6月3日に行なわれた町制施行15周年記念は、功労賞を受けられた10名の方々にとって、感慨深いものがあったことでしょう。私も舞台の袖から式進行をお手伝いしながら、私なりの感激を味わっておりました。この日、開会は佐敷中学校の子どもを中心とするファンファーレによって開始。さらに式のなかごろには、ジュニアコーラスの孫のような子どもたちが、功労の大先輩にからだごとで歌をプレゼントしました。どんなお気持で聞いて頂けたことでしょうか。
7月15日には、佐敷中PTAの主催で、3年生全員を対象とした進路指導の講演会。私の話を中心に、いくつかの生演奏をプレゼントしました。この時ステージ上で非常に感動したことがあります。
演奏が始まると水をうったように静かになり、しかも真剣に演奏に傾注しているのがヒシヒシと感じられたのです。
音楽もまた、大人からの真剣なメッセージです。それを、このような深い集中で信頼心を寄せることのできるのは、真(まさ)しく佐敷中の子だからではないでしようか。
学力や生活行動の間題もいろいろありましょうが、なにか人間の心のあり方の根っ子のところは、着々と育っていると実感し、嬉しく思いました。
遠まわりのようですが、音楽を慈しむ心情が、少しずつ町の人々の心を、たおやかなものにしていると感じつつあります。
(琉球大学教授)