佐敷町文化協会文化部の俳句教室は3年目に入りました。瀬底月城、山城青尚両先生の熱心な指導のもとに、毎月の例会を楽しんでいます。
俳句教室の問い合わせは文化センター内 津波悟(電話947-1619)まで。
名人に藻屑のかかる飛ばし釣り 新垣 春子
(評)釣りの名人が釣糸を垂れて構えているが、なかなか魚がかかってくれない。かかったのは肥料となる藻屑だけであった。釣り名人の横顔が見えてくるようだ。
朝敏を語る翁(オキナ)よ石蕗(ツワ)の花 前城 守人
(評)平敷屋朝敏は和文学者で若草物語、貧家記などの古文物語を書き、琉歌にも優れ、組踊り「手水の縁」の作者でもある。尚敬王時代に王府当局を批判する落書(ラクショ)の主謀者として、友寄や加担者十数人と共に、寧温によって斬罪された。
その事を語って聞かせる老人の胸中は熱く炎えていた。傍らに石蕗の花が往時をしのばせるかのように鮮やかに咲きみだれていた。
ポインセチア「貧血です」と医師の声 安谷屋竹美
(評)躰(カラダ)の不調を訴えた女が病院に駈けこんだ。女の躰をしげしげと眺めながら老医師はおもむろに「貧血です」といいながら処方箋を書いた。病院の庭には苞葉を真っ赤に染めたポインセチア(猩々木)が咲き乱れていた。貧血で青白い顔の女と、真っ赤に炎え盛っている猩々木の対比がよい。
南米桜バス待つ女の肩に触れ 真栄城佐月
(評)南国の空を染めるように枝を四方に張り、濃いピンク色の大柄で豪華な花を咲かすトボロチ(南米桜)は、公園や学校等によくみられる晩秋を象徴する花である。その花が、やさしく包みこむようにバスを待つ女の肩にふれた。まるで絵のようである。
毛遊びの唄に手振りの年忘れ 渡真利春佳
(評)忘年会の席上、年輩の会員が毛遊び唄を歌いながら、手振り身振りよろしくその解説をしていた。現代のように娯楽機関の発達してなかった戦前の農村では、若い男女がうちそろって、野山や遊び庭(アシビナー)に行き、歌三線をかき鳴らしながら琉歌を歌い琉舞を演じて仲良く息抜きをしていた。その「毛遊び」文化は、いつまでも残したいものだ。
以上12月の俳句教室より 山城 青尚 選