なんじょうデジタルアーカイブ Nanjo Digital Archives

俳壇さしき

文化協会俳句教室12月例会より。山城青尚選

阿麻和利の栄華短かし花せんな 前城守人
(評)十五世紀中葉の勝連城主。史書によると、好計により護佐丸を討ち、続いて中山攻略を計画した。尚泰久王の娘を娶るなど、一時は栄華を尽くしたが、鬼大城の中山軍に滅ぼされ短い生涯を終えたといわれる。その城址に、せんなが咲き乱れているが、対照的に敗將のあわれを誘っていたという拝情句。

ひょいと出るニックネームよ忘年会 渡真利春佳
(評)その年の苦労を忘れるため、年末の宴会が催された。ご馳走やお酒をいただきながらお互いに十八番を披露しあうが、ついついあだ名がとび出るなど、親しい者同士の宴は、夜半まで続いたようだ。

菊大輪白髪光るベレー帽 山城百合子
(評)気品と清香のある晩秋の王花は、詩や歌にもよく詠まれている。特に一茎に一輪をつけた大輪の菊は鮮やかである。ベレー帽をかぶった翁の白髪が光っていて、一層興を添えているという写生句。

屋門の弾痕を覆ふ蔦紅葉 新垣春子
(評〕瓦屋根のある門構えで、戦前は由緒ある家柄で見られた。その屋門は、去る沖縄戦で受けた弾痕を蔦紅葉が覆い隠していて、無言の偉容を誇っていた。

二期田刈り村の若衆の力こぶ 富永尚
(評)七月下旬に苗代に種をまき、八月上中旬に田植し、11月末から12月上旬に収穫する二期作米の刈入れである。村の若衆達が腕の力こぶを見せながら、作業に余年のない情景がよく描かれている。

※選者句(親友の授賞を祝って)
文化の日働き者の白髪映え

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大分類 テキスト
資料コード 008448
内容コード G000000673-0007
資料群 旧佐敷町(佐敷村)広報
資料グループ 広報さしき 第222号(1996年1月)
ページ 8
年代区分 1990年代
キーワード 広報
場所 佐敷
発行年月日 1996/01/10
公開日 2023/12/12