山城青尚先生と共に文化協会文化部俳旬教室の指導をされている瀬底月城さんが、『南島俳旬歳時記』を発刊。4月30日午後、厚生年金センターで出版祝賀会が開催された。町内外から200余人が参加し大盛況を呈した。
俳句教室5月例会より。 山城 青尚 選
糸とんぼ視力検査の列に入る 伊波悦
(評) 体が糸のように細い糸とんぼは飛ぶ力が弱いため遠くへ移動することがなく、
水辺に近い草原で暮らしている。
ものに止まるとき蝶のように翅を合わせる珍しい種類である。視力の弱くなった人間と、視力のよい複眼のとんぼとの取り合わせがよい。
厚切りの身の赤々と初鰹 儀間 一恵
(評) 初夏の味覚の代表格の初鰹。赤身の増した油ののった近海ものは、顎が外れるほどおいしい。
よだれを垂らしながら箸を使っている様を描いている。
片降りやもやい傘もて友となる 安里 洋子
(評) 急に降り出す夏雨 (ナツグレ) のうち、一部にだけ降るいわゆるカタブイに、あわてて傘をつき合わせた者がいた。
話がはずんで意気投合し、友達のようになったという明るい話題。
道を問ふ島の訛りの奥武 (オウ) の夏 富永 信
(評) 所用のため奥武島へ出かけた。島の人に道順を尋ねると、訛の強いウミンチューの言葉がはね返ってきた。
活気に満ちた島の夏を描いている。
巡回のたびに舌打つ春守宮 (ヤモリ) 城間 睦人
(評) 仕事の性質上各部屋や要所を巡回している。巡回するたび、やもりがチェッと
舌打ちしている。
「ご苦労さん」といっているようだ。親しみのもてるこの小動物は夏の風物詩
である。
※選者句
海開き特攻基地跡碧さ (アオサ) 増し