なんじょうデジタルアーカイブ Nanjo Digital Archives

平成7年度 施政方針(要約)

はじめに
平成7年第115回佐敷町議会定例会の開会に当たり、提案いたしております当初予算案はじめ条例その他の案件のご説明に先立ちまして、まず、阪神淡路大地震の未曾有の災害によって亡くなられた方々とそのご遺族に対し、深く追悼の意を表しますとともに、被災されました方々に衷心よりお見舞い申し上げます。佐敷町といたしましても、町議会と相談いたしますとともに町内各関係機関、団体等への義援金募集について要請をしてまいりました。
今後とも、さらに継続しての義援金の募集をはじめ、できるだけの支援を惜しまず、ご遺族や被災者の方々のご奮闘を念じてまいります。
さて、提案いたしました議案のご説明に入らせていただきますが、その前に、平成7年度の町政運営についての基本方針を申し述べ、議員各位をはじめ町民の皆さまのご理解とご協力を賜りたいと存じます。
地方自治は、地方への大幅な権限の委譲論議の高まりはもとより、一極集中型社会からその歪みを是正すべく、いま、大きな変化の時期を迎えており、本町といたしましても、地方自治を取り巻く状況の変化を真摯に受け止め、今後とも町民に開かれた町政、町民参加の公正で公平な行政運営によって、誠意と信頼に満ちた明るく、暮らしよいまちづくりに鋭意邁進してまいります。
私は、町政を付託され一年余過ぎようとしておりますが、その職責の重さを、いま、痛感しているところであります。今後とも平和憲法の理念を尊重し、わが佐敷町の将来あるべき姿を念頭におきつつ、平和で活力と自然があふれる潤いに満ちたまちづくりに努めてまいります。 新しい佐敷町の創出に向け、これまでの事業実績を踏まえ、公約いたしました諸施策を推進してまいる所存であります。
平成6年度は、農業振興整備計画の見直しのため地域懇談会を開催しているところでありますが、新年度も引き続き、地域課題を掘り起こし、それに適切に対応するため部落入り行政懇談会を開催してまいります。
地震や台風等の災害から住民の尊い生命や財産を守ることは、行政に課せられた重要な使命であります。阪神淡路大震災を教訓に、町といたしましても、昭和56年9月に策定した地域防災計画を見直し、安全なまちづくりに努力いたします。
ところで、本年は、太平洋戦争・沖縄戦終結50年目にあたります。町民はもとより沖縄県民は戦禍、戦後の混乱、米国による統治、日本復帰と、この50年間の中で特異な様変わりを経験してまいりました。戦後の荒廃にもめげず町民、県民は社会資本の整備や産業の振興、郷土の伝統文化の承継・発展に努め、今日、経済、社会及び文化の各面で、当時からは想像もつかない目覚ましい展開をみせております。
この歴史的節目の年に当たりまして、町民一人ひとりがこれまでの歴史と自らの歩みを振り返り、平和の尊さを再確認するとともに、21世紀に向かって新たな気持ちで出発する契機にしていただきたいと願っております。
本町におきましてはまた、町政施行15周年という節目も迎えております。記念式典等を催しまして、町民ともども祝うとともに、新たなまちづくりに向けた契機にしてまいりたいと考えております。さらに、県主催の第2回「世界のウチナーンチュ大会」の開催に合わせまして、町出身者の皆さまと町民との交流を図ってまいります。
さて、わが国経済は、平成7年度には民間需要の回復を基調に内需中心の穏やかな成長が見込まれております。
一方、本県経済は消費者物価が比較的安定する中で、国内景気の回復や所得税・住民税の減税継続に伴い、個人消費、設備投資が堅調に推移するとみられることから、徐々に持ち直していくものと考えられます。
このような中、本町では新年度より文化センターの起債償還が始まることや佐敷小学校体育館の建設、つきしろ公民館建設事業等財政需要が旺盛なこともあって、今後とも財政的には極めて厳しいものがあります。内外の経済動向を注視しながら公共事業の弾力的な執行、適切かつ効率的な財政運営に努めてまいります。

基本施策
今日、物質的豊かさの追求が中心的な価値観であった時代が終わり、それぞれの地域が多様な価値観に立って、その自主性と責任のもとに地域づくりを行っていく時代に移行していると認識しております。国においても、多極分散型国土の形成に向けて、地域の自主性と責任にもとづいた豊かな地域社会の創造を目指し、さまざまな支援施策が実施されております。
本町では、明るく住みよい地域社会づくりを目指して策定した第二次基本構想のもとビジョンと施策の大綱を掲げ、地域に根ざした新たなまちづくりを進めております。町民の参加、協力もあって、現在、まちづくりは本町が目指す目標に向かって進展し、それは町勢発展の大きな原動力となっております。
私は、町政の主人公は町民であることを基本に、町民と共に歩む町政の実現に努め、「平和・公正・公平・清潔・思いやり」をモットーとし、まちづくりを進めてまいりたいと考えております。また、常に町民の心を心とし、共に歩む町政を進展させ、21世紀を切り開く佐敷町を展望してまいります。
町政運営に当たっては、平和憲法の理念を尊重しつつ、次の3点を基本姿勢に、全力を傾注し、町政の刷新に尽力して、町民の様々なニーズにこたえるべく努力していく覚悟でございます。
一つ、自然を大切にし、教育・文化の向上を図り、人間的ふれ合いのある潤いのあるまちづくりを目指します。
一つ、産業を振興し、住みよい生活環境の整備を図り、町民に夢と希望を与え、明るいまちづくりを目指します。
一つ、福祉と健康を大事にし、思いやりとやすらぎのある平和なまちづくりを目指します。
以上を町政運営の基本に努力してまいります。
以上の公約実現と山積する諸問題の解決は、昨今の厳しい地方財政のもとでは大きな困難が予想されます。しかしながら、この厳しい局面も職員の奮起と創意工夫によって打開策を生み出してまいりたいと考えております。
本町の基本施策は、「平和行政の推進」「特色ある産業の振興」「社会資本の整備」「教育・文化の振興」「住みよい環境整備」「社会福祉と保健医療の確保」であります。新年度もこの基本施策を踏まえつつ、町民の英知を結集し、自らの地域に誇りと愛着が持てるまちづくりにさらに努力を重ねてまいる所存であります。

「平和行政の推進」
本年は、太平洋戦争・沖縄戦終結から半世紀が経過するという大きな節目の年であります。この節目を迎えるに当たって、町民一人ひとりが平和の尊さを確認するとともに、佐敷を香り高い文化の発信地として広くアピールすることは重要なことです。戦中・戦後の体験を風化させることなく、継承し、明るく住みよいまちづくりに向けて町民の創造的エネルギーを結集して終戦五十周年事業を実施し、平和行政を推進してまいります。

「特色ある産業の振興」
将来に展望の持てる活力あるまちづくりは、地域発展の原動力となる諸産業の振興に負うところが大であります。本町の産業は農業を基幹とする漁業、商工業でありますが、なかでも農業は、近年のさとうきび作を取り巻く内外情勢の変化に伴い、厳しい対応を余儀なくされております。今後、JAはじめ農業団体等とも十分協議しながら生産活動の整備、農業経営の合理化、向上、農業生産の拡大、農村環境の整備等の推進に一層の努力を重ねてまいります。あわせて、漁業、商業の諸課題に対しても真剣に取り組み、本町産業の振興に努めてまいります。

「社会資本の整備」
県の事業として認定された南部東道路は、地域活性化へのインパクトを期待している「地域高規格道路」であります。懸案でありました都市部との時間的距離を短縮するとともに、島尻地域相互間のつながりを強める交通アクセスとなるだけに、町といたしましても県とタイアップして強力に事業を推進してまいります。
本町主要プロジェクトとして取り組んでまいりましたMTP構想は、第三次沖縄振興開発計画に位置づけられており、時期を失することのないよう万全の体制で取り組んでまいりたいと考えております。ヘルシーリゾート構想は、南部東地域の活性化と今後確実に到来する長寿社会時代の要請にマッチした将来的にも有望な構想であり、その具現化に向けて取り組んでまいります。

「教育・文化の振興」
教育立町を町政運営の柱に掲げる本町では、教育・文化の振興に町民一体となって取り組み、教育界をはじめとし、これまで多くの人材を輩出してまいりました。今後とも、この伝統を大切に、学校教育、生涯学習等の振興発展のための施策を講じ新たな時代潮流に対応した施策の展開にも取り組んでまいります。
昨年6月の開館以来、文化の殿堂、音楽によるまちづくりの拠点として多くの注目を集め、順調な滑り出しを見せている佐敷町文化センター・シュガーホールにつきましては、地域に根ざした、より開かれた施設として活用し、計画的、効率的な運用に努力してまいります。

「住みよい環境整備」
これまでも生活環境の整備を中心に、集落内排水や広場の整備、交通安全施設等の整備を年次的に進めてまいりました。今後とも、これらの事業を継続しながら、自然との調和を大切にしたまちづくりをめざして、農村広場の設置や全町植物園化構想の推進等に力を入れ、終戦五十周年事業の県民百万本植樹運動と連動した諸事業を展開してまいります。

「社会福祉と保健医療の確保」
近年の高齢化社会の進展、社会経済情勢の変化に伴い、福祉需要の増大、多様化が予想されます。今後さらに、町民の相互扶助精神の高揚をはかり、人にやさしい地域づくりの輪を広げ、きめ細かな各種事業を進めてまいります。
「自分の健康は自分で守る」を基本に町民参加のもと推進しております健康づくり事業は、本町にとって主要な施策であります。今後とも母子保健推進事業、成人病対策事業等のさらなる拡充に努め、町民の健康づくり思想の高揚、疾病の予防を図ってまいります。

1、平和行政の推進
本年は、沖縄を悲惨な地上戦に巻き込んだ末、敗戦となった太平洋戦争の終結から50年の節目に当たる年であります。町といたしましても世界の恒久平和を希求し、佐敷を平糺の発信地として内外にアビールするため、町内各関係機関、団体を網羅した「終戦五十周年事業佐敷町実行委員会」を組織して、次のような終戦五十周年事業を展開してまいります。
本年8月には、戦時中、佐敷国民学校の学童らが集団疎開をした縁で今日まで官民の交流を続けております宮崎県高千穂町と姉妹都市の提携をいたします。今後、両町相互間の理解と友好を一層深めるため、地域間交流を活発にして相互の地域振興を図り、恒久平和を祈念し、来る21世紀に向けての発展を図ってまいります。同時に9月に行われる高千穂町の「神話の里フェスティバル」に本町から生徒たちによる郷土芸能団を派遣し、親善交流を図るとともに、学童らの疎開体験を学ぶ平和体験学習の機会としたいと思います。
また、50年の間に制作された世界、日本、沖縄の代表的な映画と映画音楽を通して戦後を振り返るとともに、平和と文化の香り高い明日の佐敷町を展望するため「愛と平和の映画・音楽フェスティバル」を開催いたします。
さらに、恒久平和の誓いを新たにするため、慰霊の塔周辺の環境整備を行い、町民、遺族関係者のご理解とご協力を得て、6月には節目の年にふさわしい慰霊祭を挙行してまいります。
平和のまちづくりは、ひとり行政のみの力で推進できるものではありません。新年度は、町民各層を網羅した「非核平和宣言記念像整備期成会」を結成し、子供からお年寄りまで平和を願うすべての町民の善意と創意工夫によって、「非核平和宣言のモニュメント」を建立したいと考えております。

2、特色ある産業の振興
産業の振興につきましては、関係機関との緊密な連携のもと、自立化を目指した特色ある産業の振興を図り、町の発展につないでまいりたいと思います。
まず農業の振興につきましては、生産基盤及び近代化施設の整備とあわせて後継者の育成を図りつつ、生産性 の向上、経営体質の改善、強化に努めます。
土地改良事業は、整備率がおおよそ74%となりました。新年度も農家のコンセンサスを得て引き続き実施してまいります。
農用地の侵食崩壊防止のための団体営農地保全事業新里地区は、排水路施設を設置し、侵食、崩壊を防止いたします。あわせて懸案でありました赤畑原等の地籍整理を推進し、事業実施の実現のため取り組みを進めてまいります。
伊原地区は、降雨時に路盤材の流亡が著しく、下流排水路の土砂の堆積や氾濫により農作物に被害を与えているため、水兼農道を整備いたします。
農村総合整備モデル事業で佐敷地区の農道整備を実施し、荒蕪地・遊休地を解消し、農地の拡大を図ってまいります。
さらに、農地の保全を図るために、新里、津波古、つきしろ地区に、ため池等整備事業を実施いたします。
農業構造改善推進事業並びに地域農政推進対策事業により、地域ぐるみの推進体制を確立し、地区内農業者による自主的な組織活動の育成、農用地の適正な利用、農業生産の再編成等地域農業の改善を図ってまいります。
さとうきび取引が新時代に入り、農家に戸惑いもありますが、さとうきび種苗ほ設置事業を推進し、肥培管理の徹底、優良品種の奨励等で高品質栽培技術の確立に努めてまいります。
畜産業は、豚価の低迷や牛肉の自由化等そして環境汚染問題も発生して厳しいものがあります。新年度も引き続き家畜伝染病予防対策はじめ生産組織の育成、畜産共進会等を開催し、畜産の振興に努めてまいります。
JA島尻東本所庁舎が、本年6月に完成の運びとなります。農業生産担い手の育成、農業経営の合理化、営農指導の強化を今一層期待し、庁舎建設のための助成策を講じてまいります。
漁業の振興は、平成6年に水産業振興基本計画を策定したところであり、栽培漁業への方向性を展開し、漁業協同組合との連携のもと近代化、合理化、構造改善等の実現に努めてまいります。
地域中小零細企業を取り巻く環境は、依然として厳しいものがあり、なお一層の企業の自助努力はもちろんでありますが、商工会活動の拠点ともなる商工会館の建設を引き続き検討し、商工会と連携を密にして商工業の振興を図ってまいります。
地域経済の自立的発展を図り、豊かで活力ある地域社会を実現するためには、産業基盤の整備を図りつつ、オピニオン・リーダーの育成が重要です。現在、町活性化のため集い、語り、学び合う場として大きな意義を持つ「むらおこし尚巴志塾」や「町青年農業会議所」の組織化で、人材育成の基盤ができつつあります。さらに組織を充実発展させ、特色ある産業の創出と育成で、魅力ある活力にあふれたまちづくりに努めてまいります。

3、社会資本の整備
町としてはこれまで、経済社会の広域的な展開に対応し、地域の均衡ある発展と町民の日常生活並びに産業活動における利便性、安全牲を確保し、よりよい生活環境の整備を図るため、重点事業として年次的に社会資本の整備拡充を推進してまいりました。
新年度は、道路事業として、地域特性を十分活用した観光・産業を振興し、交通の安全確保を図るため仲伊保海岸線を整備いたします。また、文化センターを活用する人々に快適で利使性の高いくつろぎの歩道空間を提供するシュガーロードを整備いたします。さらに、生活基盤の良好な環境保全を図るため新開13号線の道路整備を実施いたします。あわせて、車道・歩道幅員拡張、段差、ひび割れ排水施設不良等の危険箇所を改善するため屋比久遅又線、伊原屋比久線、つきしろ1号線をそれぞれ整備いたします。
農村地域と都市との連携を強化し、人的交流の活発化を図る目的で地域高規格道路の南部東道路が、国の指定を受け、県の事業として近々着手する計画路線となりました。本事業の推進にあたっては、自然環境への配慮と住民の利便性を第一義に考えてまいりたいと思います。
上水道につきましては、水道整備計画に基づいて今後とも不良給水箇所の改良工事を行い、町民が等しく水の恩恵に浴することができますよう努力をいたしてまいります。
下水道は、地域住民の生活環境の改善を図るとともに、公共用水域の水質を保全するために必要不可欠の都市施設であります。新年度は事業認可申請のため設計委託業務を進めてまいります。
中城湾港マリン・タウン・プロジェクト佐敷東地区は、とりあえず都市機能用地を先行して埋め立てる方法になりましたが、埋立早期実現のため、漁業補償交渉等地元条件整備に努力していく考えであります。
ヘルシーリゾート構想は、基礎調査を踏まえ、現在、ヘルシーリゾート基本計画検討委員会の中で収益性、実効性の観点から基本計画書を策定しているところであります。新年度は、国、県と歩調を合わせ事業化方策を検討してまいりたいと存じます。

4、教育・文化の振興
本町は、教育・文化の振興をまちづくりの柱の一つに掲げ、町民一体となって取り組んでまいりました。今後とも「まちづくりは人づくり」からを基本理念に、学校教育、社会教育、地域文化等の発展、拡充のために力を尽くしてまいります。
本町の文化活動の拠点佐敷町文化センター・シュガーホールは、昨年6月のオープン以来、国内外の著名な音楽家の演奏会をはじめ町民、県民が優れた舞台芸術に親しんでいただけるような企画運営に努めてまいりました。
稼働率もよく、現在まで約3万人の観客が訪れ、音楽によるまちづくりが内外に認められつつあります。
新年度は、まず第一に地域に根ざした文化の殿堂、むらおこしのシンボルとして町民に親しまれ、活用される企画・運営に力を入れてまいります。同時に、第1回 「おきでんシュガーホール新人演奏会オーディション」 の開催などにより開かれた施設としての活用を図り、舞台芸術、音楽を通して地域活性化につながる人材の育成を目指して、中長期的展望に立った企画・運営に努力してまいります。
義務教育は、自ら学ぶ意欲を育て、豊かな表現力と粘リ強さ、さらに、時代の変化に対応できる人間形成と基礎知識を酒養するものであります。このことを十分認識し、これまで学校教育環境の整備充実に努め、教育の向上と取り組んでまいりました。新年度は、「佐敷小学校施設整備基本計画」を策定し、老朽化した佐敷小学校体育館の改築事業や体育館と併設したクラプハウスの新築事業をはじめ学校教育環境の整備充実に努力してまいります。また、地域社会への適応能力を高めるために、多様な学習機会の創出に力を注いでまいります。
学力向上対策につきましては、これまでの成果を踏まえ、幼児、児童、生徒一人ひとりの個性を大切にし、主体的、創造的に生きる資質や能力を身につけさせるために、今後も学校、家庭、地域の連携を強化しながら町ぐるみで実効ある対策を講じてまいります。
青少年健全育成の推進につきましては、関係諸団体とも連携を密にし、次代を担う青少年が健やかに育つ環境づくりに積極的に取り組み、町ぐるみの運動を展開してまいります。また、こども会活動の活性化を図るため、今後とも町子連を積極的に支援してこども会活動の充実に努めます。あわせて、多様な人材育成と 「町政を語る女性の集い」 の開催など女性の地位向上に努力してまいります。
社会教育は、今後とも推進体制の強化、老人クラプはじめ各種団体の育成促進、ジュニアコーラス等各種教室や活動内容の拡充に努めてまいります。また、文化センターのコミュニティー供用施設の事業内容をより充実させ、その利活用を図ってまいります。新年度は、「つきしろ公民館」を建設し、地域住民のふれあいと憩の館、各種団体の生涯学習の拠点施設として役立てたいと考えております。
地域文化の継承と発展につきましては、「歴史と文化をもとに町民の創意によるまちづくり」 を基本理念に 「さしき・ルネッサンス構想」の実現に向けた取り組みを進めてまいります。さらに、本町は尚巴志生誕の地で、歴史的にも由緒ある土地柄であることから、専門先生方のご指導を仰ぎつつ「よりやげの根国事業」について継続して検討してまいります。あわせて、知念村、玉城村と連携して 「東御廻り調査事業」 を行い、地域の歴史・文化遺産を活用した広域的なむらおこし、地域活性化策を探ってまいりたいと考えております。
佐敷町史につきましては、すでに「民俗篇」「自然篇」を発刊、町の正しい姿を知る上で大きく役立っております。現在、「戦争篇」「移民体験篇」の編集に向け海外移民調査や部落入り調査、資料収集が行われており、引き続き町民の理解と協力のもと編集事業を進めてまいります。
また、佐敷町文化協会に対する積極的な支援を図り、組織の充実強化、町の文化振興に努めてまいります。

5、住みよい環境整備
那覇広域圏に属し、生活圏を那覇市と共にする本町にも、徐々に都市化の波が押し寄せ、町民の生活にもいろいろと変化の様相をうかがうことができます。このような中、多様化する住民要望を真摯に受け止めつつ、今後とも全町的視点からこれらの課題と取り組み、住みよい環境の整備を図ってまいります。
特に、本町東側地域の活性化と住環境の整備のため、県営団地の早期着工に取り組んでまいります。
現在、ごみ処理問題は行政にとっても重要な課題の一つであり、町におきましては、ごみ問題対策委員会で検討を行うとともに、東部清掃施設組合、町婦人会とも提携を強化しつつごみの少量化、再資源化に努力してまいります。
集落内の排水路や広場等の整備については、新年度は、新開地区排水路の改修、ポケットパークの整備を促進し、安全で快適な環境づくり、都市景観の向上に努めてまいります。また、小谷の遊歩道・通称美石坂を文化財の樋川と結んで整備し、竹細工の里にふさわしいシンボルロードとして広く内外にアピールしたいと思います。さらに、佐敷と新里に農村広場を設置し、地域住民の健康増進と連帯意識の高揚、生きがいづくりにつなげてまいります。
全町植物園化構想は、町の将来像を支える五大ビジョンの一つであり、今後、基本計画に基づき、佐敷町心豊かなふるさとづくり推進協議会(CGG)等との緊密な連携を図りつつ、町民のご支援をいただきながら積極的な取り組みを展開してまいりたいと考えております。また、新年度は終戦五十周年事業の一環として、町としても「町民1万本運動(仮称)」「第1回佐敷町植樹際」を開催し、緑豊かな潤いある環境整備に努めてまいります。
あわせて、森林資源の復元と自然環境の保全形成をさらに推進するため、引き続き造林事業と取り組んでまいります。
さらに新年度は、集落内の公共広場に木陰をつくる住民の健康増進、交流の場とするため、緑化コミュニティー助成事業を実施してまいります。

6、社会福祉と保健医療の確保
わが国は、21世紀初頭には、4人に1人は65歳以上の高齢者となるような社会が到来することが確実視されております。本格的な高齢社会に備えて、保健、医療、福祉の連携のもと、町民の多様なニーズに対応した総合的な施策を推進する必要があります。このため佐敷町老人保健福祉計画を踏まえ、老人デイサービス、老人ホームヘルプサービス事業等在宅福祉対策の拡充を図るとともに、老人クラブ助成事業等生きがい健康づくり事業にも力を入れてまいります。新規事業として高齢者が健康で生涯を楽しく社会生活を過ごせるように、高齢者ふれあい健康事業を展開してまいります。
さらに、社会福祉協議会の充実をはかり、地域福祉活動計画の策定、福祉マンパワーの確保につとめるとともに、母子及び父子家庭の医療費助成事業を推進し、母子家庭等の福祉の増進を図ってまいります。あわせて、児童福祉対策も特別保育事業等を推進し、児童の健全育成の向上に努めてまいります。
障害者福祉対策につきましては、更生援護施設入所通所措置事業、舗装具給付事業、日常生活用具給付事業等を促進してまいります。また、新規事業として身体障害者ホームヘルプサービス事業、身体障害者短期入所事業を実施し、心身に障害のある人にとって住みよい町になるよう努力してまいります。
健康に対する住民の意識は、年々高まっておりますが、健康づくり推進大会等を開催し、「健康な町佐敷」の実現に努力してまいります。各種予防接種、基本健康診査、ガン検診、人間ドック等の検診事業はじめ健康相談、健康教育、訪問指導、機能訓練等の成人病対策事業を実施し、町民の健康増進を図りたいと考えております。
本町の医療費は県下でも上位に位置し、国保財政運営の面から憂慮すべき事態となっております。国民健康保険事業におきましては、医療費適正化対策、保健施設事業に取り組み、年々増大の傾向にある医療費の抑制に取り組んでまいります。また、保険税徴収体制を強化し、徴収率の向上を図り、国保運営の健全化を図ってまいります。

おわりに
平成6年度は、町民の皆さま、議員各位のご協力を得まして、行政運営も計画的に推進することができました。
ここに改めて各位に、心からの感謝と御礼を述べさせていただきます。
平成7年度は、本年度の行政運営の状況を踏まえ、地方財政はまお厳しい状況にはありますが、町政運営の基本方針のもと、諸施策を積極的に推進してまいる所存であります。事務事業の執行にあたりましては、職員の資質の向上はじめ、窓口サービスの向上等、行政事務改善委員会の答申に沿う取組みを展開し、行財政の改革を図ってまいります。
本日提案いたしました議案について、誠実に取組み実行し、町政の主人公は町民であり、町民と共に歩む行政推進に努め、「平和、公正、公平、清潔、思いやり」をモットーにまちづくりを進めてまいります。議員各位におかれましては慎重なご審議の上、議決を賜り、また、町民の皆さまのご理解とご協力を心よりお願い申し上げます。

平成7年3月10日
佐敷町長 津波元德

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大分類 テキスト
資料コード 008448
内容コード G000000664-0011
資料群 旧佐敷町(佐敷村)広報
資料グループ 広報さしき 第213号(1995年4月)
ページ 6-10
年代区分 1990年代
キーワード 広報
場所 佐敷
発行年月日 1995/04/10
公開日 2023/12/06