なんじょうデジタルアーカイブ Nanjo Digital Archives

音楽へのいざない21 自主事業の企画 シュガーホール芸術監督 中村透

シュガーホールで、年間10回ほどの事業を実施するのは、多くの人たちが佐敷に足を運んでほしいというだけでなく、その事業を通じて、多くの町民が音楽を楽しむとともに、さまざまな文化をもった人々との交流をとおして異文化への理解を深め、広く日本本土や国際的な視野をもって欲しいという願いにもとづいています。今のところ、こうした刺激の特典は、毎回リハーサルを見学できる小中学生や、ボランティアで手伝いながら直接アーティストたちに話かけられる高校生・お母さんたちに偏りがちでちょっと残念です。
もっとも、劇場・ホールに世のお父さんたちがちっとも姿を見せないのは、日本全体の「ぶんか的」傾向。企業戦士が昼夜を問わず働き過ぎているのか、あるいは酒が入らなければ夜を迎えられないのか、はたまた…。
ともあれ、シュガーホールのスタッフたちは、前述したような事業企画に立つため、膨大な情報をかき集め、様々な角度から検討を加えながら1つ1つの事業を立案していきます。町県民のニーズ、経費、限られたスタッフでの対応能力、実施することで得られる将来展望、話題性(PR力)、町文化・学校教育への波及効果等々。過去に実施した事業の綿密なフォローアップ調査も企画材料に組みこまれます。つまるところ、四次方程式のような仕事です。全スタッフの企画会議はしたがって「算数教室」となります。
私にとっての目下のを課題は佐敷をもっと理解し、大きな展望で町の文化づくりに発想と人材を提供し一緒に汗をかくこと。あまり招き慣れていないアーティストたちとスタッフ及び町の人たちとのヒューマンな人間関係をはかり(別名用心棒的つなぎ)、公演の成功と人材交流をすすめることです。開館3年目を迎えて、かつてはさまざまな役場のポジションにいたスタッフたちも、いよいよ蓄積したノウ・ハウを武器に素敵な企画アイディアを発揮し始めてきました。
秘密兵器もあるので、全部はご披露できないのですが、なかでもおもしろくかつ意義深いのが仮称「長寿者たちの芸能合戦」、別名米寿のための「するてぃ遊ばなサーターヤー」というのはいかがでしょう。長寿県沖縄ならではの発想ですね。ちなみにこのアイディアの発信者は、役場内でもコワモテ一チューバーで知られるY氏。意外や意外であります。とはいえ、本番ステージは年齢に係わらずとかくボルテージが上がるもの。あまり興奮されないよう、穏やかにいきましょうね。
(琉球大学教授)

ダウンロード https://docs.google.com/uc?export=download&id=15_rkVDD2XXTj4CLqbRXI93UtRm01tx4X
大分類 テキスト
資料コード 008448
内容コード G000000674-0006
資料群 旧佐敷町(佐敷村)広報
資料グループ 広報さしき 第223号(1996年2月)
ページ 7
年代区分 1990年代
キーワード 広報
場所 佐敷
発行年月日 1996/02/10
公開日 2023/12/12