なんじょうデジタルアーカイブ Nanjo Digital Archives

俳壇さしき

文化協会文化部俳句教室は、瀬底月城、山城青尚両先生の親切な指導で、初心者にもわかりやすいと公表を博している。3月からは、玉城章子(外間)、崎間恒夫(玉城村)、吉田幸雄(石川市)の3人が加わり、より賑やかになった。
町内の方で俳句に関心のある方は入会をおすすめします。問い合わせは文化センター内 津波悟 (電話947-1619)まで。

鳥骨鶏明け六つ知らす春の声    真栄城佐月
(評)鳥骨鶏はアジア東部原産の鶏の一種である。皮、肉、骨ともに暗紫色なのでこの名が
ついたようだ。肉、卵は薬用といわれる。
明け方の六時頃に刻を告げる鳥骨鶏が、のどかな声で春を呼んでいる情景が、生き生きと描かれている。

利休是や衿を正して代稽古    具志かほる
(評)茶道の礎を定めた千利休の忌日に茶会がもたれた。作者は主宰に代わって代稽古を務めたという。礼儀作法を重んじる茶道の心が伝わってくるようだ。

被災地は四十九日梅咲けり    崎間恒夫
(評)阪神大震災の模様がテレビで放映された。瓦礫の中から死体を掘り出したり負傷者を救
出している。あれから早、49日を迎え法要が営まれた。悲痛の中にも唯一の救いは、被災者を
励ますかのように、梅の花が炎えていたことである。

甘蔗時爾人待ち顔にネオン街    平田 雷月
(評)甘蔗刈り時期に冷たい雨が降り続いていて、農民の苦労も大変なものがある。しかし農
民もその苦労を柔げる術を知っていた。ネオン街もまたそれに呼応するように、きらきらと
輝いていた。

九十歳と書かれし父のお年玉    志村 真沙
(評)お正月である。可愛いい孫達の頭を撫でながら九十翁は「これは年の神からの贈り物だ。うんと大きくなれよ」と言い含めながら、「九十歳と書いたお年玉袋を手渡した。家庭の幸福と子供らの成長を願った九十翁の小憎らしい演出に感じ入ったのだ。
         
以上3月の俳句教室より 山城 青尚 選
※選者句
  腰おろす右のほめきや寒椿

 (評)ほめき---「熱っぽくなる」「ほてる」の意で沖縄の方言では「フミチ」「フミチュン」が
使われている。

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大分類 テキスト
資料コード 008448
内容コード G000000664-0006
資料群 旧佐敷町(佐敷村)広報
資料グループ 広報さしき 第213号(1995年4月)
ページ 3
年代区分 1990年代
キーワード 広報
場所 佐敷
発行年月日 1995/04/10
公開日 2023/12/06