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平成8年度施政方針

○はじめに
平成8年第121回佐敷町議会定例会に当たり提案致しました平成8年度当初予算をはじめ、条例その他の議案のご説明に先立ち、町政運営についての基本方針を申し述べ、議員各位をはじめ町民の皆さまのご理解とご協力を賜りたいと存じます。
佐敷町にとって多くの分野において対処しなければならない重要な時期に町政を付託されて以来早くも3年目を迎えました。私は、これまでの事業実績を踏まえ、佐敷町民にとって将来に夢と希望の持てる、そしてこの町に生まれたことに自信と誇りを持つことができるまちづくりを目指し、公約しました諸施策の推進に町民と共に心を一つにして適進する決意を新たにしているところであります。そして、町政をあずかることの重大さを全身で受けとめ、誠心誠意をもって町政に取り組んでまいる所存でございます。
ところで、昨年は、太平洋・沖縄戦終結50周年の節目に当たり、町民の力強いご支援ご協力のもと多彩な事業を行い、地域文化の継承・発展、明るく住みよいまちづくりに努めてきたところであります。終戦50周年事業をしめくくる最後の事業である「佐敷町平和祈念像」の建立につきましても、本年1月に建立期成会を設立いたしましてその事業実施に向けて取り組みが進んでいるところでございます。
さて、我が国経済は円高の動向に歯止めがかかったことや、公共投資の追加等の経済対策が切れ目なく実施されたこともあって、一旦足踏みした景気は今後民間需要が次第に力を増し、自立回復に推移するものと見込まれています。
一方、県経済は、個人消費が総じて堅調に推移し、公共投資の着実な伸びや観光が好調であるほか、企業の景気にも総じて改善が見られるなど、県内景気は徐々に回復度合いが見込まれているとはいえ、雇用・失業の面においては依然として厳しい状況下にあります。
本町にあっては、昨年度から文化センターの起債償還が始まったことに加え平成8年度は馬天小学校特別教室の新増築、農業基盤整備事業、新規の佐敷手登根線道路改良工事など財政需要が旺盛なこともあって財政状況はきわめて厳しいものがあります。
したがいまして、内外の経済社会の動向を踏まえつつ、公共事業の弾力的な執行や適切かつ効率的な財政運営に努めてまいる所存であります。

○基本施策
いまや時代は、ものの豊かさに価値観を見いだす物質中心主義が終焉を迎え、多様な価値観と自主性を尊重する時代に移行していると言われております。地域づくりにおいても、国は、多極分散型国土の形成に向けて、地域の自主性と責任にもとづいた豊かな地域社会の創造を目指し、さまざまな支援施策を行っております。また近年、地方分権の流れも顕著になってきております。
このような時代潮流の中で、本町においても将来に向かって明確な目標を掲げ、地域の個性を生かしたまちづくりを進めなければなりません。
本町では、これまで第二次基本構想のもと、地域に根ざした新たなまちづくりと取り組んでまいりました。町民の皆さまのご理解とご支援をエネルギーに、現在、まちづくりは本町が目指す目標に向かって着実に進展しつつあります。
私は、「平和・公正・公平・清潔・思いやり」を基本理念に、常に初心を忘れることなく、町民と共に歩む町政を進展させ、子供たちの夢を育み、21世紀を切り開く佐敷町を展望したいと考えております。
町政運営に当たっては、平和憲法の理念を尊重しつつ、「人間的ふれ合いのある潤いあるまちづくり」「町民に夢と希望を与える明るいまちづくり」「思いやりとやすらぎのある平和なまちづくり」の3点を基本姿勢に、町民に開かれた公正・公平、町民参加の行政を進めてまいりたいと存じます。
以上の公約実現と山積する諸問題の解決は、昨今の厳しい地方財政の下では大きな困難が予想されます。しかしながら、この障壁も職員の創意工夫と行動力で乗り越えてまいりたいと考えております。
本町の行財政運営の基本施策は、「産業振興と社会資本の整備」「教育・文化の振興」「住みよい環境整備」「社会福祉と保健医療の確保」であります。平成8年度はこの基本施策を踏まえつつ、町民の英知を結集し、自らの地域に誇りと愛着が持てるまちづくりにさらに努力を重ねてまいる所存であります。
「産業振興と社会資本の整備」
諸産業の振興は、地域発展の原動力であり、夢と希望の膨らむ活力ある佐敷町建設に大きな役割を果たすものです。本町の産業構造は、農業を基幹とする漁業、商工業で構成されますが、中でも、さとうきび作をはじめとする農業は、変動する内外情勢の影響を受け、厳しい対応を余儀なくされております。今後、JAや農業関係団体等とも連絡調整を図りながら、農業生産の拡大、後継者の育成、農村環境の整備等の推進に一層の努力を重ねるとともに、商工業、漁業の活性化に取り組み、本町産業の振興に努力してまいります。
また、本町主要プロジェクトとして取り組んでまいりましたMTP構想は、第3次沖縄振興開発計画に位置づけられており、平成9年度の埋立免許取得に向け、港湾計画の変更及び免許出願に向けた諸調査を実施してまいります。
また、島尻地域の総合的な整備を図るヘルシーリゾート構想については、南部市町村と一体となってその事業推進に努めてまいります。あわせて、南部東道路の整備事業、佐敷町公共下水道事業についても、町民の要望を反映した円滑な事業推進ができるよう努力してまいります。

「教育・文化の振興」
本町は、「まちづくりは人づくりから」を基本理念に、教育・文化のまちづくりを地域振興の柱のひとつに掲げ、町民一体となって取り組んでまいりました。先人たちが築いてまいりました伝統を正しく受け継ぎ、情報化、国際化などの社会動向をふまえ、町民のニーズに対応した幼児教育、学校教育、生涯学習等の振興を図るとともに、町史編集、文化財行政など地域文化の発展のための施策を推進してまいります。
平成6年の開館以来、音楽によるまちづくりの拠点として内外の期待と注目を集めている佐敷町文化センター・シュガーホールについては、住民のニーズに応え、より地域に開かれ親しまれる住民参加型の文化施設として計画的、効率的な運用を図ってまいります。
また、平成8年度は、町の活性化を図るため芸能・文化を中心テーマに「第3回さしきまつり」を開催いたします。

「住みよい環境整備」
心やすらかに過ごせる快適で住みよいまちづくりは、町民すべての願いであり、町政運営の大きな目標であります。これまでも生活道路や排水路、集会施設、街灯、交通安全施設などを年次的に整備してまいりました。今後とも、これらの事業を継続、整備しつつ、自然との調和を大切にしながら、生活環境の整備や全町植物園化構想の推進等、事業の実施と取り組んでまいります。
町政における永年の懸案事項であります津波古土地区画整理事業につきましては、円滑な事業実施に向け地権者との話し合いを進めてまいります。

「社会福祉と保健医療の確保」
人口の高齢化が一段と進み長寿社会を迎えようとしている中、福祉に対する二ーズはますます高まりつつあります。それだけに、町民が健康で安心して暮らせるまちづくりが希求されているところであります。今後ともさらなる連帯の精神を培い、福祉の風土づくりを進めてまいります。福祉需要の増大、多様化に対応し、きめ細やかな福祉サービスを提供するため、高齢者、児童、母子、障害者福祉や健康づくり、医療費適正化対策事業など、社会福祉と保健医療に関する諸事業の促進に努めてまいります。

一、産業振興と社会資本の整備
産業の振興と社会資本の整備は、地域の均衡ある発展と町民の所得の向上並びに産業活動における利便性、安全性を確保する意味からも重要であり、関係機関との緊密な連携のもと、重点事業として取り組んでまいります。
農業の振興については、都市化の波が押し寄せる中、優良農地の保全秩序ある開発整備を基本に、農業生産拡大のための野菜共同温室の導入や導水管敷設事業等近代化施設の整備を促進していく所存であります。更に、農地流動化推進委員や関係機関との連携を深め、農地の有効利用、中核的農家への流動化に努めてまいります。
昭和57年から始まった町内各地区の土地改良事業も津波古地区はじめ浜崎土地改良区等順調に推移し、整備率がおおよそ84%となりました。平成8年度も農家のコンセンサスを得て親田原地区の事業推進に努める所存であります
団体営農地保全整備事業の伊原地区は、排水路の土砂の堆積や氾濫による作物被害を防止するために水兼農道及びほ場整備を実施します。新里地区は、赤畑原のほ場整備に向け事業推進に取り組んでまいります。
さらに農地を保全する意味から、新里、津波古、つきしろ地区に、土砂崩壊防止のためのため池等整備事業を実施します。
さとうきびの品質の向上及び生産拡大を図るため、さとうきび優良種苗安定確保事業を推進するとともに、機械化作業体系の確立に努めます。
畜産業は、豚価の低迷や牛肉の自由化等そして環境汚染問題も発生して厳しいものがありますが、家畜予防注射事業や畜産共進会の開催等、畜産の振興に努めてまいります。
水産業の振興は、漁業協同組合との連携を強化し、漁具購入や浮漁礁設置、漁労作業省力機器購入等で漁業の近代化、合理化、構造改善等の実現に取り組みます。
商工業の振興につきましては、商工会とタイアップし、むらおこし開発事業で地域資源、特産品等の開発に取り組み、地域特性を生かし将来を見据えた諸産業の振興を図ってまいります。
町道幹線整備事業については、地域特性を十分活用した、観光・産業を振興し、集落内通過交通の安全確保を図るため仲伊保海岸線を整備します。また、車道・歩道幅員拡張、排水施設不良等を改善するため、佐敷手登根線、屋比久仲伊保遅又線、新里運座線を新規事業で、屋比久遅又線、伊原屋比久線、つきしろ一号線を継続事業でそれぞれ整備します。
南部東道路整備事業につきましては、町民の期待は大きく、その早期実現を求める声が多く寄せられています。町としても、つきしろの街への接続、景観等の保全など地域住民の要望がかなえられるよう強力に取り組んでいきたいと思います。
上水道につきましては、年々増大する水需用に対応するため、水道整備計画に基づいて津波古、佐敷、冨祖崎地区で配水管敷設工事を実施し、つきしろ地区においては高架タンク、送水ポンプ室等の整備を行い、町民が等しく水の恩恵に浴することができますよう最大の努力をいたしてまいります。
下水道につきましては、近年の都市化や生活様式の近代化に伴い、生活雑排水も多くなり、中城湾流域の汚濁が進んでいる状況であり、環境上早めの対策が必要不可欠の都市施設であります。昨年12月に平成8年度事業として認められた中城湾南部流域関連公共下水道につきましては、事業着手に向け実施設計委託業務をすすめてまいります。
豊かな地域づくりに資するとともに、県における新たな観光・リゾート産業の振興に寄与するヘルシーリゾート構想は、基礎調査、基本計画策定を踏まえ、平成8年度は、事業実現に向けての事業推進体制を強化し、国、県の計画等への位置づけを確立していきたいと思います。
中城湾港マリン・タウン・プロジェクト佐敷東地区については、東側のレクリエーション施設用地がトカゲハゼ等の干潟生物環境が厳正に保全できるよう求められていますが、計画変更にあたっては、町益を損なうことがないように取り組んでいく考えであります。
港湾の馬天地区については、漁業協同組合との話し合いを続ける中で、馬天港地区±地利用計画策定業務を委託し、組合関連施設をはじめ湾岸道路等について調査を実施してまいります。

二、教育・文化の振興
本町はこれまで、教育・文化を大事にするまちづくりを町政運営の柱の一つに掲げ、町民一体となって取り組み、多くの有能な入材を社会に送り出してきました。私は今後とも、先人たちが築き上げてまいりましたこの伝統を守り、「まちづくりは人づくりから」を基本理念に、人間性豊かな人材の育成に努めるとともに、学校教育、社会教育、地域文化等の充実、発展に全力を傾けてまいります。また、高齢化社会に対応した生涯学習をはじめ情報化、国際化などにみられるような社会動向に即応した施策の展開にも取り組んでまいります。
創造力に満ちあふれ、心身ともに健康でたくましく、さらに時代の変化に対応できる人間形成と基礎知識を酒養する義務教育については、その重要な役割を認識しこれまで学校教育環境の整備拡充、教育の向上と取り組んでまいりました。平成8年度は、馬天小学校の特別教室新増築工事をはじめ学校教育環境の整備充実に努力してまいります。また、佐敷小学校においては、平成8年度から2年間「生活科」の文部省指定研究校に指定されることになっており、所期の目的が達成されるよう学校との連携を密にして取り組んでまいります。さらに、地域社会への適応能力を高めるために、多様な学習機会の創出に力を注いでまいります。
学力向上対策につきましては、これまで取り組んできた成果を踏まえ、子供たちがのびのびとした環境の中で健やかに成長し、豊かな個性と創造性を発揮できるよう、今後とも学校、家庭、地域の連携を強化しながら町ぐるみで実効ある対策を講じてまいりたいと考えております。
青少年健全育成の推進につきましては、子ども会活動の活性化を図るため今後とも町子ども会育成者連絡協議会を積極的に支援するとともに、青少年育成町民会議の活性化を図り、次代を担う青少年が健全に育成されるよう町ぐるみの運動を展開してまいります。
今日、目まぐるしく変革する社会の中で、心豊かで生きがいある人生を過ごすため「生涯学習」の充実が求められており、社会教育の果たす役割は一段と高まっております。今後とも各種教室、講座を開催し、町民があらゆる分野に参如できる環境づくリに努めるとともに、婦人会、老人クラブはじめ各種団体の育成促進に努めてまいります。とりわけ平成8年度は、ミュージカル公演に意欲的なジュニアコーラスの育成に努め、その活動強化を図ってまいります。
また、文化センターのコミュニティー供用施設の施設内容及び利活用をより充実させるとともに、中央公民館的機能を活かして自治公民館とのネットワークの強化を図ってまいります。
本町のむらおこしの拠点、佐敷町文化センター・シュガーホールは、平成6年の開館以来、国内外の著名な音楽家の演奏会をはじめ町民、県民が優れた舞台芸術に親しんでいただけるような事業推進に努めてまいりました。稼働率もよく現在まで76,000人の観客が訪れ、音楽の町・佐敷の名を内外に高めております。
平成8年度は、「ゆらてぃあしばなサシキンチュ」の開催など、町民が主体的に舞台づくりに関われるよう住民参加型の特色ある企画運営、自主事業の推進に力を入れ、文化センターをより地域に根ざした誇れる文化施設としてまいります。同時に、「おきでんシュガーホール新人演奏会」を引き続き開催するなど、開かれた施設としての活用を図り、地域活性化につながる人材の育成を目指して、長期的展望に立った企画運営に努力してまいります。
地域文化の継承と発展につきましては、豊かな地域資源と町民の創意のもとに「さしき・ルネッサンス構想」の実現に向けた取り組みを進めてまいります。平成8年度は、第一尚氏ゆかりの地「佐敷上グスク」を中心とした史跡・文化財及びその周辺整備を図り地域活性化につなげるため、佐敷上グスク整備構想の策定作業に着手いたします。また、先に実施しました「東御廻り調査事業」の成果をふまえ、佐敷、知念、玉城の3町村共同で東御廻りのパンフレットを作成し、広域的な地域活性化に取り組んでまいりたいと考えております。
すでに「民俗篇」「自然篇」を発刊し、町の正しい姿を知らせる上で大きな役割を担っております佐敷町史編集事業については、現在、「戦争篇」「移民体験篇」の編集に向け精力的な部落入り聞き取り調査や資料収集が行われております。町民主体の町史編集を基本に、今後とも町民の積極的なご理解とご支援をいただきながら事業推進に力を入れてまいります。
また、佐敷町文化協会に対しましては、引き続き支援を行い、組織の充実強化を図り町の文化振興に努めてまいります。
さらに、平成8年度は、町の誇る芸能、文化、産業、健康等をテーマにふるさとの良さを再発見し、明日へのまちづくりの活力を高め町の活性化を図るため、実行委員会を組織して「第3回さしきまつり」を開催いたします。

三、住みよい環境整備
那覇近郊圏に位置する本町にとって、都市化が進展しつつある中での暮らしよい快適なまちづくりは、大変重要な課題のひとつであります。町民の理解と協力のもと、これまで種々の施策を講じ住みよい地域づくりに取り組んでまいりましたが、さらに本町の自然的、社会的特性を活かしながら町民相互が連帯感をもって、健康で文化的な生活が営めるまちづくりを目指して努力を重ねてまいる所存であります。
都市化の波を受け町民生活にも変化の様相をうかがうことができますが、このような中、多様な住民要望を真摯に受け止めつつ、後とも総合的な見地からこれらの課題と取り組み、住みよい環境の整備に力を入れてまいります。
快適で潤いある生活環境整備の面から重要な役割を持っております集落内の広場や排水路等の整備につきましては、引き続き町の整痛計画に基づいて積極的に取り組んでまいります。平成8年度は、ポケットパークの整備や新開地区排水路の改修工事を継続して行い、都市景観の向上、安全で快適な環境づくりに努めてまいります。
また、先に実施しました文化財の下茂の井周辺整備に引き続き、小谷の遊歩道・通称美石坂を整備し、竹細工の里にふさわしいシンボルロードとして広く内外にアピールしたいと思います。
町では、住みよい環境整備のため地域ニーズをふまえこれまで年次的に諸施策を講じてまいりましたが、平成8年度は、新里、佐敷、仲伊保の集落道と小谷の集落排水路を農村総合整備事業で整備してまいります。
花と緑につつまれた潤いのあるまちづくりを目指す全町植物園化構想は、本町の5大ビジョンの一つであり、佐敷町心豊かなふるさとづくり推進協議会(CGG)等関係機関、団体と協力しつつ、町民のご支援をいただきながら今後とも積極的に取り組んでまいります。
昨年は終戦50周年事業の一環として「町民一万本運動」「第1回佐敷町植樹祭」を開催し、緑豊かな潤いある環境整備に努めてまいりましたが、自然環境の保全形成をさらに推進するため、引き続き造林事業と取り組んでまいります。
行政にとって重要な課題の一つであるごみ処理問題につきましては、ごみ問題対策委員会で検討を行うとともに、東部清掃施設組合、町婦人会とも連携しつつごみの再資源化、少量化に努めてまいります。
町民の安全で快適な暮らしの創出と交通安全対策も、住みよいまちづくりの課題の1つであります。平成8年度は、字兼久のバス停留所に上屋を設置して住民の利使の増進と安全確保に寄与したいと考えております。
さらに、町外から本町を訪れる人を目的地にスムーズに誘導するとともに、佐敷町のイメージアップに役立てるため、親しみやすくシンボル性、芸術性を備えた公共施設案内板を設置してまいります。
懸案であります津波古地区土地区画整理事業につきましては、現況測量を終え現在B調査を実施しているところであります。計画的な市街化を図り、安全で快適な生活環境をつくるためには地権者の理解と協力が不可欠でありますので、事業実施に向け引き続き地権者との調整に努力してまいります。
ところで、情報公開や地方分権が進みつつある中、これからのまちづくりのための指針や計画は、住民と行政が共通理解のもと共同して策定していくことが求められています。住民と行政の共同作業を通して、各字の将来目標や事業計画を明らかにするとともに、町の諸行政計画に反映させ、地域特性を生かした特色あるまちつぐりを進めるため、平成8年度から字別振興計画の策定に着手いたします。

四、社会福祉と保健医療の確保
やすらぎのある社会福祉の実現と保健医療の確保は、本格的な高齢社会の到来に備えて、早急にシステムづくりを講じなければならないきわめて重要な課題であります。平成8年度から保健、医療を合体して健康課を新設し、健康づくりに取り組み、福祉部門とも相提携して、町民の多様なニーズに対応した総合的な施策を推進してまいります。
高齢者が健康で楽しく社会生活を過ごせるような生きがいのあるまちづくりも、町政の柱のひとつです。佐敷町老人保健福祉計画に基づき、老人デイサービス運営事業、老人ホームヘルプサービス事業等在宅福祉対策の拡充を図るとともに、老人クラブ助成事業、生きがい健康推進事業等を積極的に展開してまいります。また、新規事業として一人暮らし老人のための緊急通報事業、ふれあいコール事業を実施してまいります。
さらに、地域福祉活動計画に基づき、地域福祉の基盤強化のためネットワーク事業やボランティア運営事業など社会福祉協議会の充実を図り、福祉マンパワーの確保と民生委員活動の強化に努めます。また、母子及び父子家庭の医療費助成事業を推進し、母子家庭等の福祉の増進を図ってまいります。あわせて、児童の健全育成や働く女性の子育て支援を図るため特別保育事業をはじめ放課後児童対策等を引き続き推進し、児童福祉対策に努めてまいります。同時に平成8年度は、今後の児童館整備に向け調査を進めてまいります。
障害者福祉対策につきましては、障害者基本計画の策定に着手し、更生援護施設入所通所措置事業、補装具給付事業、日常生活用具給付事業、新規の視覚障害者ガイドヘルパー派遣事業等きめの細かい事業を促進してまいります。また、身体障害者ホームヘルプサービス事業、身体障害者短期入所事業を引き続き実施し、心身に障害のある人への配慮を深め、障害者にやさしい町になるよう努力してまいります。
健康づくりで将来安心のできる長寿社会を実現するため、病気との闘いから病気の予防へと、健康に対する住民の意識は、年々高まっております。新設されます健康課は、時代の要請であり、保健婦をはじめとする体制の強化により、各種事業に機能的に取り組めるものと期待しています。昭和62年に沖縄県で初めて全国保健衛生大会で厚生大臣表彰を受けた原点に今一度立ち返り、基本的には、自分の健康は自分で守るという認識のもとに、健康づくり推進大会をはじめとして健康づくり諸事業を町ぐるみで展開していく所存であります。
近年の高齢化、少子化社会と医学進歩による医療費の増大、ライフスタイルの変化等に伴い、本町でも保険医療を取り巻く状況は大きく変貌しつつあります。特に本町の老人保健分1人当たり医療費は県平均を大きく上回っており、国保財政運営の面から憂慮すべき事態となっております。国民健康保険事業におきましては、レセプト点検等の医療費適正化対策事業、並びに保健施設事業等に取り組み、年々増大の傾向にある医療費の抑制に取り組んでまいります。また、保険税徴収体制を強化し、徴収率の向上を図り、国保運営の健全化を図ってまいりたいと存じます。

○おわりに
平成7年度は、町民、議会議員の皆さま方のご協力を得まして、行政運営が円滑に遂行でき次のような成果が得られましたことに対し心から感謝申し上げます。
終戦50周年記念事業が町民挙げて取り組まれ、悲惨な沖縄戦や戦後を振り返り「平和」の尊さを再認識する機会となりました。その主な事業として、愛と平和の映画フェスティバルをはじめ、宮崎県高千穂町との姉妹都市提携、慰霊塔周辺の環境整備、世界のウチナーンチュ大会歓迎交流会、第一回植樹祭等が開催され、これから迎える21世紀への架け橋として意義深いものがありました。
県営浜崎地区土地改良事業も関係各位のご協力により平成7年度で工事完了となり、今後は換地業務を残すのみとなりました。とりわけ、仲伊保地区につきましてはほぼ100%の事業完了となりました。また、その他の農業基盤関係及び近代化施設の整備等も関係各位のご支援のもとスムーズに進捗いたしております。
町道幹線整備事業につきましては、佐敷・仲伊保線が地権者のご協力により全路線開通となり、仲伊保海岸線改築事業が新規事業としてスタートしました。さらに、平成8年度に完成予定の県営仲伊保団地がこのほど着工の運びとなりました。
本町にとって大きなプロジェクトであるマリンタウン・プロジェクトにつきましては、県においてトカゲハゼの調査・現況調査等が完了、一歩一歩順調に推移し、また、ヘルシーリゾート構想も事業推進に向け着実な進展を見せております。
平成7年度から高齢者ふれあい健康づくり事業を3地区開始致しましたが、本事業は人生80年を前提とした高齢化対策事業のモデルとして注目されております。
いまや、地方分権の推進が時代の大きな流れとなっており、地方自治体の果たすべき役割もますます重要になってきております。また、行財政を取り巻く厳しい環境をふまえ、社会の変化に対応した行政改革を推進するため、町では行政改革推進本部を設置致しました。現在、住民の代表者等からなる行政改革推進委員会等を設置し、行政改革大綱の策定に取り組んでいるところであります。
とりわけ平成8年度は、現今の社会動向と多様化する行政ニーズに迅速、的確に対応するため健康課、企画財政課、都市計画課及び生涯学習課を新設するなど、抜本的な組織機構の改革を行うことに致しました。職員一丸となって行政全般にわたる事務事業の見直し、行財政の簡素、効率化を進めるとともに、新たに庁舎を建設して執務環境の改善を図り、住民
サービスのより一層の向上に努めてまいります。
私は、職責の重大さを今一度認識するとともに、本日提案致しました議案について、誠実に実行し、「平和、公正、公平、清潔、おもいやり」を基本に、町民と共に歩むまちづくりにさらに全身全霊を傾ける所存であります。なにとそ、議員各位におかれましては、慎重なるご審議の上、議決を賜りますようお願い申し上げます。

平成8年3月12日
佐敷町長 津波元德

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大分類 テキスト
資料コード 008449
内容コード G000000680-0005
資料群 旧佐敷町(佐敷村)広報
資料グループ 広報さしき 第225号(1996年4月)
ページ 4-9
年代区分 1990年代
キーワード 広報
場所 佐敷
発行年月日 1996/04/10
公開日 2023/12/12