佐敷町文化協会文化部(真栄城勇部長)では俳句教室を開いて、俳句の指導を行なっています。講師は沖縄俳句協会の幹部、瀬底月城、山城青尚の両氏で月一回例会を開いています。
例会では参加者の作品を両先生が懇切丁寧に添削指導を行っています。俳句教室の問い合わせは、文化センター内 津波悟(TEL947-1619)まで。
満月の青白きまで君恋し 我謝隆
(評)陰暦八月十五夜の満月は、青白さを増してあまりにも美しく、感懐をそえる。それはまた、苦い思い出にもつながる。傍らに居ない昔日の恋人のことを思いあまって、ひとり月を眺めている境地をまざまざと詠っている。
真常忌綿の朔果のはじけたり 伊波悦
(評)熟した綿の乾果がはじけて種子を散布した。くしくもその日は、琉球イモの栽培と普及に力を入れたり、木綿の栽培と木綿織りを始めた沖縄最大の産業功労者、儀間真常の忌日であることに、その因縁の深さを感じた。
結縄展琉球萩の咲き初むる 安里洋子
(評)琉球王朝時代、文字を知らない階級が用いたワラ製の記標の展示会があった。近くに琉球荻が美しい花を咲かせ始めていた。昔の人の知恵が、見事な花を咲かせたという構図である。
福木の実地に落つあたり巴走の里 城間睦人
(評)熟した福木の実がぽとんと地面に落ちた。そこはその昔琉球国の三山を平定した尚巴志の生地であった。福木と尚巴志、両者の重みと響きのある取り合わせが効いている。
山裾に飯桐の実の李告ぐる 具志かほる
(評)いいぎりは、日本本土の中部地方以西の山に自生する高木で、青天に高々と輝かす真赤な実は見事である。それは、まさに晩秋のときを告げる風物詩である。
以上10月の俳句教室より 山城青尚 選