らがわいわい騒ぎながら、水を入れた容器を高い所に置き、細い管で水を落とし、
それを噴水にして。水先で人形を動かす遊びをしている。笑い声の絶えない明るい句。

重千代像長寿記念の黒木咲く 幸喜正吉
(評)121歳の長寿を全うした泉重千代翁の実家の庭には、記念に植えられた黒木が花を咲かせていた。長寿にあやかって、翁の銅像に頭を垂れたのだ。徳之島吟行の成果。

※選者句 老鶯や弁解つづくオウム教

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大分類 テキスト
資料コード 008449
内容コード G000000685-0011
資料群 旧佐敷町(佐敷村)広報
資料グループ 広報さしき 第229号(1996年8月)
ページ 10
年代区分 1990年代
キーワード 広報
場所 佐敷
発行年月日 1996/08/10
公開日 2023/12/12