なんじょうデジタルアーカイブ Nanjo Digital Archives

コラム指定席

成人式で感じたこと
先日、佐敷町の成人式に出席させて頂いた。色とりどりの着物やスーツ等、皆外見は立派な大人であった。僕はまだ若いと思っているのだが、ああいう光景を見ると「あー、時が過ぎるのはあっという間だな」と痛感させられている。
時という言葉がでたので書かせてもらうが、僕は人間で1つだけ平等に与えられたのは時間だと思っている。どんなに悪い人でも、1日は24時間である。その与えられた時間にどれだけ充実した瞬間を過ごすかが勝負だと思う。
成人式の当日まで僕が「絶対成人式に出て!」と促している人がいた。この方は仮にAさんとしておこう。Aさんは成人式に出ないと言うのである。理由はと言うと「どうせ訳のわからんあいさつや祝辞を聞くだけでしょう。」と言った。僕はその言葉を聞きすごく淋しくなった。成人式という1生に1度きりの晴舞台を自分から投げ出しているのである。体だけ大人で精神的には全然成長していない若者の代表のような気がした。
これは、Aさんだけじゃなく精神的に大人になれてない方々すべてに聞いて欲しい。Aさんと正反対のB君がいる。B君と12月のある日話す機会があった。「B君成人式は何の衣装で出るの?」という問いかけに、B君は笑いながら、でも目は淋しそうに「僕は成人式すごく出たいんですが、家庭で不幸が起こったので出席できないと思います」と言った。
僕はすごく涙が出そうになった。そしてB君はとても精神的に大人だと思った。出たくても出れない人の気持ちをAさんは知っているのだろうか?
最近佐敷町の大人という名詞をもっている方々と話す機会がよくある。その方々の中には当たり前の事を当たり前に出来ない人がいる。言いたいくせに言わない人。
行動したいのに行動しない人。佐敷人というのは良い意味でもおとなしすぎる。
成人式でつけていた華やかな衣装の代金は誰が支払っているのでしょうか。ほとんどの成人者が親に頼っていると思う。成人者の中で何人の若者が親にお礼を言ったのだろうか?
B君のように足元をしっかり見つめた若者が多くいることを願う。それが佐敷の将来につながると思うからだ。これは青年会の一員としての僕の真剣かつまっすぐな思いである。

佐敷町青年会
副会長 津波信一

ダウンロード https://docs.google.com/uc?export=download&id=15_rkVDD2XXTj4CLqbRXI93UtRm01tx4X
大分類 テキスト
資料コード 008448
内容コード G000000674-0008
資料群 旧佐敷町(佐敷村)広報
資料グループ 広報さしき 第223号(1996年2月)
ページ 7
年代区分 1990年代
キーワード 広報
場所 佐敷
発行年月日 1996/02/10
公開日 2023/12/12