なんじょうデジタルアーカイブ Nanjo Digital Archives

俳壇さしき

文化協会俳句教室五月例会より山城青尚 選

戸籍簿のまた一人減る走り梅雨 新垣春子
(評)戸籍簿から、親しい方が一人減った。生前の面影がしのばれて悲しくなった。うっとうしい走り梅雨は死んだ方に対する惜別の涙であろう。死というものをよく把握した佳句。

安須森の肝すだれ風椎若葉 いなみ悦
(評)国頭村にある御嶽で、阿摩美久が最初に創成したといわれる安須森に登った。折からの涼風に椎の若葉がそよいで、心が癒されるようだ、という自然とのふれ合いを詠んだ佳句。

はますげの繁るにまかす改良地 真栄城佐月
(評)土地改良区に一斉にブルドーザーが唸っていた。ところがブルに掻き廻されたため、辺
りははますげ (コーブシ) が生い茂るようになった。百姓達の苦り切った表情が生き生きと
描かれている。

七十の師の飄々として春叙勲 我謝隆
(評)この度、瀬底月城さんが春の叙勲に輝いた。世俗に拘らず超然とした月城氏に対する挨
拶句である。

甘蔗畑に肥の効きくる穀雨かな 城間睦人
(評)四月二十日頃に降る雨で、百穀を生ずるといわれる節気に、甘蔗苗がすくすくと成長しているさまを、よく捉えている。

※選者句
渚より寄物(ユイムン)ひろふうりずん南風

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大分類 テキスト
資料コード 008449
内容コード G000000682-0011
資料群 旧佐敷町(佐敷村)広報
資料グループ 広報さしき 第227号(1996年6月)
ページ 10
年代区分 1990年代
キーワード 広報
場所 佐敷
発行年月日 1996/06/10
公開日 2023/12/12