よく言われるのとは逆さまですが日頃佐敷の子どもたちと接することの多い私には、かなりの実感です。
たとえばこんなことがあります。昨年12月から、ジュニア合唱団をスタートさせたのですが、数回たった練習でもある種の緊張感というか、一種の対立的なムードが全体を支配している。子どもたちの、人間関係の動き方を観察してやがて分ったのですが、馬天小の子と、佐敷小の子との微妙な対抗意識があって、馬天の子は人数が多く、また学校での積極的な働きかけがあったらしく、その分元気でちょっとイバヤー。佐敷小は恐らくごく自発的に来た…という意味ではやや孤立気味で、ひっこみ思案。でもなにかしら、馬天小の子は、そんなひとりびとりの佐敷小の子が気になる……というムードで、なかなか一体となって歌や動きに熱中する風にならないのです。
大人の方にも、そんな、地域からくる微妙な対抗意識ってあるのでしょうか。
1月29日には、文化協会主催の芸能鑑賞会「孵立ち(すでたち)の踊り」
を、かぶりつきの特等席で観せてもらいました。子どもたちが中心となった舞踊公演ですが、実にさまざまな踊りぶり。踊りの様(さま)はともかく、連れ立って参加することに意義ありのユイ派。
仕込まれ励まされ緊張の極みで期待される人間像の実現に必死なチバリー派。本当に踊ることが好きでたまらないという風のアシバー派。と、これもまたその子たちの背後に、関わっている大人たちの顔が見え隠れするのでした。(琉球大学教授)